問学工夫
の方針
学風の特
色
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第四部門は史類なり、平八の宿論として史を以つて英雄豪傑事業の記録と見
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做し、一概に之を夢中の成敗を写す者として排責せるが故に、事の道徳仁義
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忠孝節義に関せざるものは、之を載せず、唯二十一史は学者として必らず一
読せざるべからざるものたるに於いて、之を第一に置きしのみ、而かも史は
平八が多く重きを置かざりしところたり、独り怪む平八の史論に対する彼の
意見を有しながら、何か故に名臣言行録を以つて史論の最上位に置かざりし
やを、然れども是れ重きを置かざる史類のことなれば暫らく通常の順序に随
ひしのみ、と見るの外なし、
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第五部門は詩文の門なり、詩文は平八が重せざるところ、見て以つて彫琢の
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末枝となすところなれば之をかく最後の部門として史類の後尾にさへ列ねた
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るなり、
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以上を平八が規定せる課程書目の順序となす、
而して平八は又た其の学堂の西掲に於いて陽明が龍場諸生に示すの語を掲げ
て
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立志 勧学 改過 責善
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の四大綱を以つて、其の後学か問学工夫の方針と定めたり、又た其の東掲に
於いて呂新吾の語を記して、第一に
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堯舜事功孔孟学術
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の條項を掲け、其の学風の知行合一、学術事功合一なる、特色あることを示
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して、後学入門の指南車となせり、
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以 是観 之、平八が学術研究の方面に於いて果して如何なる順序を以つて其
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の後学に教授し、又た後学をして研鑽せしむるかの、方針の一班は之を掌上
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に指すが如き者あるなり、特に其の学課々程書目の先後と取舎とに於いて其
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の学風の特色、乃はち明かに之を窺ふを得るなり、
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山田準
『大塩中斎』
その28
山田準
『大塩中斎』
その15
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