間のもたせ方
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コーチングの上手い人とそうでない人の違いは何か?私は一言でいって「間の持たせかた」だと思います。通常苦手な相手との会話は「間の持たせ方」に苦労しますね。

間の持たせ方といってもいろいろあります。一般の会話でよく使うのは「ところで・・・といえば、」と話題を変えることです。普通の会話はこういった「軽いとりとめのなさ」で間をもたせます。コーチングの場合は普通の会話と異なりますので、以下の2つとなります。

1.質問する

2.押し黙って真剣勝負する

1.は最も自然な行為なのですが、質問ばっかりしていると尋問になってしまいます。ある程度コーチングする方のコメントを「呼び水」として混ぜる必要があります。これによって会話自体にスイング感を出すわけです。こうすると、口の重い相手でもよく喋ります。これをもって「引き出す」というわけですね。

2.は沈黙のスキルと呼ばれるものですが、核心に触れる質問をしたあと、押し黙ってクライアントさんに考えをまとめてもらうという技法です。

コーチングの上手い下手はひとえに1.2.のバランスにかかっていると思います。どんな相手とでも1.2.のコンビネーションを駆使して会話をはずませることができれば、あなたはプロです。つまりどんな相手とでも会話がはずむ必要がある、ということですね。

はずむ会話でもって「間の持たせ方」などという問題を吹き飛ばしてしまうことで、どんな相手でもコーチングできるようになってゆくわけです。

クライアントと友人
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某ブログで「クライアントと友人は両立するか、どうか」という話題で盛り上がっていました。

http://blog.livedoor.jp/enneagramcoaching/tb.cgi/17087939

このハナシをするなら「友人」を明確に定義しなければならないでしょう。「友人」と「知り合い」はどう違うのか。どうも明確な境界はなさそうですね。

私の場合、友人の条件は「ハナシが合う」ということです。これに「趣味が同じ」が追加になると親友となります。親友と友人の違いは現在進行形で付き合いが継続しているかどうかですね。たとえば大学時代にクラブ活動で一緒だった、留学先で付き合いが長かった、というのは友人でありますが、現在進行形の「親友」ではありません。

ただし「ハナシが合うか」は人それぞれです。コーチングが問題なくできても、私とそんなにハナシが合わない人も多くいらっしゃいます。しかし私と合う合わない、は程度問題で、全く合わないということもなければ、全く合う、ということもなく、問題が出なければそれでいいでしょう。

「趣味が合うか」というとこれは結構難しい。私の趣味は「クラシック音楽」「オーディオ」でちょっと特殊ですから。

まとめると
・ハナシが合って趣味が同じが「親友」
・ハナシが合うのは「友人」
・それ以外は「知り合い」

ではクライアントさんは「友人」になりうるのか。契約期間中はもちろん現在進行形です。しかし、満了すると「親友」「友人」「知り合い」に振り分けられていきます。こればごく当たり前のことでしょう。要はクライアントさんであろうとなかろうと、お互いが適当な関係であればよいと思います。

某ブログでは「友人」と「クライアント」は両立しない、という意見がありました。その人がそう思うならそれはその人にとって真実です。ただ私の場合は「友人」の定義が上記であるので、両立する、ということになります。クライアントさんと言っても、要は付き合いかたが現在進行形であるというこどだけで、とくにそれ以上の特別な存在ではないからです。

ビジョンを持って後ろ向きに
053



コーチングと言えば「ビジョンを持って前向きに」の取り組みが連想されますね。しかし「ビジョンを持って後ろ向きに」のケースもあるのです。

たとえば転職。今いる会社を辞めるわけですから、こちらに対しては「ビジョンを持って後ろ向きに」とならざるを得ません。

ここでは殿軍(しんがり)の考え方が参考になります。たとえば秀吉がまだ信長に仕えていた時代に近江姉川の戦いで殿軍をつとめたのは有名な話です。

殿軍とは、負け戦の時に最後まで残って敵をくい止め、全軍を助けるために捨て石になることで、最も難しい役目とされます。秀吉が殿軍を申し出た時、いつもは秀吉を気嫌いしている柴田勝家でさえ秀吉の武運を祈ると言ったほどです。

信長本隊が撤退した翌日、金ヶ崎に残った秀吉軍に朝倉軍が攻め込むと、これを鉄砲隊で防戦しつつ夜になるのを待ち、城に兵が居ると思わせるために篝火をこうこうとたき、夜襲を狙った朝倉の先方隊を伏兵にて壊滅させ、直ぐさま秀吉軍も全軍撤退を開始しました。

度重なる朝倉の追撃に秀吉軍の撤退は凄惨を極めました。しかし秀吉は命からがら京に辿り着いたといいます。

ここで大切なのは

1.目的は退却して生き延びること、この一点で迷わない。

2.努めて前向きのパーフォーマンスをする。必要とあらば戦ってみせる。

転職されるクライアントさんにこの話をしたところ、かなり共感いただいたことがありました。長い人生、何度か殿軍の立場に置かれることがあると思いますが、みなさんはどんな経験をお持ちですか?

