武士道的組織論
940



国際日本文化研究センター教授である笠谷 和比古氏の講演を聴く機会がありました。この人、後で調べてみたら、高校の先輩でした。

この人の説く、武士道的組織論はいいことを言ってます。

*トップの命ずるがままに行動するイエスマンの集りは組織の安定のごとくに見えて、 組織の衰滅の原因である。

*忠義・忠節の核心は、主君・上位者の命令への随順ではなく、諫言の精神の堅持し、悪しき主命、理不尽な上位者の命令に対する抵抗し、その矯正をはかることである。つまり、疑問のある命令に対しては自己の意見を堂々と主張して屈せず、決して周囲の情勢に押し流されることのない自立性があることがポイントだ。

*こういう人材は、組織が困難に陥ったときも任務を放棄したり、責任を転嫁することなく、独り最後まで踏みとどまって劣勢の挽回に奮闘努力くれるし、日常的にも組織に腐敗をもたらす馴れ合いと、事なかれ主義の危険を不断にチェックしてくれるものだ。


武士道とは結果責任なのだそうです。主君(長上)の命令には従わなくても、結果がOKなら責任は問われない。しかし、結果が悪ければ責任を取る、つまり切腹するということになります。

現代には切腹はそぐわないです。しかし、その点を除けば、江戸時代の武士道は現代にでもそのまま通じる気概だと言えます。管理職は櫓を漕ぐのが仕事ではなく、かじを切るのが仕事ですから、イエスマンでは話になりません。武士道精神がないと意味がないわけですね。

ビジネス・コーチングも欧米ならともかく、日本人は武士道精神に則ったものであるべきなのだ、と考えさせられた次第です。結局、武士道とは魂を売り渡さないことに尽きるということです。

水たまりの水
939



水たまりの水は流れません。これは周囲に欠落がないからです。つまり動き出そうと思えば、周囲に欠落をつくる必要があるということです。周囲に欠落を敢えてつくろうとすれば想いが要るのです。

過日連絡を取ってきた若い男性ですが、今やってる仕事もあまり得意とは言えないし、周囲からも評価されていない、といいます。

「で、どうなったらいいのですか」

というと、周囲から評価されたい、と答えましたが、これはうわべだけの答えでしょう。

「そりゃ、誰でも周囲から評価されたいのですが、今の仕事ではそれも無理かな、と思ってらっしゃるんでしょう。本当のところ、将来に向けてどうしたいんですか」

と問うたら、答えに詰まった。

「書いてこられた文面と、あなたの受け答えから、私は水たまりの水のような静的な状態を連想するのですよ」

と言ったら、そうですか、という。わたしは嫌味に聞こえないよう、丁寧に話しました。

「うん、その『そうですか』という受け答えなんですが、『いや、実はこんな想いがあるんです』という話になりませんか。『そうですか』と言われても、私は如何ともしがたいですよ」

この人とのセッションはここまでです。私のところに連絡を取ってきたのは、これではいけない、しかし、どうしたらいいのかわからない、からでしょう。

「どうしたらいいかわからない、のなら今のままでいいわけですよ。わからないんだから仕方がない。この点は他人は一切手出しができません。今日の出会いをきっかけに、本当にどうしたいのか、日々考えていきませんか」

と言ったら、今度は、わかりました、と答えた。

それでセッションは終わりましたが、こんなセッションは寝覚めが良くないです。何か彼の想いを語って欲しかったし、聴きたかったと思います。

才能は欠落
938



お前は気付いていないんだ、私の知る限り才能は過剰ではなくて欠落だ、ありとあらゆる能力を使ってその欠落を埋めようとする、それが表現なんだ、お前はその欠落を放置しようとしている、その欠落は意志を持っていてひょっとしたらおまえ自身よりも強いかも知れない。(村上龍「ラッフルズホテル」)

セッションであるクライアントさんとお話していたら、才能は欠落だ、言葉を引用して来られました。出典は村上龍ということで、調べてみました。

そのクライアントさんは自称ADHDで、天才肌のところと欠点が同居しているタイプです。実は私も長所も大きいが欠点も大きいタイプで、その意味では大変共感できるのです。ともにレーダーチャートを描くといびつな形になると思います。

若い頃の私は円満と程遠い人格で、変わり者、周囲の人からみたら変な奴だったと思います。今だって変な奴ですが、ずいぶん丸くはなったのです。でも昔はギンギンに尖っていました。

これとは反対にレーダーチャートを描くと取り立てて大きくはないが、きれいな多角形になる人もいます。どちらかというと女性に多い。平凡にして円満というタイプです。

さて、上昇志向とか学びの意欲があるのは当然、円満でないほうです。ありとあらゆる能力を使ってその欠落を埋めようとするからです。それが大器晩成ということではないでしょうか。コーチングが向くのも当然円満でないほうです。

