Я[大塩の乱 資料館]Я
2015.2.20

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『通俗洗心洞箚記』
その48

大塩中斎著 下中芳岳(1878-1961)訳

内外出版協会 1913

◇禁転載◇

上巻 (44) 四四 史論の価値

管理人註

諸儒有史論、而 周程陽明先生等、 及史論亦罕焉、 何也。夫古今之英 雄豪傑、多従情欲 上做来。雖情 欲上做来。則驚天 動地之大功業、要 夢中之伎倆而已。 評夢之是非、明 道君子之所 言、而是所以史論 之亦罕也歟。故周 程陽明先生終日所 言所論、惟喚醒 自英雄豪傑閭 巷愚夫婦之昏夢 而已耳。読其書、 可其苦心甚乎 諸儒之史論也。

                   (一)  大抵の儒者には史論がある。けれども、周程陽明先生など            まれ の史論に及べるの極めて罕なるは何故であらうか。一体、古 今の英雄豪傑、多くは情の赴くに任せて其の事業を成就した。 情の赴くに任せて仕遂げた事業は、仮令それが驚天動地の大 功業であッたにしても、要するに夢我夢中の伎倆である。何 等自覚的の事業では無い。夢の是非を評する如きは明道君子 の言ふを欲せざる所、是れ取りも直さず、周程陽明先生等に 史論の罕なる所以ではあるまいか。周程陽明先生等の終日言 ふ所論ずる所は、唯々其等英雄豪傑より閭巷の愚夫愚婦に至            よびさま るまでの無自覚な昏夢を喚醒さうとするにある。されば、是 等諸先生の著書を読むもの、宜しく其の苦心諸儒の史論より も甚しきものあるを見るべきである。

    聖人君子を英雄豪傑の上に置くはよろしい。が、英雄豪 傑の事業は全く夢中の伎倆、許する限りにあらずと貶す べきか否か、此の点聊か同じ難い。 (一)周は周茂叔。程は二程子則ち程道明、程伊川。陽   明は王陽明。共に中斎の私淑してゐた人であッた。

『洗心洞箚記』
(本文)その82





























貶(けな)す
 


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