ライフワークをオンする
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私のクライアントさんは、「天職度」は70パーセントという人が多いです。よって後の30パーセントに別のライフワークをオンしたい、というお話をよくうかがいます。たとえば、本業は天職ですか?と医者や看護士のクライアントさん何人か訊いたところ、異口同音に「本業は確かにやりがいはある。しかし本業だけでは人生終われない。果たして天職なんだろうか」という答えが返ってきます。

つまり、天職というのはなかなか100パーセントのものではない、ということができると思います。もちろん100パーセントの天職という人も稀にはいると思います。が、100パーセントの天職を目指すよりは、今自分のやっている仕事の空き時間に別のライフワークをオンしていくのが現実的だと思います。要は人生が充実したらいいわけですから。

別のライフワークではとりあえず儲けようと思わず、まずはライフワークを楽しむこと、これが大切です。ライフワークを楽しむためには、本業があってこれからある程度安定した収入がなければいけません。ライフワークで稼げれば理想的です。

なんのことはない、今流行りの「週末起業」じゃないか、ということになってしまいますが、お金は稼げなくても、ライフワークが人生にオンできるなら、それでもいいのではありませんか。

天職を求めて、転職したいという話もよくうかがいます。

転職で天職が探し当たるものでしょうか。比較的自分にあった職業、には行き着けるかもしれません。しかし、天職まではまず無理と思います。

雇われるということは、経営側が付加価値の低い仕事を従業員にやらせて、それで得られた収入の「一部」を支払う、といったことだからです。従業員は自分の創造した価値以下の報酬しか受け取ることができません。

しかも、日本の場合は就職ではなしに就社です。会社の都合で、君はあれをやれ、これをやれ、と配役される。合わない仕事で結果が出せなければ、リストラされます。

それが実情だから、独立しようという人が後を絶たないわけです。しかし、ライフワークの追求がなく独立しても、天職を得ることはまず不可能と言っていいでしょう。

つまり、自分の今やっている仕事を最大限生かしながら、別のライフワークをオンする。そしてゆくゆくはそのライフワークで収入を得ることを考える、というのが王道ではないでしょうか。ライフワークで稼げなくても、生きがいや満足は残ります。

苦労
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日々生活するうえで、やっぱり苦しいことはあります。かくいう私もそうです。

その筋の本を読みますと、やはり前世の業は苦しむことによってしか取れないようです。ですから、「苦しみに圧倒されて鬱になる」のを恐れるような受けとめ方をすると、辛いだけ、恐ろしいだけ、ということになってしまいます。

・苦しむことによって、業は消えてゆく

・だから、苦しみながら積極的に自己を磨こう

という受けとめ方が良いのだそうです。岩壁をよじ登るようなものでしょうか。下を見て奈落に落ちる恐怖で立ちすくむ選択肢もあれば、上を見ながら勇気を奮い起こして一歩一歩登っていく選択肢もあるわけです。もちろん後者のみ未来があるということですね。

コーチングでは承認や共感ができるのはもちろん大切です。しかし、一番大切なのは、「上を見ながら勇気を奮い起こして一歩一歩登っていく」積極性をクライアントさんに喚起できることだと思います。ですからコーチングに適性がある人は、自らが苦難を乗越えて来た、「苦労人」であると信じています。苦労してきた経験こそ、人の話を聞く器を大きくすると考えるのです。

イネビタブル・コーズ
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日本は石油が出ません。ですから「石油が出ないのが問題だ」と言ってしまうと解決のしようがありません。こんなのをイネビタブル・コーズ(不可避の原因)と言います。石油に関しては解決可能なことを問題とするしかありません。たとえば、

・備蓄が足りないのが問題だ
・代替エネルギーの研究が足らないのが問題だ
・中東諸国に対する外交努力が足らないのが問題だ

といった具合です。この場合、イネビタブル・コーズは与件(与えられた条件)ということになります。

クライアントさんにたまにイネビタブル・コーズを出して来られるケースがあります。たとえば、「職場でいい相談相手に恵まれないのが問題だ」というのがありました。

本人が努力すれば、あるいは同じ職場で相談相手と思っていなかった人が、突如相談相手として浮上する、といった可能性も全くゼロではないでしょう。しかし、これは日本で油田を掘り当てる可能性に匹敵すると言わざるを得ません。とすれば、職場でいい相談相手に恵まれない、というのはこのクライアントさんの問題とするのは不適切で、与件(与えられた条件)ということになります。たとえば、

