心帰乎太虚、然後
実理始存焉。不帰
乎太虚、則実理埋
没了、与物不異、
夫人而与物不異、
可恥之甚者也。挙
世不恥之、則其霊
将何在哉。
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(一)
心太虚に帰るを以て始めて実理は存するのである。太虚に
帰らぬならば、実理は埋没して了ッて物と異ならぬ。人にし
て物と異ならぬは、最も恥づべきことである。而も今の世の
こぞ いづく
人、挙ッて之を恥ぢとせぬ。斯くては人としての霊、そも何
にあるであらうか。
(一)こゝに実理とあるのは精神的霊覚、虚霊不昧なる
実在を指すのである。大体に於て前より述べ来れる
良知と略同じである、と見てよろしからう。
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『洗心洞箚記』
(本文)その202
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