聖賢名誉之伝於万
世、而不朽者、此
非名誉之伝於万世
而不朽也。其自初
至終、所実践仁
義礼智之徳、与天
之春夏秋冬只一箇、
故其人雖死、其霊
駕於春夏秋冬之気、
偏布克満乎天地間、
而人不能>、以
是伝於万世而不
朽也、仮善偽行、而
焉至於此哉。
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聖賢の名誉が万世に伝ッて朽つるなきは、名誉そのものが
万世に伝ッて朽ちぬのではない、其の初より終まで実践する
所の仁義礼智の徳が、天の春夏秋冬と同じ本体の発現なるが
う
故に、たとひ、其の人の身体は死と共に亡せても、其の霊は、
春夏秋冬の気に駕しして此の天地の間に偏布充満してゐて、
わす
人はそれを>るゝことが出来ない。是の故に万世に伝ッて朽
ちぬのである。されば、仮善や偽行やは如何、そは、天の運
行たる春夏秋冬と其の本質を全く異にするが故に、直ちに消
えて其の正体が暴露される、どうして万世に伝らうぞ。
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『洗心洞箚記』
(本文)その51
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