有形質者、雖大
有限。而必滅矣。
無形質者、雖微
無涯。而亦伝矣。
高岳桑田、或崩、
或為海。而唾壷之
虚、即太虚之虚。
而唾壷雖毀、其虚
乃帰乎太虚、而
万古不滅也。
|
かたち めつ
形質のあるものは、如何に大きくても限りある。必ず滅す
ちひさ
る。形質のないものは、如何に微くても涯がない。永遠に伝
はる。例へば、高岳や桑田や、或は崩れ、或は海となる。け
だこ (一) こは
れども唾壷の虚は即ち太虚の虚、唾壷は毀れても、其の虚は
其のまゝ太虚に帰ッて万古に不滅である。
(一)虚は単に空間をさして居るやうに見える。けれど
も、空間必ずしも虚ではない。中斎の虚といふのは、
物質界に対する霊界又は精神界の総名と称するがよ
からう。蓋し、空間を以て虚としたのは、霊界の象
徴として空間を借りたと見れば誤解はあるまい。
|
『洗心洞箚記』
(本文)その81
|