結婚の効用
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夫との性格の不一致ということで、これまで何人か既婚女性をコーチングさせていただいたのですが・・・

ある方は性格の不一致はこんなものと割り切って、異性の友だちをつくり、飲みに行ったりして楽しくやってる、と言っておられました。それはそれで大いにけっこうなのですが、ある日ふと、知人の男性が離婚したのだが、その人と交際しにくくなってしまった、と漏らされたのです。

なるほどです。独身だと異性の友人との交際がしにくいのですね。H2O(水)は安定しているがH2(水素)はO2(酸素)と爆発・化合してはじめて安定する。H2なら爆発する可能性を秘めているが、H2Oなら安定しているから心配ない、ということです。

別の既婚女性のクライアントさんにも似たようなことを言われたことがあります。この方は趣味が私と同じなので、我が家に遊びに来られて、家人にも引き合わせたのですが、後で、

「杉本さん、もし私が独身だったら、呼んでくださらなかったでしょう」

と言われたものです。

これもその通りで、私が独身女性と友人として付き合っている、と言うと何かと不都合ですわね。どうしても、その気があるのかも、と勘ぐられてしまいますし、男である限り、私もその気を起こす可能性がないわけではない。

『瓜田(かでん)に靴を納(い)れず、李下(りか)に冠(かんむり)を正さず』

でいうと、紛らわしいのですよ。

ベルサイユのばらでもありましたけど、当時は女性が社交界にデビューするには結婚していることが条件であったとか。おそらくH2ではダメで、H2Oならいいよ、ということなのでしょう。

離婚する、しないはこのファクターでは決まりませんけど、結婚しているというのは異性との交際に圧倒的に有利というのは事実です。意外な一面ですね。

面談の克服
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日々コーチングをさせていただいて感じるのは、インターネットのお陰で時間と距離が克服できて、面談が不要な時代になったな、ということです。

昔は(今も?)カウンセリングを受けるためには、カウンセラーのもとに時間をかけて、交通費もかけて通ったものです。

しかし今はインターネットの恩恵で、面談の意義がずいぶん薄れたと思っています。電話しかなかったころは、電話は用件を話す手段で、カウンセリングには味気ない、やっぱり面談でなければ、と思ったことでしょう。しかしインターネットができてからは視覚というものがずいぶん克服できたように思います。

ひとつにはホームページやブログを前もって読んでいただいているので、私の人となりや考え方について、話す前からずいぶん知識があるわけですね。電話だけの時代ではこういうわけにはいきませんでした。

たとえばこのブログには私の顔写真を載せていますが、これだとあと電話で話ができれば、まぁなんとか、と思いませんか?もちろん面談は面談でいいところがありますが・・・

さてコーチングの実際ですが、クライアントさんが忙しくて早朝や夜遅くしか時間がとれなくても、電話でしたら、問題ありません。スカイプやIP電話なら電話代も不要です。しかも、日本全国どこからでも電話なら、距離は関係ありませんし、出向いたりする移動時間や交通費とも無縁です。

また相談相手に自分の顔を見せないで話すというのは意外なメリットもあります。経験のない方は面談できないのを頼りなく思うものです。が、実際やってみると全く不都合はないどころか、相談相手を気にすることなく自分に正直に向き合えるため、むしろ具合がよいのです。

昔読んだ谷口雅春先生の本に、田舎からはるばる青年が弟子入りしたい、とやってくるくだりがありました。谷口さんがこの青年をいろいろ諭して、田舎に返すわけです。

この時代では純粋に面談している時間より、それ以外の移動・アポ・準備に双方とも夥しい時間がかかったと思います。電話もなかった時代ですから、アポひとつとっても封書か葉書で、それも手書きで、だったでしょう。切手も貼らなくてはならないし、投函にも外出しなければなりません。

今ならインターネット、メール、電話、スカイプなどであっという間にこなせてしまいます。いい時代になったものです。

失敗するかもしれないけれど・・・
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A氏とのコーチングでした。

部下のBさんはAさんと同期入社なんだそうです。最近Aさんの部署に異動して来て、現在はAさんの部下です。あるプロジェクトで、BさんはAさんと違った案を主張しているのですが、Aさんの見るところ、これが上手くいって結果を出せるのは30パーセントくらいなんだそうです。