人間いろいろ才能を持っていても、年を取るにつれてただの人に成り下がっていきます。どれだけ尖れるかが青春ではないか、と思うのです。

挙手の求め方
937



批判・叱責の類を外的コントロールといいます。この外的コントロールを使えば、コーチングなどは論外ですから、私のセミナーでは必ず外的コントロールの話をします。

そして、この外的コントロールがいかに普遍的なものであるか、を実証するために次のような質問を毎回受講者にしているのです。

「私の職場に外的コントロールはある、と思われる方、挙手をお願いします」
「私の家庭に外的コントロールはある、と思われる方、挙手をお願いします」

受講者のノリが良く、受講態度もいい時は大半の人がここで手を上げてくれます。しかし、受講者のノリが悪く、受講態度も悪い時は、たとえそうであっても、周囲に影響されてほとんど手が上がらないことがありました。出鼻を挫かれてしまいますね。

そこで、受講者のノリが悪く、受講態度も悪いと判断したときは、こうもっていきます:

「私の職場に外的コントロールはない、と思われる方、挙手をお願いします」
「私の家庭に外的コントロールはない、と思われる方、挙手をお願いします」

敢えて誰も手を上げません。つまり全員が職場にも家庭にも外的コントロールあり、と認めたわけで、話の腰は折れませんから狙い通りですね!最近は安全策でこちらの尋ね方をすることのほうが多くなりました。

受講態度の悪い人
936



過日、某所でコーチングの研修を2日間させてもらいました。

初日ですが、最前列で寝ているオバサンがいました。私の研修では順々にテキストを音読させる、質問する、という措置を講じており、絶対寝ていられる講義ではないのです。

どうもそのオバサンは他の人と様子が違う。おそらく変な人か、変わり者だろうと判断し、無視しました。以前はこうした受講態度の悪い人は気になったのですけれど、最近は割りと平気です。最近、怒号と罵倒の日創研の研修も体験してますので、これぐらいのことでビビってられるかい、と思えるのです。その意味では日創研の研修は効能ありですね。

受講態度の悪い人というのはいます。それは私のせいではありません。

さて、研修の終わりの締めくくりで私が一席ぶっていた時、このオバサン、最前列でテキストと筆記用具を片付け始め、帰る準備に取り掛かりました。人前でしゃべっている他人にいささかの気遣いもないんだな、と思った次第ですが、ま、こんな人がいてもペースを崩さないのがプロです。こりゃ、だいぶプロの領域に近づいたのかな、と思うことにしました。
950 志は不遇の時期にこそ立てるもの
949 LASIK
948 親方スタイルと現場監督スタイル
947 森を十分俯瞰する
946 被害者ではなくクレーム処理係と考えよう

*
945 指摘されなかった良いところに焦点を当てる
944 叱責のきつい相手と付き合う法
943 想いが強み
942 これからですよ、十分戦えますよ
941 想いを持つには自分の価値に気付くことが必要

*
940 武士道的組織論
939 水たまりの水
938 才能は欠落
937 挙手の求め方
936 受講態度の悪い人
*
935 本音を打ち明けたい人になるには
934 減点主義の毒消し
933 日創研の自己啓発セミナー
932 ボス・マネジメント(ボス・マネ)
931 イヤな相手はこう躱(かわ)そう

*
930 会話術に拘泥せず、加点主義を身につけよう
929 引き寄せの法則の扱い方
928 シークレット
927 チャレンジという概念
926 自己承認に長けた人格

*
925 語ってもらってまず切実さを理解する
924 批判・叱責に強くなるためには
923 自分に自信が持てない人
922 人はどうして承認が必要なのか
921 聖人とか悟った人というのは

*
920 大本営方針
919 雑誌SPA!のバイト特集
918 スピーチは心ここにあらずの聴衆を引き込むもの
917 志の欠落は否定形
916 死守しなければならない原則

*
915 アイスブレーク
914 他人にどう思われるか、という心配
913 敢えて組織のお荷物になろう
912 独自路線
911 人の振り見て我が振り直せ

*
910 陰ながら応援してますよ
909 コーチングは切実な想いのみをサポートできる
908 ストレスを感じたらその時点でガス抜きをする
907 悩んでいる人が落ち込む陥穽
906 この際社会勉強のつもりで行ってみませんか

*
905 3時間のセミナー
904 悩みと夢
903 『変なおじさん』というギャグ
902 新婚さん
901 積極心とは


*** コーチングを受けてみませんか
*** コーチングとは(私見)
*** 社会人のためのカウンセリング
*** カウンセリングとコーチング
*** ビジネス・コーチング入門
*** ライフワーク・コーチングの奨め
*** オーケストラ再生のオーディオ
*** オーケストラ録音を聴く
001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
251〜300 301〜350 351〜400 401〜450 451〜500
501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
All copyrights reserved 2006 Yoshiaki Sugimoto