リコメンデーション
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指示・命令とは反対のマネジメント形態として、質問型のコーチングがありますが、私個人は両者の折衷型のリコメンデーション(うながす・勧める・推奨する)を多く使います。

職場では、

「○○さん、それやりませんか」
「○○さん、それやりましょうよ」

とよく言いますが、これは指示・命令でも、コーチングでもないです。ずばり、リコメンデーションです。リコメンデーションは外的コントロールとも無縁です。トーンは明るく、マイルドに、がポイントです。

リコメンデーションは質問せず、かつ相手に選択の幅を持たせるコミュニケーションで、スピーディでテンポがいいです。それに、たとえ拒絶されても、即コーチングにつなげることができます。たとえば、こんな感じです。

「○○さん、それやりませんか」
「いや、止めたほうがいいと思います」
「そうですか、ではどうするのがベストでしょうか」

どうですか、摩擦なくスムーズに繋がるでしょう?

家庭では、

「○○ちゃん、早う服着替えや〜」
「○○ちゃん、早う学校行きや〜」

これもゆっくり、マイルドに、がポイントです。早口できつく言うと指示・命令、果ては叱責になってしまいます。子供相手ならコーチングよりむしろ使える場面が多いでしょう。

リコメンデーションは使えます。

子育て
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我が家では、家内が時々子供を怒鳴っています。私は全く怒鳴らず、コーチング・スタイルを貫いています。これでバランスは取れていると思っています。世の中、全ての人が選択理論で動いているわけではありません。と言うか、まだまだ選択理論は少数派です。外的コントロールに対する適応力も必要と思うので、家内のやり方は放置しています。

ただし、両親そろって外的コントロールの信奉者だったら、子供は大きくなれば家に寄りつかなくなります。我が家は全くその心配はなく、家内もたまに豹変?する程度です。

親子の会話にコーチング・スキルを活用する、これが最近盛んです。その手の本もたくさん出ています。考え方は大いに結構です。

コーチング・スキルとは、コーチ側がはじめから答えを持っている対話形態を言います。世の中ではコーチングと称していますが、実際はコーチング・スキルどまりのケースが多くあります。たとえば「子育てコーチング」「教育コーチング」などといったものはコーチングの要素がまったくゼロでないにせよ、実際はコーチング・スキルでしかないわけです。

個人的には、「親子コーチング」なんて、コーチングのなかに含めたくありません。あんなものフツーの会話術です。誰しも子供の時代は経てきているのだし、どう言われたらやる気が出て、どう言われたらやる気をなくすのか、大概わかりそうなものだ、と思っています。

とはいえ、まだまだ外的コントロールが横行しています。「親子コーチング」という言葉は気に食わないですが、社会的に大いに奨励されるべきだと考えます。

逆説のパラダイム
218



コーチに大切なのは「逆説のパラダイム」を身につけている、ということです。逆説のパラダイムとは世間の常識と正反対の考え方を言います。

常識のパラダイム 逆説(非常識)のパラダイム
・人は努力して生きている
・いやなことはいやで当然だ
・困ったことがあったら思い悩む
・ひどいことをした人は憎んで当然だ
・ピンチはピンチだ
・人は死んだら終わりだ
・人は生かされて生きている
・全てのことに感謝しなさい
・困ったことがあっても平気でいる
・ひどいことをした人でも愛しなさい
・ピンチはチャンスだ
・人は死んでも終わりではない

コーチは「逆説のパラダイム」を十分に理解している必要があります。クライアントに気付きを促すのは「逆転の発想」ですが、これは「逆説のパラダイム」を押えてはじめて使いこなせるからです。

たとえば、苦手な上司とうまくやっていけないクライアントさんがいたとします。この人が理解力や咀嚼力がない場合は、苦手な上司を否定的にしか見れないものです。

この人を世間的な常識だけでコーチングして、単に傾聴し、承認していたのでは、引き出せる答えに限界があるのです。逆説のパラダイムの心得のあるコーチであれば、傾聴し、承認しつつも、理解力・咀嚼力に幅があるため、クライアントさんがもっと肯定的に上司を見ることができるような視点を提供できるはずです。

