十八日時々雨にて、申半ば過迄降りしが、夫より雨止みし故、御霊の渡御ありしかども、此間よりの雨にて川水高き故、淀屋橋の浜迄にて川の渡御はあらず、粛々たる有様なり。
十九日晴曇定まらず、夜に入りて雨終夜止む間なし、暮過に雷鳴有り。
二十二日晴、座摩祭り至つて淋し。此宮の神主至つて不行状者故、至つて貧窮し、己が諸道具・衣類等悉く売払ひ、屋敷は家質に入れて利銀さへ遣すことなく、神宝は申すに及ばず、神輿其外祭の道具迄悉く質物に差入れぬる故、昨年の祭礼には例年の渡御をな
す事能はざりしが、今年は御旅所の砂持をなし、其上りし所の金子にて漸く質受をなして、当年は渡御有りしと云ふ。不埒なる事と云ふべし。
博労町難波天王の祭も至て淋しき事なりと云ふ。
之も神主不埒にて、御咎を蒙り籠居中なりと云ふ事なり。
廿三日曇、未明より雨、午の刻止みしが又時々降り、暮より雨は止み冷風吹く。
廿五日晴、昨今天神祭、是は外々の神事と違ひ、地車十番も出でて至て賑はしき事なりし。
廿八日曇、辰の刻 雨休降定まらず、此四五日は先日頃と違ひ、漸々と冷気、少しく残暑らしき様子になりしか共、何分不時候にて雨天続なりしかば、種々に宜しからぬ取沙汰をなし、米価四十匁余り引上がる、姦商の所業悪むべき事なり。
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