血気随死而腐壊
散滅。如夫浩気、
不随死而腐壊
散滅。聖賢俊傑
之道徳功烈、赫
然乎宇宙、経
年益光輝焉、此
何物。即是浩然
之気也。於凡庸
決無之、血肉漢
不可不憤
也。荏苒与歳倶
逝、不遠虫蟻
草木朽腐畿希。
非大哀耶。非
大恨耶。思之、
勤一字、豈容忽
乎哉。
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○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ふ ゑ さんめつ ○ ○ (一) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
血気は死に随ッて腐壊散滅する。浩然の気に至ッては決し
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て死に随ッて腐壊散滅するやうなことは無い。かの、聖賢俊
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俊傑の道徳功烈、宇宙に赫然として、年を経るに随ッて益々
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光輝を発するあるは、そも何の故ぞ。即ち是れ浩然の気の永
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遠不壊なるが為では無いか。見よ、凡庸の徒に於ては、生前
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に於て如何に富を積み財を蓄へ、栄耀栄華をなし得たればと
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て、死と共に此の世界に何等の存在もなきに至るでは無いか。
◎ ◎ ◎ けらく ◎ お ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
生前の快楽を趁うて営々たる世上幾多の血肉漢よ、憤せよ、
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憤せよ、せよ、而して永遠不滅の生を得よ、浩然の気を養
◎ ◎ ◎ じんぜん ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
ひ得よ、荏苒歳月と倶に逝きて、何等世に貢献する所なく、
◎ ◎ ご せ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
何等後世を考へざる如きは、かの虫蟻草木の朽腐するに何の
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択ぶ所も無いではないか。酔生夢死!あゝ是れ人生の大哀で
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はないか。大恨ではないか。之を思へば 勤 の一字、豈、忽
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にすべけんやだ。努力精進以て浩然の気を養へ。是れ寔に人
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生の要諦である。
口舌の儒に斯の言ありとて何等の権威をも感ずることが
出来ない。何となれば、斯の如きは、道を説かん程のも
のゝ常套語なるん゜故に。されど、我が中斎をして此の
語を語らしむる、我等大なる権威に打たれざるを得ない。
彼は世の尋乗一様の腐儒では無かッた。酔生夢死の人で
は無かッた。彼の人格や事業やは、実に、宇宙に赫然と
はな
して居る。年処を経るに随ッて益々光輝を発ちつゝある。
(一)浩然の気とは我欲妄執を脱し尽して宇宙の大霊に
合一したる精神状態をいふ。なほ下巻三條に委しい。
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『洗心洞箚記』
(本文)その18
寔(まこと)
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