落下傘降下にはコーチング
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コーチングとは何か?もちろん、いろいろな定義ができるのですけれど、ひとつの切り口としては「他人のふんどしで相撲を取る技術」と言うことができるでしょう。

私は経営者を含むビジネス・パーソンを20名ほどコーチングさせていただいておりますが、どれも相手の業務を熟知しているにはほど遠いです。それでもコーチングできていて、クライアントさんはお金を払ってくださるわけです。

これをもってコーチングは「他人のふんどしで相撲を取る技術」と言わざるを得ないでしょう。

ただし、私も自分の職歴で仕事をそれなりに極めてきておりますし、下積みから始まってマネジメントに至るまで、あらゆる人間関係の葛藤を経験して来ています。この経験を類推して敷衍すれば応用がきくわけです。だからコーチングといえどもコーチする側が「一芸を極める」必要は必ずあります。一芸がコーチング能力のコアになるわけですね。

失礼な言い方かもしれませんが、たとえば数年のOL生活と家庭の主婦の経験しかない人が、いかにコーチングを学んだところで、ビジネス・パーソンのコーチングは難しかろう、というしかありません。

で、以上から言えるのは「落下傘降下」人事にはコーチングがぴったり、ということです。

たたき上げでその部署の長になるのではなく、他の不慣れな部署に長として赴任することを、俗に「落下傘降下」人事と呼びます。

赴任先では、

・部下の方が仕事ができる

・部下がすべてを把握している

状態です。この状況下で部下をマネジメントしていかなくてはならないわけです。この不慣れな環境では、通常強烈なストレスを抱えるものです。適応不全で鬱になったりするケースも少なくありません。ただ長として配属されるほどの人です。自分がこれまでやってきた仕事に対しては、プロとしての誇りを持っているに違いありません。つまり「一芸」を持っているわけですね。

だから、コーチングは落下傘降下人事においては必須のスキルであるのではないでしょうか。だって赴任当初は部下から仕事を教えてもらわなければならないのですから。

寡聞にして「落下傘降下にはコーチング」というキャッチを聞いたことがありませんが、コーチングは単なるビジネス・ツールにとどまらず、「落下傘降下のストレスを乗り切る武器」にもなりうるわけです。

ビジネス・コーチングは忍耐
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ビジネス・コーチングとは何か?もちろん、例外はあるのですが、

ビジネス・コーチングとはコーチング・スキルを使った説得術である

と言ってしまっていいのではないかと思います。8〜9割のケースがこれに相当するでしょう。

コーチング・スキルとは上司が既に答えを持っているのですが、あくまで問いかけて、部下に答えさせる、というものです。

「君、これはどうするつもり?」

「それだと、○○という問題がでてくるわね。これはどうするの?」

「う〜ん、その考え方はあまり賛成できんな。たとえばこう考えてみたらどう?」

「そう、だがまだこの問題は残ってるわね。これはどうするの?」

「まぁ、そんなとこかな。君ならやれるだろう。いつまでにできる?」

「じゃあ、しっかり頼むよ!」

単に「○○するように」と指示するのにくらべて、コーチング・スキルを使ったほうが断然やる気が出ます。上記には押し付けや命令がなく、すべて部下が自分で選択し、自分で決めた形になるからです。

通常、部下は意識は低いし、なにも考えていないケースが大半です。部下が率先して仕事をするようなケースはまず少ないと考えておかなければなりません。部下からやる気を引き出すとはどういうことなのか、これはひとえに「納得させる」ことに尽きるでしょう。納得すれば自発的に動きます。

部下を納得させるにはやはり説得しかありません。そしてビジネス・コーチングは質問型の対話で説得する、というアプローチです。上司と部下の意識の格差を辛抱強く対話を重ねていきながら埋めていく作業、ということになります。

説得は説教とは違います。説得は対等ですが、説教は上からモノを言うことです。説教は必ず背景に「批判」がありますが、説得は「批判」があってはうまくいきません。そして説教は上司の権限を行使して命令したり、上司の立場をかさに着て感情的になったり、がありますが、説得は上司の権限や立場を一切使いません。使った時点で「説得」ではなくなるからです

ビジネス・コーチングはあくまで忍耐強く説得することです。指示すれば1分で済むことが30分かかるかもしれません。しかし30分後に部下が「納得」していれば、以後自発的に動いてくれるので、30分かける値打ちは十分にある、ということになります。

