比較推論
法
論理家
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業已に虚の理を原則として。宇宙万般の現象を一快刀の下に截断し去らむと
す、而して平八は其の説明推論の法として多く比較推論論理法を執れり、特
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に其の太虚を説明するに於いて、宇宙と霊心とは、毎に相対して此較推論さ
るゝなり、其の観念は甚だ不明瞭なれども、而も條理は井然として紊れざる
なり、其の天地の春夏秋冬を以て人道の仁義礼智に配するは、易の恰かも之
れを元亨利貞に対するが如し、此の比較推論法は、古来理学者の夙に適用す
る所なれども、其の仏家の所謂生住壌空の理を説くと同一筆鋒なるに至つて
は、論理上の一現象として頗ふる興味あるを覚ゆ、
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春夏秋冬、自 太虚 来、以終 始万物 、而循環不 息、毫無 跡也、 仁
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義礼智与此一般、故心虚則謂 之天 、非 大言 也、
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春夏秋冬之運、即吾五常之運、而太虚即吾心之蘊也、
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荘子未 嘗毀 春夏秋冬 、以 其自 太虚 出焉、而不 偽也、而毀 仁義礼
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智 、以 其 不自 太虚 出 焉而不 真也、
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の類の如く、平八は太虚の用と、霊心の用とに於て、比較推論法を用いて、
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諸種の真理を派分し枝出せしむるに頗ぶる妙を得たるが如し、論理法とし
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ては発達したるものにあらざるべきも、其の弁証法の一大補助たるに於いて、
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條理の井然たるを示すに睹なば、平八を以つて論理家となす、亦た不可を見
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ざるなり、
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紊(みだ)れ
元亨利貞
(げんこうりてい)
易経で乾の卦のも
つ四つの徳
生住壌空
(じょうじょうえくう)
『洗心洞箚記』(本文)
その26
『洗心洞箚記』(本文)
その27
『洗心洞箚記』(本文)
その32
睹(み)なば
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