Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.12.31

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『通俗洗心洞箚記』
その11

大塩中斎著 下中芳岳(1878-1961)訳

内外出版協会 1913

◇禁転載◇

上巻 (7) 七 読書の利弊

管理人註

之以風雨、 故品物資其潤 沢而生長。然 人撤壁去屋、 露坐露寝、則 必為之所傷、 而病不死者鮮。 読書亦然。書 固入道之具也。 然不要而 泛観博覧、則 徳壊而悪殖、 吁、亦敗己乱 世、可慎 哉。

 天の万物を養育するや、風雨を以て之に臨むが故に、万物        たす は、其の潤沢に資けられて生長する。然しながら、人若し、      をく            ど う 壁を撤し、屋を去り、露坐露寝すれば、如何であらうか。必 ずや、万物の生長を資くる其の同じ風雨の為に、或は傷けら れ、或は病を得て死なぬものは蓋し鮮なからう。読書の利弊     たとへ も亦此の比喩によッて考ふべきである。書は固より修道の具        くら である。智識の庫である。けれども、其の良、不良の要を弁          はんくわんはくらん           やぶ ぜず、手当り次第、泛観博覧するに於ては、反ッて徳壊れて         ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ 悪殖うるに至る。書は修養の要具ではあるが、何等の選択も ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○みだ ○ なく乱読するに於ては、己を敗るのみならず為に世をも乱す ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ に至らざるを得ない。慎むべきでは無いか。

    今の世の如く、言論自由、出版自由の下に悪書の横行す る時に当りては、特に書籍の選択は■むべきことである。 過ぎたるは猶ほ及ばざるが如し、多読の反ッて■読に如 かざることすらある。



『洗心洞箚記』
(本文)その8






鮮(すく)なか

















■(欠字)
「慎」か

■(欠字)
「少」か
 


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