言貌之文而已、則君
子不 親信 。而有 情
与 誠則雖 無 言貌之
文 、必親 信之 也。
況其見 於言貌 乎。
呂新吾先生曰。「情
不 足、而文 之以言、
其言不 可 親也。誠
不 足、而文 之以 貌、
其貌不 足 信也。是
以天下之事貴 真。真
不 容 掩、而見 之言
貌 、其可 親可 信也
夫。」吁。是言也、
知 人鑑也。
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○ ○ ○ やうす ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ したし ○
言葉や容貌が如何に立派でも単にそれ丈では君子は親信ま
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ したし ○
ない。けれども、情と誠があるならば、たとひ、言葉や容貌
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ したし ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
は立派でなくも君子は必ず之に親信む。情と誠のある上に、
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
更に言葉や容貌の立派な人ならば、それに越したことの無い
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は言ふまでもない。呂新吾先生は斯う言はれた。
● ● ● ● ● ● ● ● かざ ● ● ● ● ● ● ● うま ● ● ● ● ● ●
『情の足らざる、而も、文るに口先で以て旨い御世辞をい
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ふ。其の言や親しむべからずである。誠の足らざる、而も文
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るに容貌を以てする。其の貌や信ずべからずである。是の故
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● よし ● ● ●
に、天下の事、真を貴ぶ。真即ち心中の誠を掩ふに由なくし
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て之を言葉や容貌に見はす。斯の如きは実に親しむべく信ず
● ● ● ● ● ● ○ ○ ○ ○まこと ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
べきである』と。此の言や寔に人を知るの鑑である。
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『洗心洞箚記』
(本文)その167
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