・社外に相談相手を求める努力が足りない
・相談相手なしでやっていく工夫が足りない

というふうに問題を設定し直します。

イネビタブル・コーズが認められたら、冷徹に切り離す、そして問題を解決可能な状態に整理する。割と高度なテクニックですが、時として必要です。

損得
212



ある女性クライアントさんです。ご夫婦で事業を営まれているのですが、

「自分は夫を認めていない。しかし、このままではよくない」

と言われるのです。最終的にはご主人を立てるのだそうですが、そこに至るプロセスで相当軋轢があるようです。夫唱婦随では全くないそうです。その方の信仰する宗教では、夫に従え、と教えているそうですが、とてもそれでは納得できない、とのことです。

ハナシを聴く限り、この方のあり方を変えるのは絶対無理だし、変えるべきでもない、と言わざるを得ません。テクニカルな面の改善しかないな、思いました。

「ご主人さんを説得する時はどんな言い方をするのですか」

と訊いてみると、

「○○しなくちゃいけない」

「○○するべきだ」

なんだそうです。どうも価値観の押し付けになってますね。私はこう提案しました。

「○○したほうがトクですよ」

「○○したらソンですよ」

「○○したほうがラクですよ」

「○○だったらシンドイですよ」

という、損得に訴える言い方はどうですか、と。

この提案は買ってもらえて、使ってみよう、ということになりました。実はこの言い回し、我が家でも使っています。家内は台湾出身で、チャイナ式損得説得はたいへんなじみます。

言ってることはわかるけれど、それが価値観の押し付けに聞こえたら、誰しも反発するものです。トクだ、ソンだ、と言ってる限り、価値観の押し付けは感じられず、比較的説得しやすい、されやすいのです。

鷹揚に担がれる
211



昨日は某異業種交流会で、美顔化粧品を扱っておられる女性社長が講演されました。

ご自身がアトピーで、化粧品かぶれで大変苦労され、それがきっかけで夫と会社を創業、すでに30年になるとのことです。

お若いころは、指示・命令=リーダーシップと勘違いして、髪振り乱してやってきて、ずいぶんと社員が辞めたそうです。社員が、やりがいがない、と言って来るのだそうです。社員の言うことに耳傾けるようになってから、社業が飛躍されたようです。

だから、コーチングがいいんだ、そんなアホなことは言うつもりはありません。ただ社員を育てて行くには、相手のレベルに応じてやり方を変えていかなければならないことを改めて痛感しました。

指示・命令は新人とかには良いですが、少しでも社員のレベルが上がって来ると、社員の育つ芽を摘み取ってしまうやり方です。社員のレベルが上がって来れば来るほど、トップは、

「鷹揚に担がれている」

これが大切です。権限委譲して担当者にのびのびやってもらったほうが、結局士気も高く、うまく行きます。私はこういうことにしています。

「結果には注文を付けさせてもらいます。やり方は任せます。よろしく頼みます」
250 拒絶か黙殺か
249 守破離
248 坊主
247 誹謗中傷
246 ベストを尽くすということ

*
245 自覚と開き直り
244 用件と情緒
243 素性を明かす
242 キヨ
241 感情のコントロール

*
240 横並びの習性
239 いい人と付き合い、悪い人を遠ざける
238 電話口の声
237 どうしたら迷わなくなるか
236 口先だけ

*
235 気管支炎
234 ヤフーの「カウンセリング」
233 よきこと来たる
232 群れられない人
231 愚痴

*
230 「答え」の所在
229 コーチング・モード
228 商業主義
227 起業ネタ
226 一張一弛

*
225 独身者の週末
224 停滞期
223 志を持つ
222 生かされて生きているシステム
221 質問するな、承認せよ

*
220 リコメンデーション
219 子育て
218 逆説のパラダイム
217 宗教的素養
216 前世

*
215 ライフワークをオンする
214 苦労
213 イネビタブル・コーズ
212 損得
211 鷹揚に担がれる
*
210 屈託
209 打たれ強さ
208 リフレッシュ
207 長所を認める
206 停滞の時期

*
205 アナライザー
204 天球
203 20点を取ろう
202 もっと悪かったかもしれない
201 ホームページは必需品


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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
251〜300 301〜350 351〜400 401〜450 451〜500
501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
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