御霊猫間川砂持 その2 |
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御 霊 社 の 小 火 |
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社 内 観 音 堂 下 の 盗 人 |
社内観音堂の床の下に三年来隠れ住める盗人あり、両人は俗にて一人は坊主の由、火事騷動に依つて露顕し、忽ちに召捕られしと云ふ。御霊は社内に盗賊を構ひ、観音は盗賊の落し宿をなす、何れも不埒の事と云ふべし。男女・老幼、参詣・見物等大群集せし者共大に狼狽へ、総崩れに成つて逃行くことなれば、押倒され踏倒され、怪我人多く有りし事なるべし。翌日に至り御停止と御霊火事にて世間も穏になりぬ。此度人気の浮立ちぬる有様にては、如何なる大変も出来ぬる事もあらんかと思ひ、密に案じ煩ひしに、此位の火事にて事済みぬるは大幸と云ふべし。
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