寛容さ
460



誰でもすべての行動のウラには承認されたいという欲求が潜んでいると断言してもまず間違いないと考えます。

匿名で献金したりする人がいます。これは他人には承認されない行為ですが、自分で自分を最大限承認できることが、一番のごほうびなのでしょう。

しかし、いっときなら自己承認だけでやっていけるかもしれませんが、自己承認だけでいつまでも続けられるとは到底思えません。たとえば、ボランティアという行為に対して、なんのねぎらいの言葉ももらえないとしたらどうなるでしょうか。おそらくよほどできた人であってもめげてしまうはずです。

人間は承認が空気か水ほどに必要な生き物なのです。

辛らつな批判は承認とは全く逆の行為です。少なくとも特定の個人に対しては、この点を十分考慮して辛らつな批判はさけるべきです。人間は承認なくして生きていけない代物ですから、我々は承認を渇望している他人に寛容であるべきなのです。

私個人を辛らつに批判したり、罵倒した相手に対しては、私は極力円満に対応します。ですからその場は何事もなく終わります。しかし後々まで友だち付き合いしようとは思いません。辛らつな言葉を吐いた時点で私との関係は実質終わるのです。

私は心得違いをしているのでしょうか。そうは思えません。自分に寛容ではない人物と付き合うのは誰だって気が進まないものです。

つまり、自分にとっての友人とは自分に対して寛容であって承認してくれる人であるということです。

ですから、他人の友人でいようと思ったら、その人に対して寛容で、常に承認し続けなければなりません。

クライアントに辛らつならコーチングは絶対うまくいかない、と言えます。自分は辛らつだけれども相手のことを思っているって?誰だってマゾでもない限りそういうのは御免こうむりたいはずです。

承認を食って生きている人間の実態を知れば、寛容であることは人としてあるべき道です。寛容でなければ早晩孤独の人生を送ることになるでしょう。

コーチングを通して承認という概念に向き合うと、寛容ということ大切さがよくわかります。

すべてを承認につなげよ
459



誰でもすべての行動のウラには承認されたいという欲求が潜んでいると言って過言ではないと思います。承認と言ってもいろいろの形態があり、

@ほめてほしい
A同意してほしい
B気持ちをわかってほしい

この3つの境界は曖昧です。ですが@Aは結局、Bの一部です。気持ちがわかれば@Aはほぼクリアできます。またその一方で、

C気安くほめられるのはいやだ
D付和雷同はゴメンだ
E他人に自分の気持ちはわかってたまるか

という相反する感情も潜んでいる。このあたりが人間難しいところです。しかし、CDEは結局本人のレベルについて来て欲しい、ということだから、結局B気持ちをわかってほしい、に関する「注文」だと言えるでしょう。つまり、

「万難を排して、承認してほしい」

これに尽きるのです。ここをよくよく理解する必要があります。誰からも慕われる人というのは、意識的にせよ、無意識的にせよ、このポイントを理解できていて、承認が実行できる人です。

結論は、

「すべてを承認につなげよ」

で、相手のあらゆる言動に承認ネタをさがして、承認を打ち込んで行くのです。これは相手の歓心を買うためではなく、自分がそうされたいから、同じことを他人に施すに過ぎません。

コーチングは意識的にクライアントを承認することです。コーチの人間力は提案力・指導力といったものもありますが、自己承認(self-esteem)に対する認識・洞察に表われるのだと思います。

さらに言いましょう。よく、

「自分を愛せなければ、他人を愛せない」

と言いますが、これはそのまま、

「自分を承認できなければ、他人を承認できない」

とそのまま読み替えることができます。

キリスト教的「愛」も煎じ詰めれば結局「承認」です。つまり、「自分を肯定したい」という相手の承認欲求に対して、

「相手の気持ちをわかってあげて、そうした言葉を相手にかける」

という承認そのものであるわけです。百万言の教訓よりも、たったひと言の承認が人を動かす。これが「愛」でなくて何なのだ、と考えるしだいです。

昼間何をするのか
458



コーチとして独立したい、と言われる方が世間に数多くいます。サイトから私に連絡を取って来る人も多い。

「では、昼間何をするつもりですか」

いつも私はこう問うてみます。通常パーソナル・コーチングの仕事は昼間はヒマです。クライアントさんの大半は昼間働いているはずだからです。パーソナル・コーチングは夜・早朝・週末など、昼間働いているクライアントさんが自宅にいる時間帯にこなすものです。

