Я[大塩の乱 資料館]Я
2003.3.8

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『洗心洞箚記』 (抄)

その6

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

序 説

二 学風と学説 (1)

 大塩中斎は尋常一様の儒者と其の趣きを異にし、身を持すること極めて巌、然して子弟を教導すること亦た極めて厳格なりしは周知の事なるも、池田草奄

と、其の聞書に記せるは、以て中斎の気魄風格を伝へて余りあるものに庶きか。而して中斎の教育方針は洗心洞入学盟誓八條によりて知ることを得。其の盟誓に曰く、

 此の一文以て硬教育家中斎の面目躍如たるを窺ふに足らんか。人格完成を教育の本義として、「学の要は孝弟仁義を躬行するにあるのみ」と喝破せるは至言と称すべし。此の硬教育家中斎の学説は、一言以て之を尽せば、曰く致良知、曰く帰太虚、曰く気質変化、曰く死生一貫、曰く去虚偽なり。然して之を総括するに孝悌を以てせるものなり。然して之を洗心洞箚記の自序によりて窺ふに、前五項は実に中斎学説の総綱を括るものにして、而も去虚偽と死生一貫は普遍的道徳に属し、気質変化は朱子学の套語、然して他の二項こそ中斎学説の枢軸をなすものにして、特に太虚は中斎学説の根幹をなし最も自得得力の存する処か。然して致良知より端を発するものなり。


井上哲次郎「大塩中斎」その15


『洗心洞箚記』目次/その5/その7

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