Я[大塩の乱 資料館]Я
2015.2.16

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『通俗洗心洞箚記』
その44

大塩中斎著 下中芳岳(1878-1961)訳

内外出版協会 1913

◇禁転載◇

上巻 (40) 四〇 月の光に見よ

管理人註

月之障乎樹葉、而 雖葉間於光、 葉之当処遮了、乃似月体而非虧焉。 是可常人良知之 障於気質、而隠見 断息之義也。故学 不化気質、 則良知雖於内、 焉能照徹於外也哉。

  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○  月が樹の葉に障へられた時、光は葉の間を漏るけれども、 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○つきのかたち ○ 葉に当る所は遮へられてある故、一寸見ると、恰も 月体 が か ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 虧けてゐるかのやうに見える。しかも月は決して虧けて居な ○   ○ ○ ○ ○ ○(一)○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ い。人には誰も良知がある。けれども常人にあッては、良知 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○(二)○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ は気質の為に障へられて、而て隠見断息すること、恰も月光 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ やう ○ ○ ○   ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ が木の葉に障へられるが如である。されば、学問修養の目的 ○   ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○(三) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ は、主として、此の良知を覆うて居る気質を変化するにある。 ・・ ・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 若し、人にして、善く此の気質を変化して純良ならしめぬな ・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ らば、心の奥底に良知が潜んでゐるに拘らず、其の光を放ッ ・・・・・・・・・・・・・ て外界を照徹するに至らない。

    (一)良知、(三) 気質変化の意味は(一〇)に詳しい。                 とだえ (二) 見えがくれになッたり、時々断息たりすること。


『洗心洞箚記』
(本文)その65
 


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