御霊猫間川砂持 その4 |
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六 月 天 候 の 不 順 |
先月廿三日より廿五日迄は、大に暑気を催せし故、土用前の奇特ならんと思ひしに、廿六日頃より冷気となり、廿九日より寒気烈しく、六月朔日・二日・三日の頃は、布子にても寒き程のことなるにぞ、暴に米価十匁余り高直になり、斯くては当年も如何あらんと年柄を案じぬる者も少なからず。 | |
松 屋 町 と 砂 持 |
又松屋町にては先達て天神の砂持に若き者共、老分の制するをも聞かず、仰山なる地車を出し過分の物入有りしにぞ、此度猫間川御手伝も申付けぬれ共、町内の者をば一人も出さずして、働く一方なる雇人足を仕立て之を出せし処、総年寄へ其町の年寄呼付けられ、大に之を叱付けられ、無拠其町も揃の衣裳・鉦・太鼓にて踊り行きしと云ふことなり。
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