呂新吾先生曰。
「古人名望相近則
相得、今人名望相
近則相妬」。吁、
其相妬也、以有
一点利心也。一
点利心、使碩学
鴻儒化為妾婦態。
則其亦可恐者也。
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呂新吾先生は言はれた。『古の人は、名望相近き者の間に
於て能く交はるを得たが、今の人は、其の名望相近ければ近
き程互に相妬む』と。真にさうだ。其の相妬むは畢竟、一点
利己の心があるからである。一点利己の心、碩学鴻儒をも化
して妾婦の態たらしむ。利己の心、亦恐るべきではないか。
今の世、学者、政治家、教育家、宗教家にして、猶ほ妾
婦の態なきもの、そも幾人ぞ。
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『洗心洞箚記』
(本文)その162
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