まず自己承認を確保せよ
475



人が生きていくとはどういうことでしょうか。

人間は内部理性が「これでよし」と判断することで生きているわけです。

真理とか正義、これは人間斯くあるべし、という原則です。その原則にかなっているかどうか判断するのが、人間の内部理性です。

「これでよし」を積み重ねるならば、生きる方向は真理・正義に合致します。その結果、「自分はこれでよし」という自己承認に必ず到達するはずです。

ですから、自己承認のない状態というのは、どう考えても「あってはならない状態」であるわけです。

「まず自己承認を確保せよ」

これはいかなる場合にあっても喫緊のテーマであるはずです。

しかし、世間一般ではそうは教育されていません。往々にして、

「他人に迷惑をかけてはいけない」とか

「人間謙虚であるべきだ」

などと他人や世間中心の考え方が至上価値となっています。しかし、他人の視点は二の次、三の次でいいのです。それよりもまず自己承認を確保することです。これができてこそ、他人との関係をひっくるめて、すべてが正常になるのです。

自己承認が確保できて不遜になったり、天狗になったりしても、自己承認が確保できないでいるよりはよほどマシです。

「まず自己承認を確保せよ」

これは空気や水同様、人間の存在にとって必要欠くべからざるもの、と断言できるでしょう。

人生百般の問題は、まず自己承認を確保することによって解決していくのです。

窮地を乗り越えるとは
474



いかに逆境にあろうとも、自己承認を失わない限り立ち直れる、ということは多くの書籍の指摘するところです。

「オレはできる」と思っている人が最後に勝利するというわけです。

言い換えると、自己承認があって直面する逆境は見せかけであって、まず乗り越えられるものです。

この逆も真です。恵まれた境遇にいても、自己承認がない限りどうにもならない。

積極心とか信念の実体が「自己承認」であるなら、失意、絶望、さらにはそれが慢性化して継続する心の病(たとえば鬱病など)は「自己承認がない状態」に違いありません。

自分の経験を振り返っても、挫折と同時に自己承認を失った時が、一番こたえました。通常そんな場合は叱責や批判が追い討ちをかけ、いよいよ自己承認できなくなるものです。

それからどう抜け出したか?結局一歩一歩「これでよし」を積み重ね、小さな結果を積み上げて行けば、平常心は取り戻せます。

それがある日ブレークして、まとまった成果となれば、自己承認は完全に取り戻せます。いや、窮地を乗り越えたことで、自己承認はより強固なものとなっているものです。

結局、「窮地を乗り越える」というのは「自己承認を取り戻す」というのと等価なのです。

自己承認を取り戻せば全ては解決するのだ、と思っています。

積極心とは、信念とは
473



「宇宙全体が生命で、個々の生命は宇宙生命によって生かされている。だから宇宙生命と強固に繋がらなくてはならない。そのためには積極心を持ちなさい」

これは中村天風の教えです。

では積極心とはどういうことなのか。

「オレはダメだ」

と思っていたのでは積極心は持ちようがないでしょう。

「なにくそ、オレはできるんだぁ」

が積極心であるわけですね。これは言い換えると自己承認です。

自己の人格に対する絶対的な承認は一朝一夕でできるものではありません。日々の生活の雑事にさえ、

「これでよし」

を積み重ねた結果、次第に自己承認ができるようになり、そして自己承認の度合いがますます強くなっていくわけです。そして結果的に、

「自分はこの道を行くんだ、この道は必ず成就するんだ」

という信念が醸成されるわけです。

積極心、信念、こうした究極の言葉の実体は意外にも「自己承認」であったのです。

承認は人生だ
472



性善説、性悪説というのがあります。

切手を貼っていない郵便物は差出人に戻されます。ですから差出人のところに宛先を、宛先に差出人を書けば、切手を貼らずとも郵便物は届きます。だがどこの国でもこれは問題になっていないそうです。

