Я[大塩の乱 資料館]Я
2004.2.13

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「浮世の有様 巻之八」

◇禁転載◇

大塩一件脚本の筋書 その4










三段目は三井呉服店の掛り、

此家の番頭阿曾部山城が叛逆に与みし、大悪無道の者にして主家を押領するの工み有り。此家の娘至つて美しきにぞ、之をも己れが妻にせんとて、頻に之を附廻しぬれ共、娘之を嫌ひて諾はず。

店に新参の手代格助といへる者有り。娘之を恋慕し数々口説きぬれ共、格助其心に随はず、娘大に之を恨み恥ぢて死せんとするにぞ、格助其本心を明し、「我が此家に奉公に来れるも大望ある故なり。其望さへ叶ひなば其心に従はん」と云ふ。娘「其望いかなる事」と問ふにぞ、過分の金子入用の事を云ひ、「金蔵の鍵を盗み出し我に与へなば、金は勝手に我取出すべし。此事聞入るゝに於てはわが妻とすべし」と云へるにぞ、娘大に悦び、「心易き事なり」とて、金蔵の鍵を密に盗取りて、格助に之を手渡せんとするに、番頭忽ち是を見付けて、其鍵を取上げて大に騷動と成り、娘を折檻し格助を打擲せんとす。

かゝる折から遠攻の太鼓聞え、大勢の軍兵此処へ攻来り、瀬田才蔵といへる者、槍を引提げ一番に店先へ踏込み、大に勇を振うて突いて廻ると、舞台は云ふに及ばず見物の場中思ひも寄らぬ処よりして鉄炮数十打立てゝ、暴卒に大変の騒となる。

夫より廻り道具にて、此度は座敷先金蔵の前にて、格助は娘を後に囲ひ、乱髪大肌脱ぎにて必死の働をなし、其場を切抜け娘と共に立退く。之にて幕。

 


「大塩一件脚本の筋書」その3/その5
「浮世の有様」大塩の乱関係目次3

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