Я[大塩の乱 資料館]Я
2013.5.16

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩中斎』

その10

山田 準(1867−1952) 

北海出版社 1937 『日本教育家文庫 第34巻』 ◇

◇禁転載◇

前編 修学及吏職
 第十二章 三大功績の一
管理人註
   

 文政十年、中斎の吏績の三大功績の一つである切支丹妖婦誅殺の件が 始まる。当時京都八阪に豊田貢と云ふ妖巫が居り、切支丹の宗法を伝へ、 天帝の画像を拝し、種々の妖術を行うて金品を掠め集めた。又浪人と相 計り、京都、摂津、播磨、但馬等に秘密の妖教を弘めた。中斎は山城守 の命を受け、四月、京都に赴いて貢を捕へ、大阪に於て磔刑に処し、一 党五十六人に永牢を命じた。其事は幕府評定所の決裁を得るまで、三年 間に亘る大疑獄であつた。



石崎東国
『大塩平八郎伝』
その37

貽(おく)つた
 第十三章 山陽と小陽明  
   

 是年六月、頼山陽は京都より来つて中斎を訪うた。中斎、喜んで之を 迎へ、少時歓談せしも、登庁の時刻逼るため、山陽を留めて自由に架上 の蔵書を見るに任せ、自分は謝して登庁した。山陽は静読半日の後、中 斎が出でゝ盗賊を誅し、入つては子弟を教養する高風に感激し、左の 如き一詩を壁に貼つて去つた。  上衙治盗賊。帰家督生徒。獰卒候門取裁决。左塾猶聞喧  唔。家中不納鬻獄銭。唯有々万巻書。」自恨不仔細読。五  更已起理案牘。」知君学推王文成。方寸良知自昭霊。八面応鼓有  余勇。号君当小陽明。」吾来侵晨及出。交談未半懐鞭  撻。留我恣抽満架帙。坐聞蝉声在。」巧労拙逸不異。但  恐磬折傷利器。祈君善刀時蔵之。留詩在壁君且見。  右は、中斎が吏務鞅掌の状を叙し出して、之を王陽明の良知に帰し、 次に小陽明を以て之を呼んだ。真に中斎の知己と謂ふべし。更に其の磬 折を恐れ、刀を善うて之を蔵せんことを勧むる処、惻惻たる故人の慇情 を窺ふべきである。


石崎東国
『大塩平八郎伝』
その38

逼(せま)る

























鞅掌
(おうしょう)
忙しく働いて
暇のないこと
 


『大塩中斎』目次/その9/その11

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