寛大にして過酷な請求をなし給わず
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ある方の体験コーチングをさせていただきました。

ご本人曰く、自分は全く営業に向かないのに営業をやらなければならない境遇に追い込まれてしまった、しかもどうも逃れる手立てはない、というものです。話してみてもなるほど、向いているとは思えません。

私も経験あるのですが、営業には街頭の物売りの感覚が絶対要ります。私は高校卒後すぐに大阪日本橋の電気街でステレオ・セットを店頭販売した経験があるのですが、ステレオは当時20万と高価でしたから、この感覚なしには売れません。1ヶ月1台も売れず(俗にいう坊主)に血のにじむような思いをしたことがあります。が、今ではこの経験こそが血となり肉となっています。

この方はそういった経験なしの40台後半でした。あまり無理すると鬱になるでしょう。

「どうしても逃れられないのですか」

「はい」

「じゃあ、やるしかないですね」

「私にできるでしょうか」

「もしあなたができないと思うなら、100パーセントできないでしょうね」

「・・・・・・」

「恐れず、とびこめ、と申し上げて置きましょう」

「・・・・・・」

「ただ、神様がおられるなら、あなたに他人と同じような結果を出すことまでは要求されないでしょう。そこまで過酷な請求をされるとは、思えません。何かを学びなさい、ということではないでしょうか」

「・・・・・・」

ほどなくセッションは終了しましたが、私も自分で言ってハッとしました。そうなのです。「神は寛大にして過酷な請求をなし給わず」ですから、きっとほどほどのところで勘弁してくださることでしょう。

この方がメンタル・ヘルスに留意されて何らかの学びをされることを陰ながら念じる次第です。

自分探し(続き)
051



昨日体験コーチングにお付き合いした女性もまぎれもない自分探しでした。言うことを傾聴すれば、□□が生きがいであるらしい。

「じゃあ○○さん、□□をしたいということなんですね」

「いや、それがわからないんです。考えることと感情が一致しないことが多いので」

「考えることと感情とどちらが本当の欲求なんですか」

「それがわからないんです」

「と、言われると初対面の私はいよいよどうしようもないのですが、私に何をして欲しいですか」

「わかりません。それがわかるならこんなふうに電話しません」

「申し訳ありませんが、コーチングは無理ですね・・・」

このところアンコーチャブルは早々に切り上げることにしています。とくにコーチングの専門家ならなんとかして見せなさいよ、というような意図が少しでも感じられれば、本人は開き直りモードに入っており、不毛です。でもこんなふうに書いてみると本人がダダをこねているとしか言いようがないですね。

もうこの時点でこの人には何か手がかりをつかもうという意欲が見られなかったので、打ち切ったわけですが、もしアドバイスを求められていたとしたら、私がお伝えしたであろうことは以下2点です。

・自分のやりたいことは今まで関わってきたことの延長上にありますよ。
・自分のやりたいことは何らかの形で他人に貢献したり、奉仕することですよ。

自分自身もそうでしたが、この方向で自分探しをするとうまくいく可能性が高いと思っています。
100 価値観の調整
099 コーポレート・コーチング
098 私がコーチングを始めた頃
097 インターネット
096 5連続セッション

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095 ライフワーク
094 「ワカル」ことではなく「カワル」こと
093 コーチング・スキルとコーチング
092 不安は忘れるに限る
091 第3の場

*
090 落下傘降下にはコーチング
089 ビジネス・コーチングは忍耐
088 落下傘降下
087 スカイプ
086 きっと、よくなる

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085 掘り起こしのコーチング
084 オートクライン
083 答えは上司のなかにあり
082 オートクラインだけじゃ弱い
081 アドレス間違い

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080 消費者としての観点しか持たない人
079 ニーバーの祈り
078 予想外の展開
077 コーチングにならないケース
076 自己肯定と自己否定

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075 ビジネス・カウンセリング
074 切り返し
073 承認
072 「考え方を変える」「行動を起こす」
071 未完了感

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070 思い込みを解体する
069 民度
068 環境を一変する
067 パラダイム
066 補助線

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065 朝のコーチング
064 変わりたい、でも変われない
063 知らしむべし、拠らしむなかれ
062 岡目八目
061 迷いの払拭

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060 自己受容
059 自分探しのパターン
058 ビジネス・コーチングの要諦とは
057 和顔愛語
056 大善・小善

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055 間のもたせ方
054 クライアントと友人
053 ビジョンを持って後ろ向きに
052 寛大にして過酷な請求をなし給わず
051 自分探し(続き)

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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
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751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
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