Я[大塩の乱 資料館]Я
2015.1.21

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『通俗洗心洞箚記』
その21

大塩中斎著 下中芳岳(1878-1961)訳

内外出版協会 1913

◇禁転載◇

上巻 (17) 一七 あゝ是れ、人生の大哀!大恨!

管理人註

血気随死而腐壊 散滅。如夫浩気、 不死而腐壊 散滅。聖賢俊傑 之道徳功烈、赫 然乎宇宙、経 年益光輝焉、此 何物。即是浩然 之気也。於凡庸 決無之、血肉漢 不 也。荏苒与歳倶 逝、不虫蟻 草木朽腐畿希。 非大哀耶。非 大恨耶。思之、 勤一字、豈容忽 乎哉。

  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ふ ゑ さんめつ ○ ○ (一) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○  血気は死に随ッて腐壊散滅する。浩然の気に至ッては決し ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○   ○ ○ ○ て死に随ッて腐壊散滅するやうなことは無い。かの、聖賢俊 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 俊傑の道徳功烈、宇宙に赫然として、年を経るに随ッて益々 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 光輝を発するあるは、そも何の故ぞ。即ち是れ浩然の気の永 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎   ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ 遠不壊なるが為では無いか。見よ、凡庸の徒に於ては、生前 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ に於て如何に富を積み財を蓄へ、栄耀栄華をなし得たればと ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ て、死と共に此の世界に何等の存在もなきに至るでは無いか。 ◎ ◎ ◎ けらく ◎ お ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎   ◎ ◎ ◎ 生前の快楽を趁うて営々たる世上幾多の血肉漢よ、憤せよ、 ◎ ◎ ◎   ◎ ◎ ◎   ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎   ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 憤せよ、せよ、而して永遠不滅の生を得よ、浩然の気を養 ◎ ◎ ◎  じんぜん ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎   ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ひ得よ、荏苒歳月と倶に逝きて、何等世に貢献する所なく、 ◎ ◎ ご せ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎   ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 何等後世を考へざる如きは、かの虫蟻草木の朽腐するに何の ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎   ◎ ◎ ◎ ◎   ◎ ◎ ◎ ◎ ● ● ● ● ● ◎ 択ぶ所も無いではないか。酔生夢死!あゝ是れ人生の大哀で ◎ ◎ ◎ ◎   ● ● ◎ ◎ ◎ ◎ ◎   ○ ○ ○ ○ ○ つとむる ○ ○ ○  ○   ○ はないか。大恨ではないか。之を思へば 勤 の一字、豈、忽 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ にすべけんやだ。努力精進以て浩然の気を養へ。是れ寔に人 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 生の要諦である。

    口舌の儒に斯の言ありとて何等の権威をも感ずることが 出来ない。何となれば、斯の如きは、道を説かん程のも のゝ常套語なるん゜故に。されど、我が中斎をして此の 語を語らしむる、我等大なる権威に打たれざるを得ない。 彼は世の尋乗一様の腐儒では無かッた。酔生夢死の人で は無かッた。彼の人格や事業やは、実に、宇宙に赫然と                    はな して居る。年処を経るに随ッて益々光輝を発ちつゝある。 (一)浩然の気とは我欲妄執を脱し尽して宇宙の大霊に   合一したる精神状態をいふ。なほ下巻三條に委しい。

『洗心洞箚記』
(本文)その18




























寔(まこと)
 


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