Я[大塩の乱 資料館]Я
2015.5.2

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『通俗洗心洞箚記』
その87

大塩中斎著 下中芳岳(1878-1961)訳

内外出版協会 1913

◇禁転載◇

下巻 (1)一 人に此の三類あり

管理人註

性善上道来 者、不高下精 粗、堯舜孔孟之血 脈也。自情欲上悪来者、不 小大深浅、桀紂莽 操之苗裔也。外粧       ウチ 点仁義、而衷包蔵 功利、以道問学、 以従事世務者、便 是覇者之奴隷也。億 兆雖勝算、 人品要不乎此三 等。吁、欲人者、 択不之、焉得知。 而閲史者、亦以之 観当時之人之心術行 事、則了了然。

  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○  (一)○  良心の声に聞いて道を行ふ者は、高下精粗に論なく、堯舜 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ 孔孟の血脈である。情欲の赴くに任せて悪を犯すものは、小 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○  (二)○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○   ○ ○ ○ ○ ○ かゝ                 大深浅に論なく、桀紂莽操の苗裔である。外、仁義を粧ひ点 ○  うち  ○ ○ ○ ○ ○ をさ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○            い げ、衷、功利を包み蔵めて、以て問学を道ひ、以て事に従ふ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 者は、即ち是れ覇者の奴隷である。人間算ふるに勝へざる程                       ・・ ・・ 多けれども、人品の要は此の三等の外に出ない。あゝ、人た ・・・・・・・・ (三)・・・・・・・・・ いか・・・・・・ らんと欲するもの、択んで之を行はざれば、焉でか此の三等 ・・・・・・・・・・ の別あるを知り得よう、而して史を閲する者、亦之を標準と                           あき して当時の人の心術行事を観るならば、其の人物の真価は了 らか 然になるであらう。

    (一)堯舜孔孟にて聖賢といふに同じ。 (二)桀、紂は悪王。莽は王莽、操は曹操、共に帝位を   簒奪したる反逆者。         (三)自らの志行を反省して、其の何れに当れるかを意   識せずばの意。即ち何等の自覚もなくして、習慣や   摸倣のみにて行為してゐてはの意。

『洗心洞箚記』
(本文)その153



 


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