「不遷怒、不弐
過」。学者所效法。
然不用克己之苦
功、而不遷怒、
不弐過、則非柔
惰不振之士、必
掩奸飾非者也。
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(一) ふたゝび
「怒りを遷さず、過を 弐 せず」とは、孔子嘗て吾人を戒
め置かれたる所、学者また效うて以て法とする所である。け
れども、此の事は、努力修養の結果としてのみ到達し得べき
境である。然るに、若し、克己奮闘の苦功を積むなくして、
ふたゝび
怒りを遷さず、過を 弐 せざるものあらば、其は柔惰不振の
士にあらずば、必ず奸を掩ひ非を飾るの輩である。
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『洗心洞箚記』
(本文)その63
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