パラダイムには常識のパラダイムと逆説(非常識)のパラダイムがあり、問題に応じて常識・逆説のパラダイムを使い分ける必要があります。もちろん常識のパラダイムが基本です。しかし逆説のパラダイムも時として必要です。

たとえば、「寒ければ服を着る」のは常識のパラダイムです。しかし、これだけでは寒さに強い体はできません。「寒くても服を着ない」の非常識のパラダイムも必要です。両方のパラダイムを融合した一段高いパラダイムを使うことができてはじめて、有能な助言者になれるのです。

そのためには「逆説のパラダイム」は押さえなくてはなりません。逆説のパラダイムを原点に持つことによって、逆説のパラダイムと常識のパラダイムの間を自由に行き来できる自在性を身につけるのです。

私たちは誰でも自分の感じ方を通じてしか、全世界を理解することができません。ということは、全世界を自分のパラダイムで理解している、ということになります。一段高いパラダイムを構築できれば、全世界を変えうるのです。

宗教的素養
217



宗教なるもの・・・これを語ることはコーチングではタブーとされています。世間一般の人を相手にするのですから、世間的常識で対処するのが適切なわけです。しかし、すべての問題を世間的常識で割り切っている限り、人間は安心立命の境地を見出すのは無理です。人間である限り、宗教心は必要です。

世間一般ではコミュニケーション・スキルさえ身につければコーチ業は勤まる、と思われています。しかし、コミュニケーション・スキルだけのコーチがいかに魅力薄か、言うまでもありません。コミュニケーション・スキルはむしろ些細な問題です。宗教的素養のほうがよほど大切です。

パーソナル・コーチングは「なりたい自分になること」が目的で、目標設定・目標管理が云々されます。しかし、それ以前に最も大切なのは、私たちが「正しい見方・感じ方」に気付くこと、近視眼的に見るのではなく、より全体的な見地から一段高いパラダイムを構築することです。「正しい見方・感じ方」をすることで行動を起こさずして問題解決がはかれることはしばしばあるのです。逆に「正しい見方・感じ方」ができないがゆえに遭わずともよい災いを抱え、苦しむことになるのです。

たとえば、警察庁の平成16年度の統計によると驚くことに、年間32,325人の方々が自殺で亡くなっているそうです。この数字は、警察庁統計の平成16年度交通死亡者数の約4.4倍(交通死亡者数7,358人)になります。

主な自殺の理由としては、1.健康問題 2.経済・生活問題 3.家庭問題があるそうです。誰も望んで自殺をしたいとは思いませんが、痛ましい現実です。

貧困にあえいでいる発展途上国から見れば、食物、電家製品、携帯電話等便利な物質であふれている日本は、まるで夢のような世界であることでしょう。この事実をどう理解するべきなのでしょうか?

結局、自殺した人の多くは、失意の中で生きる意義を見出せず死を選んだ、ということです。「正しい見方・感じ方」ができなかった結果だと言うしかありません。生きる意義は目標設定・目標管理だけで見出せるのでしょうか?とてもそうは思えません。生きる意義は、宗教心のなかにこそ見出せるものです。絶望して、意気阻喪し、生きる意義を問い直すような事態は、日常生活でいくらでも発生します。その場合、コーチが世間的常識のみに基づいた目標設定・目標管理の考え方しか云々できなければ、クライアントは話もしたくないと感じるはずです。

ですから、宗教的な素養はコーチにぜひともなければなりません。宗教的な素養がないコーチなどたかが知れている、と言いたいのです。クライアントの根源的な救済に貢献することなど到底おぼつかないからです。

