Я[大塩の乱 資料館]Я
2018.2.26

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「大塩の乱関係論文集」目次


『今古実録大塩平八郎伝記』

その35

栄泉社 1886

◇禁転載◇

 ○逆徒追捕の事 (3)

管理人註
  

○瀬田藤四郎は、済之助が父にて、近頃中風にて、物の用にも立難く、然れ ど頗る火術に精しく、今度一味の者共の助とこそは成にけれ、彼済之助が事         もろとも を聞て、家内五人侶倶に大和の国の知己の方へ遁れて、爰に匿れしが、終に 召捕とはなりにける、 ○杉本林太夫は始の名林太郎と云、淡路町辺の医師の忰なれど、不幸にして            みなしご 親兄弟に連年死去され、孤と成けるを、平八郎は深く憐み、我家へ引取、内 弟子とす、当年未十三歳といへども、強気の者にして、十九日には、若年に    けなげ                          なら 似合ぬ殊勝な働きせしも、終に其場に可捕れける、此者平八郎が口気を做ひ 得、大に朝政を誹謗なし、奉行を始め吟味の者を罵詈て、斯大望の早く顕れ、 奸人共を誅戮せざるを恨とすと、傍若無人の弁を吐き、恰も其体狂人の如く なりしと言伝へり、 ○天満東組の同心吉見九郎右衛門は、此間中病気にて打臥居しに、忰英太郎、 并に先頃出奔せし河合郷右衛門の忰八十次郎と倶に、証拠の書面を持参し、 西町奉行堀伊賀守へ、二月十九日の暁頃、密訴に及ぶも、時刻後れ、夫のみ ならず、淡路町にて逆徒の輩が捨行し彼大塩が具足櫃の中を改められし処、 一味徒党の連判状に、慥に姓名の記し有ば、三人共に取籠らる、 此外追々召捕れし其者共には ○白井幸右衛門 ○西村新三郎 ○上田幸三郎 ○梶岡源右衛門 ○梶岡伝七 ○志村周治郎 ○堀井儀三郎 ○阿部長助 ○曾我岩蔵 ○市田次郎兵衛 ○額田善右衛門 ○郷井磯四郎 ○横山文哉 是等は、諸方の浪人輩と郷士の百姓等にして、京都伏見の近郷近在にて、皆 こと/゛\く 悉皆召捕れ、大阪表へ差送られ、入牢の身と相成し、誠に公儀の御威光に恐 れざらんや、愼まざらんや、




『天満水滸伝』
その37

幸田成友
『大塩平八郎』
その153
 


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