だからビジネス・コーチングは忍耐なのです。

落下傘降下
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大企業の方をコーチングしていると結構出くわすケースです:

新入社員で入社するとまず現場で経験を積みます。早ければ2〜3年で一人前になり、早ければ30代前半で現場のマネージャーになります。

このままずっとたたき上げで行けることは通常なく、やがて他の不慣れな部署に長として赴任する日が早晩やっています。俗に「落下傘降下」人事と呼ばれます。

「落下傘降下」はサラリーマン人生最大の転機と言って過言ではないでしょう。赴任先では、

・部下の方が仕事ができる

・部下がすべてを把握している


状況になるからです。いままでこの人は

・自分の実務能力の自信

・自分の存在感の自負


を拠り所にしてきたのに、いきなりこうしたものがゼロになってしまうわけです。その結果、

・仕事ができず情けない

・自分の存在意義を見出せない


思うようになるのです。これで苦労している人はたいへん多いのではないでしょうか。要は自己否定に走ってしまうわけです。ひどい場合は鬱まで行ってしまいます。こんな場合その上司が出すオーラは弱々しく、部下はいよいよその上司をあなどる結果になってしまいます。これは、

・上司は部下より実務ができなければならない

という思い込みの結果そうなるのです。

前提を変える必要があります。こう考えます。

@上司は部署のパーフォーマンスを最大化すればよく、実務ができるできないは関係ない

A実務ができない上司は部下をやる気にさせる上司である


部下にとっては「オレがいなければこの部署は回っていかない」という自負ほど、やる気の出ることはないのです。

B実務ができない上司は部下を育てる上司である

実務の神様みたいな上司の下で部下は育ちません。「実務の神様」の下では部下が自分の存在意義を見出せないのです。「神様」が去ったあと、部下が全く育っていない、というのはよくある話です。

こう考え方を変えると、

・仕事ができず情けない → 部下の能力を引き出しているので十分仕事している

・自分の存在意義を見出せない → 部下を育てているので十分存在意義がある

とはじめから開き直ることができます。開き直った上司は強力なオーラを出すため、求心力があり、部下も慕ってついてくるのです。

落下傘降下人事で環境適応できるかどうかは、実務の勝負ではなく、こういった人間力の勝負です。その上でコーチング・スキルが縦横に使いこなせれば、鬼に金棒でしょう。

部下にとっても、組織にとっても、極論すればいい上司とは「実務の神様で厳格な人」よりは

「実務ができなくても人間力のある心意気のいい人」

なのです。もちろん実務はできたほうがいいに決まっていますが。

スカイプ
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スカイプという音声チャットソフトをご存知ですか。ひとことでいうとIP電話パソコン版で、海外であろうが国内であろうが全く通話料がかかりません。最近は結構普及してきましたが、まだまだご存知ない方も多いようです。

使い方は上記ライブドアのサイトから無料でダウンロードして、パソコンにインストールするだけです。後は家電量販店に行ってヘッドセット(ヘッドフォン+マイク)を買ってくるだけでOK。これは千円ちょっとです。片耳式と両耳式がありますが、軽快感のある片耳式をおすすめします。

私のクライアントさんの大半はすでにスカイプを導入済で、電話代を気にすることなくでコーチングを受けてもらっています。

スカイプのいいところは、

・無料である

IP電話でも同じ違う会社どうしであれば通話料は発生します。スカイプにはそういう制約はありません。

・ヘッドセットが使用できる

ヘッドセットですので、電話と違って受話器を持っている必要がない。
受話器だと手はだるいし、耳は痛くなるし、40〜50分話すのは辛いものがあります。

・音質がいい

電話よりはるかに音質が良く、相手がぐっと近くに感じられます。

・通話相手のパソコンが立ち上がっているかどうかが表示される

私のクライアントさんですが、ご主人さんが単身赴任している家庭でご夫婦の連絡用に使われています。お互い相手が帰宅しているかどうかわかりますし、帰宅してパソコンの電源を入れると相手にその旨通知されます。通話料もかかりませんし、単身赴任の連絡用にはイチオシと思います。遠く離れていても、壁の向こうにいる感じで話ができます。

