百尺竿頭
一歩を進
む
虚の一字
は最後の
断案なり
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此豈非 道 大虚 乎、吾大虚之説、皆亦祖 述此 来、而張子之大虚、無
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復異 之也、人如無 欲、則独自了悟焉、否則必有 疑 類 于老仏 者 、
不 弁而可也、
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と、然り、平八は明かに陽明、大虚の説を祖述し、拡充するものなり、然れ
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ども陽明は大虚即良知、良知即大虚と推論したるに止めたれば、陽明の理想
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は大虚にして、又た連用するに良知の二字を以てす、而かも平八は百尺竿頭
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更に一歩を進め大虚即良知、良知即大虚を拡充して、大虚是虚大虚是良知故
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良知是虚と推理し、竟に大虚を理想とし、虚を世界観とし、ナンヱゴーを大
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虚となし、ヱーゴーを虚となし、汎く虚の字を用いて最後のゼネラリゼーシ
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ヨンとなし、宇宙の虚物の虚なる有形的の虚をも、大虚の虚栄心の虚なる、
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無形的の虚、をも通じて虚の一字を最後の断案として喝破せり、是れ平八が
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陽明学派の規模中に於いて、新に一機機軸を出たせしところたり、故に平八
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は毎に有形の虚と、無形の虚と、大なる虚と小なる虚とを相ひ連ね相通して
用ふ、某の
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天下 特在 上蒼々大虚已 也、雖 石問虚竹中虚 、亦天也況老子所 云谷
神乎
と曰ひ
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躯殻外之虚、便是天也、天者吾心也、心葆 舎万有 於 是焉可 悟矣
と曰ひ
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身外之虚者、即吾心の本体也、故曰、語 大天下莫 能載 焉、
と曰ひ
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汎(あまね)く
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