| 有栖川家調達講の仕置 その3 |
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加 島 屋 伊 助 の 淫 行 |
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| 三 つ 子 を 生 む |
播磨屋喜兵衛妻三つ子を生み、検使を受く。三十日計りの内に三人共死す。其後堺屋繁蔵妻又三つ子を生む。されども之は死胎なりしにぞ、検使等の騒ぎなし。纔かなる小町にして、天下稀なる三つ子を両人迄産せしも奇事と云ふべし。 |
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紀 国 屋 武 兵 衛 妻 の 不 行 状 |
紀国屋武兵衛妻出家をなして弟子大勢あり。此者子なきにぞ姪を以て養女とし、之に壻を取りしが、武兵衛存生中より此者と不義し、死後淫事甚しく養子も姪も大に困り果て、夫婦連にて其家を出奔す。世間にて種々評判あり。寺屋の師匠には珍らしき事なり。其後弟子も次第に離れ、町内の住居なり難くして播州明石へ引取りしが、巳年の飢饉に遇ひて乞食となりて、大坂へ出来りて町内を徘徊す。恥をも知らざる者と云ふべし。 |
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| 森 本 市 蔵 の 妻 |
森本市蔵といへる者の妻、之も出家をなして大勢の子供を世話をなす。主市蔵は芝居の手うち連中の小使をなして、此家に芝居役者共平日に出入す。折々此家に於て淫事の仲人抔なすと云ふ噂有り、是も其行状大に道に背きし事なり。 |
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八 百 屋 平 兵 衛 |
八百屋幸助といへる者有りしが、此者ふと家出をなす。家内驚き一家近 隣大に騒ぎ尋ね廻りしが、其行衛知れずと云ふ。跡にて聞けば川へ投身せしと云ふ事なり。此家の妻子詮方なくて当町を立去り、裏家の小屋に引取しが、其跡の家に平兵衛といへる者出来り、八百屋商売をなせしが、此者至つて不人物にて、常に人と喧嘩口論をなす。後疳症にて陰嚢を切つて死せんとす。未だ切放すに及ばずして、家人庖丁を奪取りしと云ふ。陰嚢切放れずと雖も半ば切込みしが、其後又井に投身せんとして大に騒動す。此者の子大勢有り。兄は盗賊をなし入牢し、弟は町内の子供同士喧嘩をなし、石を打付けて相手の足を損ず。之に依り町内検使を引受けて大なる騒動す。
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