「人々は基本的に正直であるから」

とその記事は結んでいました。性善説を実証するような話ですね。

仏教でも性善説は肯定していて、人間みな仏性あり、としています。罪を犯すのはこの仏性が無明という闇にくらまされているから、と考えるわけです。

では性善説とはどういうことなのか。

人間に善悪を判断できる内部理性が備わっていて、その理性の判断は基本的に正しい、ということでしょう。この内部理性とは仏教でいうところの仏性と等価だと考えます。

ならば、こういうことが言えます。人が生きていくということは絶え間なくこの内部理性が、承認・否定を繰り返すプロセスである、ということです。

「これでよし」「これじゃだめ」

を間断なく繰り返しているわけです。

「これでよし」を毎日繰り返して生きていると、当然出てくる概念は、

「自分は正しい」「自分はできる」

という自己承認ですね。

だから性善説から必然的に導かれる概念は自己承認なのです。つまり自己承認ができてこそ、人間が人間たりえるのです。自己承認ができないということは日ごろ、

「これじゃだめ」

の思いのなかに生きているということなのです。これでは信念や意欲といったものが出て来ず、刹那的、破滅的な人生を送るしかないでしょう。

こう考えると、自己承認は水や空気と同じように必要不可欠ということがわかります。まさに自己承認こそ人生なのです。

すみやかな忘却
471



顔を突き合わすフェイス・トゥ・フェイスの人間関係にあって、承認は幸福への道であり、叱責は不幸への道です。

承認のみの世界に生きる人は、おなじく承認の世界に生きる愉快な家族・友人に囲まれて終生幸せでありつづけます。

これに対して、叱責の入り混じった世界に生きる人は、叱責の程度が高いほど、周囲に誰も寄って来ず、寂しく人生を終えることになります。

「承認のみの世界に生きる人」と「叱責の入り混じった世界に生きる人」は生きる世界が違うのです。もちろん前者の境地の方が高いのは明らかです。

しかし、承認のみの世界に生きていても、叱責の入り混じった世界に生きる人とは接点があり、そうした人から叱責されることは当然ありえます。

たとえば、ふとした偶然のトラブルを、あなたの上司が、

「お前の日ごろの心がけが悪い」

と決め付けて、あなたの人格を攻撃してきたとしましょう。

この場合取りうる最善の態度は何でしょうか。結論を言いましょう。それは「すみやかな忘却」です。

むろん、無抵抗でいなさい、というわけではありません。釈明すべきはしたほうがいい。しかし必要以上の反論は避けるべきです。気合と根性をちらりと見せるくらいにとどめましょう。

叱責されれば誰だって腹が立ちます。しかし、承認の世界の住人は報復するべきはありません。叱責されれば傷つきもします。しかし、承認の世界の住人はこれを反芻すべきでもありません。短時間で忘れてしまう。そして後は何事もなかったかのように振舞う。

こうした振舞いができれば、叱責する相手から一目置かれ、やがては承認されるようさえになるのです。記憶しなければならないのは、承認の世界の住人の方がレベルが高いので、断じて相手のレベルまで自分を下げてはならない、ということです。

屈託なく、何者にも害されない、これが承認の世界に生きる人のあり方だと考えます。
500 ADD
499 具体的で辛口の承認
498 承認は「ノリ」というプラス・アルファを生む
497 承認を少しでもいいから絡める
496 木に登らせる

*
495 ペーシングなんて
494 コーチングはスキルではない
493 コーチングの種類について
492 嫉妬と承認欲求
491 承認欲求

*
490 自己実現欲求と承認欲求は表裏一体
489 究極の自己承認
488 相槌・うなずき・オウム返し
487 成功哲学と自己承認
486 承認とは自己承認の増幅

*
485 インターネット・マーケティング
484 とにかくいい時代
483 四十肩(五十肩)
482 夏の思い出(パート2)
481 夏の思い出

*
480 日経経営セミナー(大阪)
479 次の志
478 志がなくては
477 立志の自己承認
476 相手がある問題

*
475 まず自己承認を確保せよ
474 窮地を乗り越えるとは
473 積極心とは、信念とは
472 承認は人生だ
471 すみやかな忘却
*
470 承認の世界は生ぬるい?
469 「叱責」は「愚か」
468 承認は承認を呼ぶ
467 承認の世界に生きよ
466 メールは真剣勝負

*
465 承認の調整機能
464 承認は功徳だ
463 配偶者の承認
462 プライド
461 座右の書

*
460 寛容さ
459 すべてを承認につなげよ
458 昼間何をするのか
457 値上げだと?
456 臭くあるな、らしくあれ

*
455 気安くほめるな
454 社会経験
453 ルールの違い
452 うまく辞めさせるのもビジネス・コーチングのうち
451 「げっそり感」はコスト


*** コーチングを受けてみませんか
*** コーチングとは(私見)
*** 社会人のためのカウンセリング
*** カウンセリングとコーチング
*** ビジネス・コーチング入門
*** ライフワーク・コーチングの奨め
*** オーケストラ再生のオーディオ
*** オーケストラ録音を聴く
001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
251〜300 301〜350 351〜400 401〜450 451〜500
501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
All copyrights reserved 2006 Yoshiaki Sugimoto