・5名以内なら電話会議ができる

3名で円卓会議をしたことがありますが、何の問題もなく双方向で話せます。

が、スカイプにも欠点はあります。

・音声が一呼吸遅れる

国際電話みたいに一呼吸遅れます。少々の慣れが要ります。

・たまに音声が切れる

これは聞き直したり、しゃべり直したりすることで対応するしかありません。ただ十分実用に耐えるレベルです。もしスカイプが有料のサービスならクレームで商品にならないと思われます。しかしタダですので、我慢できます。この欠点はスカイプには折り込み済のように思います。

トータルでは欠点はあっても画期的なツールで、いい時代になったなと思わずにはいられません。

きっと、よくなる
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本田健氏の講演会「きっと、よくなる」に行ってきました。

ある方からチケットを頂戴したのです。2000名のアルカイック・ホールが満席、30代くらいの若い人が多かったです。実は私、この人の名前は知ってましたが、今までただの1冊も読んだことはないのです。

講演はスピリチュアルなもので、骨子は

・最大のピンチは最大のチャンス

・人生は良くなるようにできている

・好きなことをしなさい

・愛と感謝で接しなさい

・自分の道を歩みなさい

・・・

といったもの。いままで言い尽くされて来た内容が、この人独自の体験をもとに語られました。

「最大のピンチは最大のチャンス」

は私のホームページ冒頭で述べていることで、大いに共感できます。とくに

「最悪の状況に陥れば今までの不健康な生活が一挙に解消する」ので必ずよくなる

というのはこの人ならではの解説で、なるほどと思いました。私もとことん追い詰められたから、T氏のもとに駆け込んで、今コーチングをライフワークとしているわけです。

ライフワークとはなかなか成功できないもの、結果は出せないもの、と思ってきましたが、気が付けばコーチングを始めてもうすぐ2年です。現在担当させていただいているクライアントさんは20名を超えますから、大成功といえないまでも、まあ頑張ってきたほうでしょう。

私が「鬱になるほど追い詰められた」からこそ、このエネルギーが出たわけで、そうでもなけば従来通りで毎日を送っているに違いありません。

ただ、この人は自分の成功を信じきっていますが、私はまだその境地にはないです。今の私は「うかうかしていてはイカン」という危機感がまだまだ強いですから。

「人生は良くなるようにできている」

こう信じきれるようになることが、今後の自分の課題だと思いました。

あと思ったのは基本的に本田健氏の著作が自分自身のバイブルになることはないであろう、ということです。自分自身のバイブルは今まで自分が苦しい時に心の拠りどころとしてきた書物で、余りにも何度も読んだため、これがすでに自分の血肉になっています。

その書物とは、沖正弘、五井昌久、谷口雅春、トライン、中村天風、深見東州といったあたり。

本田健氏はすでに私の学んできた真理を別の角度から語っているだけです。真理とはそういうもので、真理を語る人はみな同じ内容を語っています。とは言え、別の語り口を知ることによって、いよいよ真理の理解が進むのだと思います。
100 価値観の調整
099 コーポレート・コーチング
098 私がコーチングを始めた頃
097 インターネット
096 5連続セッション

*
095 ライフワーク
094 「ワカル」ことではなく「カワル」こと
093 コーチング・スキルとコーチング
092 不安は忘れるに限る
091 第3の場

*
090 落下傘降下にはコーチング
089 ビジネス・コーチングは忍耐
088 落下傘降下
087 スカイプ
086 きっと、よくなる
*
085 掘り起こしのコーチング
084 オートクライン
083 答えは上司のなかにあり
082 オートクラインだけじゃ弱い
081 アドレス間違い

*
080 消費者としての観点しか持たない人
079 ニーバーの祈り
078 予想外の展開
077 コーチングにならないケース
076 自己肯定と自己否定

*
075 ビジネス・カウンセリング
074 切り返し
073 承認
072 「考え方を変える」「行動を起こす」
071 未完了感

*
070 思い込みを解体する
069 民度
068 環境を一変する
067 パラダイム
066 補助線

*
065 朝のコーチング
064 変わりたい、でも変われない
063 知らしむべし、拠らしむなかれ
062 岡目八目
061 迷いの払拭

*
060 自己受容
059 自分探しのパターン
058 ビジネス・コーチングの要諦とは
057 和顔愛語
056 大善・小善

*
055 間のもたせ方
054 クライアントと友人
053 ビジョンを持って後ろ向きに
052 寛大にして過酷な請求をなし給わず
051 自分探し(続き)


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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
251〜300 301〜350 351〜400 401〜450 451〜500
501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
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