Я[大塩の乱 資料館]Я
2018.1.25

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「大塩の乱関係論文集」目次


『今古実録大塩平八郎伝記』

その9

栄泉社 1886

◇禁転載◇

 ○貢が怨恨怪異を為す事

管理人註
  

かゝ    のち                         らうば 斯りし後、大塩が家敷に種々の怪異ありて、雨の降夜は家の棟に老姨の悲し む声聞え、又或時は大きなる火の玉、家内に転げなどし、又夜中など女子ど                                 わなゝき もが老姨の姿を見る事ありて、怪しき事ども多かりけるゆゑ、人々怖れ戦慄                    さへ けると、然れど大塩平八郎が丈夫の目には遮ぎらずとなん、爰に奉行高井山       にはか 城守殿にも、俄然に病に臥し給ひ、毎夜貢が怨霊来り悩ませしゆゑ、幾程も                      しわざ なく奉行を退役し給ひける、是皆老姨が悪念の所為と諸人言合りしとぞ、    かつ  筆者嘗て聞る事あり、般若寺村の忠兵衛が娘みねといへるは、十四歳にて、  かね                めあは  予て平八郎貰ひ置き、往々忰格之助に娶合すべしと言置けるが、終に自分   せふ       さんぬ  の妾として、去る申年十一月、十七歳にて男子を産み、名を今川弓太郎と  付しは、前に言ふ如く、大塩本姓今川にて、彼義元の後胤なればと、常に  人に語りしと、             ちいん              さい  又平八郎が奧座敷へは、知音といへど入るを許さず、子の妻たらんと約せ                       ひと    おこなひ  し者、己が妾となせし事、人の身として鳥獣に斉しき行為あるものゝ、豈  能く大事を為すことを得ん、                 ひとゝなり  平八郎は、幼少より道家の教へに成長、斯る汚行はなかりしも、如何なる                 あくば  事の乱れしや、前にも言へる彼の悪姨豊田貢が祟りなるもや、貢が所持せ                            かな  し切支丹の書物は、残らず火中せしと言へど、其内我心に適ひし書物は密      かくし  に取置、隠匿て熟覧せしともいふ、何れにも怪しき事どもなりと、人々後  に此事を専ら評判なしにけり、             いへ  ○又一説に愛妾のゆうと言るを剃髪させしは、豊田貢が霊魂を避んが為に  せしともいひ、又西組の与力なる弓削田新左衛門を腹切せし其菩提の為に  せしともいふ、  是等ハ各々訳ある事にて、其実なるや、勘弁ありたし、


『天満水滸伝』
その11


幸田成友
『大塩平八郎』
その30
 


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