コーチとして独立している人を仔細に観察すれば、昼間は研修業・コンサルタント業・文筆業など法人相手の仕事をしているのがわかるでしょう。いずれもコーチングを応用した仕事であってもコーチングそのものではないということです。

このポイントを押えている人は普通いません。私がこれを言うとみな一様に、

「なるほど」

と考え込んでしまいます。私はさらにこう言います。

「あなたが言う『コーチとして独立する』とは昼間ブラブラしていて、夜・早朝・週末に働くことだ、ということですね」

「・・・・・・」

「だったら昼間は他のことをして働けばいいのではないでしょうか。その方が収入も多く、生活も安定しますよ」

こう言うといよいよ黙ってしまう。でもその通りなのです。

コーチとして独立するなら、昼間何をするのかが最大のポイントでしょう。

値上げだと?
457



「認定コーチに合格したので、コーチングの料金を値上げします」

このセリフを直接聞いたこともあるし、サイトとかメーリング・リストで見たこともあります。

もちろん値上げするのは本人の自由で、私がとやかくいう筋合いはありません。だから余計なお世話だとは思いますが、この物言いは極めて軽薄で、聞いていて不快です。コーチングは「認定コーチ」などという肩書きでこなすものではないからです。

悪いが大したコーチではないと思います。私個人はこの程度の輩からコーチングを受けたいとは絶対思いません。

コーチングの腕前が上がったからそろそろ値上げを考える、というのなら黙ってやればよいのです。

臭くあるな、らしくあれ
456



30年も前のことになりますが、私の高校の卒業式で、来賓のOB会の会長が標題のテーマで話をされたことを覚えています。○○放送の社長をされている方でした。

「私から諸君に言いたいのは『臭くあるな、らしくあれ』ということです」

「みなさん、テレビドラマに社長臭い人が出てきますね。偉そうにふんぞり返っている。でも実際はあんなことで社長は勤まらない。社長らしい人はあんなことは絶対ない」

さてコーチの勉強会へ行くと、結構コーチ臭い人が目に付きます。つまりやたらと質問する人、大仰に承認する人、コーチングに心酔している感じの人、などなどです。

これらはすべて初心者です。私見ですが、まったくコーチであることを意識させない人がホンモノである可能性が高いです。

コーチングだからアドバイスはしないとか、よくコーチングにこだわる人もいます。これも初心者です。本当のプロはクライアントに必要なことを必要なやりかたで提供できるでしょう。

何も自分がホンモノのプロだと言うつもりは毛頭ありません。しかし、「臭くあるな、らしくあれ」はコーチングの世界でも全く言えてるな、とかねがね感じている次第です。
500 ADD
499 具体的で辛口の承認
498 承認は「ノリ」というプラス・アルファを生む
497 承認を少しでもいいから絡める
496 木に登らせる

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495 ペーシングなんて
494 コーチングはスキルではない
493 コーチングの種類について
492 嫉妬と承認欲求
491 承認欲求

*
490 自己実現欲求と承認欲求は表裏一体
489 究極の自己承認
488 相槌・うなずき・オウム返し
487 成功哲学と自己承認
486 承認とは自己承認の増幅

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485 インターネット・マーケティング
484 とにかくいい時代
483 四十肩(五十肩)
482 夏の思い出(パート2)
481 夏の思い出

*
480 日経経営セミナー(大阪)
479 次の志
478 志がなくては
477 立志の自己承認
476 相手がある問題

*
475 まず自己承認を確保せよ
474 窮地を乗り越えるとは
473 積極心とは、信念とは
472 承認は人生だ
471 すみやかな忘却

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470 承認の世界は生ぬるい?
469 「叱責」は「愚か」
468 承認は承認を呼ぶ
467 承認の世界に生きよ
466 メールは真剣勝負

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465 承認の調整機能
464 承認は功徳だ
463 配偶者の承認
462 プライド
461 座右の書

*
460 寛容さ
459 すべてを承認につなげよ
458 昼間何をするのか
457 値上げだと?
456 臭くあるな、らしくあれ
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455 気安くほめるな
454 社会経験
453 ルールの違い
452 うまく辞めさせるのもビジネス・コーチングのうち
451 「げっそり感」はコスト


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