では宗教的素養とは何でしょうか。

人は宇宙に遍満する生命の気によって生かされています。「生かされて生きている」という認識、これが宗教的な素養の原点だと思います。「生かされて生きている」という考え方に徹する時、心意気・暖かさ・知恵といったあらゆる美徳が派生するのです。

しかし、私たちはしばしば、「生かされて生きている」という認識を忘れてしまいます。その結果悩み出したりします。しかし、「生かされて生きている」事実を少なくとも頭でわかっていれば、いずれまた思い出すことができます。「生かされて生きている」事実を少なくとも頭でわかっていること、そしてそれから派生する心意気・暖かさ・知恵といった美徳に対して知識と理解があること、これが「素養」だと私は考えます。

前世
216



昨今は「前世」の概念がかなり普及しています。

人間死んだら一握りの灰になるだけ、と信じているガチガチの唯物論者は今日珍しいでしょう。ですから、私もコーチングでは胡散臭くならない程度に前世は話題にします。

前世はある意味、現実を理解する補助線だと思います。なぜ、生まれながらにこれだけ能力や境遇の差があるのか、なぜ今生でこんな苦しみに遭わなくてはいけないのか、の疑問に前世・来世の概念を導入すると、かなり納得できる説明ができます。その結果、自暴自棄になったり刹那的にならずにすみます。

さて、前世の概念がコーチングと接点があるのは「自分探し」です。

前世でその道に従事して来た人は、マラソンにたとえると今生では20キロ地点の出発となります。これが持って生まれた才能です。持って生まれた才能は何となく好きだ、何となく得意だという形で現れます。ただ前世の記憶は潜在意識の奥底に格納されていて、そうは簡単にわかりません。

人の出会い、モノとの出会いによって前世の記憶が出てきて、ああこれが自分の道だ、天職だ、ということになるのだそうです。だそうです、というのは私個人はまるで霊能力がない凡人で、聞きかじりに過ぎないからです。とはいえ、たいへん納得のいく考え方だと思います。

自分探しをしているクライアントさんに、前世の記憶と才能の関連をお話すると、みな一様に「へぇ」という反応をされます。ただこの概念はあくまでも補助線に過ぎません。

この補助線がわかっても、「自分さがし」はそう生易しいものではありません。

私のクライアントさんのなかには、霊能者に前世を見てもらった方が3名ほどおられます。どなたも感慨ひとしおのようでした。しかし今生の大まかな方向くらいしかわからないなのが実情です。では自分は今何をすべきなのか、どう生きていくのが正解なのか、前世がわかっても解けるわけではないようです。

結局、日々真剣にひたむきに自分の置かれている境遇に向き合う、格闘する、しか「自分探し」の方法はない、と思っています。
250 拒絶か黙殺か
249 守破離
248 坊主
247 誹謗中傷
246 ベストを尽くすということ

*
245 自覚と開き直り
244 用件と情緒
243 素性を明かす
242 キヨ
241 感情のコントロール

*
240 横並びの習性
239 いい人と付き合い、悪い人を遠ざける
238 電話口の声
237 どうしたら迷わなくなるか
236 口先だけ

*
235 気管支炎
234 ヤフーの「カウンセリング」
233 よきこと来たる
232 群れられない人
231 愚痴

*
230 「答え」の所在
229 コーチング・モード
228 商業主義
227 起業ネタ
226 一張一弛

*
225 独身者の週末
224 停滞期
223 志を持つ
222 生かされて生きているシステム
221 質問するな、承認せよ

*
220 リコメンデーション
219 子育て
218 逆説のパラダイム
217 宗教的素養
216 前世
*
215 ライフワークをオンする
214 苦労
213 イネビタブル・コーズ
212 損得
211 鷹揚に担がれる

*
210 屈託
209 打たれ強さ
208 リフレッシュ
207 長所を認める
206 停滞の時期

*
205 アナライザー
204 天球
203 20点を取ろう
202 もっと悪かったかもしれない
201 ホームページは必需品


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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
251〜300 301〜350 351〜400 401〜450 451〜500
501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
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