Я[大塩の乱 資料館]Я
2015.5.27

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『通俗洗心洞箚記』
その109

大塩中斎著 下中芳岳(1878-1961)訳

内外出版協会 1913

◇禁転載◇

下巻 (23)二五 濡れても霑れぬ

管理人註

暁行。忽値雨、而 無簑笠。頭頂迄 手脚尽霑。是時心 為之動、即方寸之 虚亦復霑也。不動 則与太虚之不霑 乃一般。因此又悟水不濡之理

  はや  朝暁く道を行く。忽ち雨に値ふ、而も蓑も無く笠も無い。              づぶぬれ  ぬ 頭から頂から手脚に至るまで尽霑に霑れて了ッた。  さて此の時、此の時に不快の為に腹立たしく思ふなどで心 が動くならば、それは、方寸の虚もまた雨に霑れて居るので 太虚の虚では無い。若し、此の時、少しも心の動かぬならば、 それは、太虚の霑はざると一般、真に修養の積んだ人である と言へる。此に因ッて又、水に入ッて濡れざるの理を悟るこ とが出来る。

                        此の條を読んで、曾て山岡鉄舟が雷雨の中を少しも驚く 色なく傲然として霑れたるまゝ大道を闊歩したといふ話 を思ひ出さゞるを得なんだ。

『洗心洞箚記』
(本文)その197
 


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