Aさんにいろいろ話を聞いてみたところ、Aさんはもちろん力ずくで、Bさんの案を却下できます。しかし、却下したところで、納得いかないBさんはやる気をなくして、チーム全体モチベーションも下がってしまうんだそうです。しかも同期のBさんとの人間関係もギクシャクして、Bさんに嫌われることになる。同期は微妙ですからね。

それよりも、Bさんにまずやらせてみて、ダメだという見極めを早期にしたほうが、チームのモチベーションが下がらないし、今後Bさんを味方につけられるのだそうです。それにうまくいく可能性もないわけではないし、もしうまくいったら万万歳です。

結局このケースでは、失敗することも覚悟の上でBさんにやらせたほうが、長期的にみてトクだ、ということになりました。

時と場合によっては、短期的に失敗するかもしれない選択も、長期的にはそういう理解ができるのですね。

この話から以前読んだ次のくだりを思い出しました。

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「同事」というのは、事を同じくするということだ。相手が間違ったことをやろうとするときに、正しい立場から批判しても相手はその非がわからない。それよりも相手に同調して、いっしょに間違ったことをやって、それが失敗することで相手にじぶんから非を認めさせるということだ。身近な例として、それほど深刻でない例をあげておこう。「普通社員」と「同事社員」が「マチガイ課長」とやりとりしている風景だ。

マチガイ課長「今日は課内の模様替えをするぞ。普通社員君、この冷蔵庫の位置は方角が悪い。こんなところに置いたら中にいれたものがみんなO157に汚染されて、食べた人が死んじゃうと週刊誌に書いてあった。そっちに動かすぞ。手を貸してくれ」

普通社員「そっちって、課長。そこはドアの前じゃないですか。そんな所に移したら不便になるに決まってるじゃないですか。やめてください。」

課長「何!生意気な。課長の指示がきけないのか!俺の言うとおりに動け」

社員「いやですね。私は自分の仕事をしますから、やりたきゃひとりでどうぞ」

課長「だまれ。業務命令も聞けないやつはクビだ!」

社員「ハイハイ、やめますよ。あんたの顔なんて見たくもない」

これが普通のケースである。ところが同事の精神を心得た社員だと、対応が違ってこうなる。

マチガイ課長「そういうわけだ。冷蔵庫を動かすから、同事社員君、手を貸してくれ」

同事社員「はい、わかりました。ああ、この方向がいいんですか。さすが課長だ。みんなの健康のためを考えてくださる。ちょっと邪魔になるけれど、健康にはかえられませんよね。ウンショ。よしこれでOKだ」

社員「でも課長、これ少し邪魔じゃないですか。お気持ちはありがたいんですが、部長とか社長が来られて、通行の邪魔だと言われたら・・・・・・、そのときはそのときですよね。それに出入りのお客様が、冷蔵庫の背中の配線に背広を引っかけちゃうとか・・・・・・」

課長「ああ、うう。方角とかいっても、他の人の迷惑になるかな。それじゃ本意に反するな。うん、ここはやっぱり元に戻そう」

社員「さすが課長、早い判断ですね」

課長「過ちて改むるにはばかることなかれ、と言うしな」

社員「いや、それがわかっていても、できない人って多いですよ。さすがは課長だ。わが社の宝ですね!」

課長「お前、少しほめ過ぎじゃないか?」

「同事」というのはこういうことだ。はじめから間違っているとわかっていても、仏様は、一緒に地獄に落ちてあげることによって、衆生を救うこともされるのである。ここに置くのはおかしいよなんてはじめから議論せず、とりあえず相手がそうしたいというように、事を同じくして一緒にやってあげて、一緒にやりながら、これはちょっと問題かもしれませんねとか言いながら、その人が改心して良い方向に行くように導かれるのである。

神仏はこのように自分の我とかプライドにこだわったり、かくあるべきだというのではなく、人々に対する慈悲の思いと叡智をもって、衆生を救うために辛抱して、和光同塵、光を和らげ塵と同じくし、事を同じくして、衆生を導いておられるのだ。心に愛があり、人間理解ができている人ならば、これができるのである。

『超一流のサラリーマン・OLになれる本』 深見東州 2001年 たちばな出版

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「同事」ができるAさんは人間理解ができている、わけですね。

