Я[大塩の乱 資料館]Я
2013.7.9

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩中斎』

その35

山田 準(1867−1952) 

北海出版社 1937 『日本教育家文庫 第34巻』 ◇

◇禁転載◇

中篇 学説及教法
 第十四章 藤樹書院を訪ふ 湖上風浪
管理人註
   

 天保三年、中斎四十歳、前々年致仕して閑地に就いた、是に於て多年 の宿志を償はんと、是歳六月、近江なる小川村に、近江聖人の遺迹、藤 樹書院を訪ふた。書院の主事志村周介の案内によつて大賢の遺迹を観、 玉林寺に其墓を弔ふたが、遺迹存するも、講学其人なきを悲しんで、詩 を賦した。  院畔古藤花尽時。泛湖来拝昔賢碑。  余風有比良雪。流滅無人致此知。  帰途は大溝より船に乗つたが、一行は門生及家僮と四人のみであつた。 阪本に向ひて進んだ、途中暴風逆浪に遭ひ、船殆ど顛覆せんとした。中 斎は危虞の間、前きに賦したる「流滅無人致此知」の句を想起して 良知を呼起し、また程伊川の「存誠敬」の言に想到し、凝然として我 を忘れて堅坐した、そこで危虞の念、忽ち霧消したが、風亦漸く斂まり、 夜二更、阪本に着いた。翌日比叡山に登り、昨日の危険の境を望み、門 人に語るらく、昨日其の変に逢ふに非ずば、焉ぞ真の良知、真の誠敬を 窺ふことを得んやと、乃ち「訪中江藤樹先生遺跡於小川村記」を作り、 其事を詳叙した。



石崎東国
『大塩平八郎伝』
その53









『洗心洞箚記』(本文)
その252


家僮
(かどう)
家の召使い






斂(おさ)まり
 


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