Я[大塩の乱 資料館]Я
2000.11.1

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『大塩の乱関係資料を読む会会報 第42号』


2000.10.30

発行人 向江強/編集 和田義久

◇禁転載◇

目 次
第134回例会報告 
「塩逆述 巻七 中」

(5)矢部氏より平山呼出し書
(6)文左衛門より文之介へ来ル書
(7)大番衆よりノ書
 
○城内警備の人数について
○「百騎衆」について
○大坂城の守備体制について
○「大塩平八郎」猪俣為治
○新刊情報『それぞれの明治維新』
     『日本郵便発達史』
     『国際交流フォーラム 近世の大坂』
     『精神科医が診た歴史上の事件 大塩平八郎の乱』
     『国定忠治の時代』
     『民衆運動史 3 社会と秩序』
     『天保の雪』
     『西区むかしの物語』
     『蔵屋敷 1』

第134回例会報告

 第134回例会(『塩逆述』からは第64回)は九月二五日に開催、巻七(中)の八丁から十丁まで読み進んだ。参加者は一五人であった。

 冒頭、天保の米価についての前回の会報報告に触れて、現在の米価と単純に比較できないという話になった。

(5)矢部氏より平山呼出し書

 大岡紀伊守家来が、勘定奉行矢部駿河守(御勝手方)から至急の呼び出しを受けて、平山助次郎とその小者二人を、囚人とは異なる別段の心得で預かるようにという文書と、同時に申し付けられて書かれた請書である。

 最初の申渡しの宛名「大岡紀伊守家来 中西久作」と、請書の「大岡紀伊守家来 中西孫作」が同じ人物か、疑問が残った。どちらかが書き間違いの可能性が高い。大岡紀伊守忠愛は、西大平藩(三河)一万石、大岡越前守から五代目。平山は、のち裁決で安房勝山酒井大和守忠嗣(安房勝山)に預けられ、自殺。

 請書の宛名「御奉行所 御留役 関保右衛門」の「奉行所」は勘定奉行所のことであろう。公事方に評定所のもと「留役」があり、関保右衛門(行篤)は、天保八年五月に勘定組頭になるまで、評定所留役を勤めている。(のち、勘定組頭、代官、勘定吟味役、新潟奉行、堺奉行、京都町奉行など歴任。『江戸幕府勘定所史料』村上直・馬場憲一編 吉川弘文館 1986 p299)

(6)文左衛門より文之介へ来ル書

 差出人も宛名人も不明。乱後五日で一定事情が判明したことがうかがえる。騒乱や火事の様子を大坂から他の地域にいる家人にあてたものか。

(7)大番衆よりノ書

 乱の原因について聞き知ったところ、城内の警備の様子などを、江戸の知人にであろうか、書き送ったものである。日付はない。「山城守組与力大塩平八郎と申者大器量者ニ而」とあり、大塩の評判が高かったこと、跡部との悶着についてかなり広い範囲で伝わっていたことがわかる。かなり長いもので、次回に続く。
   (和田氏欠席のためNがまとめました。)

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(猪俣為治「大塩平八郎」明治31年12月14日朝日新聞掲載より、出典は不明、一部訂正、石崎東国『大塩平八郎伝』p358 などで補足)

追手口    城代土井大炊頭利位       七百人  下総古河八万石
追手口門外  城代家来            二百人
乾の方    大番頭菅沼織部正定志同組支配  八百人  三河新城七千石
坤の方    北条遠江守氏喬同組支配     八百人  河内狭山一万石
玉造口内   定番遠藤但馬守胤統       五百人  近江三上一万石
城外京橋口  一加番土井能登守利忠      五百人  越前大野四万石
城内青屋口  二加番井伊右京亮直経      五百人  越後与板二万石
城内雁木坂口 三加番米津伊勢守政懿   三百五十余人  出羽長瀞一万一千石    
同      四加番小笠原信濃守長武  三百五十余人  播磨安志一万石
本町口    船手奉行本多大膳成孚      未詳

   (京橋口定番・米倉丹後守昌寿は未着任、武蔵金沢一万二千石)

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 会報39で疑問のまま残った「百騎衆」は、大番頭に付属する「旗本百騎与力」のことではないか。東国『大塩平八郎伝』の中で、菅沼織部正の兵力として、「旗本百騎与力二十騎同心四十人」となっている。   『江戸幕府役職集成』(笹間良彦 雄山閣 増補版 1997)では、12組のうち2組が大坂在番、番頭一人に4人の組頭と番衆50人が属し、与力10騎と同心二十人がつく、とある。今井論文でもこちらに近い数である。

 「浮世の有様 巻六」に以下のものがある。

 これからみると、大番頭ひとりにつき、百騎を従えていたことになる。 もう少し調査の必要がある。

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 今井貫一「大阪城の衛戌勤番制度」より抜粋。

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          2000年10月

  創立25周年記念講演会及び懇親会のご案内

 秋たけなわの候、会員の皆様にはますますご清栄のことと存じます。さて、このほど当研究会は創立25周年を迎えることとなりました。これを記念して下記のとおり、講演会及び懇親会を実施します。お繰り合わせのうえ、多数ご参加ください。
        記

1.記念講演会
 と き  11月19日(日)午後1時受付 1時30分開始
 ところ  大阪市天王寺区東高津町 大阪府教育会館(たかつガーデン)
   (近鉄上本町駅下車徒歩3分、地下鉄谷町九丁目下車徒歩5分)
 トーク  私と大塩研究  会員有志
 講 演  相蘇 一弘先生(大阪市立博物館長)
       「大塩平八郎の『猟官運動』をめぐって」
 参加費  500円(ただし下記の懇親会出席者は不要)     

2.創立25周年記念懇親会
 と き  11月19日(日)午後5時
 ところ  大阪府教育会館(たかつガーデン)
 かいひ  5000円

★準備の都合上、11月10日までにご連絡ください。

〒530−0053 大阪市北区末広町1−7 成正寺内
   大塩事件研究会  会長 酒井 一
    連絡先Tel 06−6451−7909(井形)


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