心を明るく
162



パーソナル・コーチングで支援するのには2つの側面があると思います。つまり行動を起こすこと、そしてもうひとつは心の持ち方を工夫することです。

心が暗い状態で行動を起こしても、何事もうまくいきません。行動さえ起こしたらいい、というものでは断じてないのです。行動を起こす以上に大切なのは、心を明るく保つことです。

脳天気なだけの楽天では話になりませんが、押さえるところを押さえたら後は出来るだけ楽天的なのが良いのです。

クライアントさんが明るい心になるためには、コーチングするコーチが明るくなければいけません。コーチは明るい人を選ぶのがコツでしょうね。

私はパソコンの画面をみてニヤニヤしたり、思い出し笑いをすることが多いそうです。「気持ち悪いから改めよ」と言った人もおりました。とんでもないことです。むしるそれぐらい屈託なく生きていることを誇りにすら思うほどで、改める気はさらさらありません。その人は不快なのかもしれないが、こちらは屈託なく生きることを選びます。不快なら我慢してください、と言いたいです。

とにかく何事に対しても、誰に対しても屈託なく、萎縮せず、というのが私の信条ですので、クライアントさんも屈託なく、萎縮しない毎日が過ごせるような支援ができるのが理想ですね。

鬱になるくらいなら周囲に迷惑をかけよう
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私はコーチングの一環としてカウンセリングをやっておりますが、守備範囲は鬱状態を支援する「癒し系」までで、鬱病の人を扱う「医療系」は守備範囲外です。とはいえ「医療系」の方がたまにコーチングを申し込んでこられることがあります。

「医療系」と「癒し系」のどこが違うかといいますと、「癒し系」はまだ理屈が通るのですが、「医療系」になると、もはや理屈で話しても埒が開かない、という点です。人によって異なりますが、多弁な人はただ不安や不快さを増長させるだけの否定的な話を延々とします。寡黙な人は返事が返ってくるのが異様に遅く、30秒〜1分くらいかかったりします。

話を聞いていると、相手の陰鬱さがこちらにも伝染し、ある種の身の危険を感じます。身の危険を感じた時は、即座に話を聴くのを中止し、専門家の門を叩くようにオススメしています。

どうしてここまでひどい状態になるのでしょう?それはストレスを解決できないまま放置してきたため、こじれてしまったというしかありません。あんまりこじらせてしまうと鬱病者という存在自体が、健常者には危険な存在になってしまいます。

こうなってはすべてがなくなってしまいます。

こうした方を見ていると人に少々迷惑をかけてでも、自分にストレスをためないほうが、よほど本人にも周囲にもマシなのにと思ってしまいます。周囲に迷惑をかけたくない一心で鬱病になってしまったら、より大きい迷惑を周囲にかけることになるわけですね。

結論としては、「鬱になるくらいなら周囲に迷惑をかけよう」です。
200 コーチングで食べるのは最後に
199 コーチングの金銭感覚
198 心の準備
197 少人数
196 人生のキーワード

*
195 真我を信じよう
194 ムラ社会
193 夢を壊す権利
192 究極のパラダイム
191 これはコーチングですから

*
190 一緒に考えましょう
189 日曜喫茶室
188 いじめとアサーティブネス
187 齟齬の指摘
186 答えはクライアントの自助努力の中にある

*
185 私は何をしてあげたらいいですか
184 Sコーチ
183 答えを教える
182 光明と暗黒
181 アイボール・ミーティング

*
180 パラダイム・シフト
179 結婚問題
178 にっちもさっちもいかなくなった相談事
177 すべて簡単な言葉で表現できる
176 祝福と呪詛

*
175 アクセルを踏みながらブレーキ
174 コーチングは何が画期的なのか
173 コーチングの定義とは
172 コーチングは方便
171 適性はソリューション

*
170 成果報酬
169 開き直り2
168 開き直り
167 助言を受ける側の度量
166 みんなアマチュア
*
165 結婚の効用
164 面談の克服
163 失敗するかもしれないけれど・・・
162 心を明るく
161 鬱になるくらいなら周囲に迷惑をかけよう
*
160 ストレスをためない
159 組織人から個人へ
158 汲んで形にする
157 21世紀は個人の時代
156 実務はできなくても管理はできる

*
155 わかっているけど相談しよう
154 グーグルの「コーチング」
153 気を使わず、頭を使う
152 コーチングは現状からか、ゴールからか?
151 一期一会


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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
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