「答え」の所在
230



ビジネス・コーチングにあたっては、上司は「的確な指示」を出せるだけの力量を備えることが第一です。その上で、TPOに応じて用いるのが「コーチング」であるわけです。

もし、実務ができない上司であっても、方針は押えて詳細をコーチングする、ということになります。

「答えはクライアントのなかにある」というコーチングの金科玉条があります。ビジネス・コーチングでは、クライアント側は部下ですから、「答えは部下のなかにある」ことになります。この場合、仕事の詳細を「答え」と理解するなら、一部あてはまりますが、仕事の方針を「答え」と理解するなら、まるであてはまりません。上司が方針を策定できないようでは組織とは言えないからです。

仕事の詳細の「答え」ですら、上司にあることも、部下にあることもあるのです。答えが部下にないのなら、「答え」を与える必要があるし、その上で詳細をコーチングする方がよいことも多いでしょう。ビジネス・コーチングでは、「答え」の所在をTPOに応じて使い分け、「的確な指示」を出せるだけの力量がないなら、上司の資格なし、ということになります。

パーソナル・コーチングはどうでしょうか?

答えは、方針も詳細も最終的にはクライアントにあります。だから、コーチは「鏡のような存在」であるべきなのでしょうか?確かに「鏡のような存在」を求めるクライアントも皆無ではないでしょう。

しかし、「あなた答える人、私質問する人」の禅問答のようなコーチングがそんなにありがたいものなのかね、金を払うに値するのかね、と私は思います。

必要であれば、叩き台を提示し、クライアントに叩いてもらって、それにフィードバックし、さらに叩いてもらって、だんだん構想が形になっていく、というわくわくするようなコーチングを一度でも経験したら、禅問答のコーチングなんぞ実にバカバカしくてやっていられないでしょう。蓼食う虫も好き好きであるわけですが。

パーソナル・コーチングでも、「答え」の所在をTPOに応じて使い分け、「的確な指示」を出せるだけの力量がないなら、コーチの資格なし、と私は確信します。もし、答えがクライアントになくてコーチにあるのなら、出し惜しみすることはないでしょう。

クライアントに答えを押し付ける必要は全くないです。けれど、クライアントの答えが甘すぎるなら甘すぎる、と指摘できなければなりません。また、クライアントが答えが見つけられずに困っているなら、叩き台くらいは提示できなければなりません。あくまでもTPOに応じて「答え」の所在はコーチが使い分けられなければならないと言いたいのです。

コーチの出してきた答えは、最後にクライアントが取捨選択を決める、これが、「答えはクライアントのなかにある」の本意です。

コーチング・モード
229



キャバクラの女の子にコーチングの「会話術」を試してみたところ、たいへん盛り上がったので、コーチングへの職種替えを考えたい、と連絡をとってきた人がいました。えらく軽いなと思いますが、コーチングに対する接点は人それぞれです。だれでもコーチングは「会話術」から入ります。書店に並んでいるコーチング書籍は、会話術の本が主流です。

会話術はどれくらい効くものでしょうか。

会話術を使えば、どうしても相手の話の聞き手になりますから、もともと話をしたかった相手には喜んでもらえます。また、会話術では『選択理論』の外的コントロールを回避することになりますから、いろいろな人間関係が改善することになります。

これだけでも結構なことです。しかし、「会話術」だけの効能はここまででしょう。マイナスの条件が与えられると、「会話術」だけではとたんに機能しなくなります。

たとえば、人間関係がこじれている、といった場合。それと、仕事や一身上の難問が持ち込まれた場合です。これらを解決するのは、「会話術」ではなく、むしろ人間力です。「会話術」はあったらなおよい程度です。

結局、会話術の効き方は、

「人間力のある人はより効果的に、そうでない人はそれなりに」

なのです。

コーチングをやらせた場合、人間力に欠ける人には共通の特徴があります。それは、

「いかにもコーチングをやってるな」

というコーチング・モードを感じさせることです。人間力の豊かな人にはこれがありません。

商業主義
228



コーチング特有の会話術というのがあります。巷間のコーチング本では「○○のスキル」として紹介されているものです。

コーチングの質を決定するファクターとして、「会話術」はどれくらいのウェイトを占めるでしょうか。私に言わせると1割です。残りの9割は提案力を含めた人間力が勝負です。

そもそも話術は人間力の発露であって、人間力のある人は話術もあるものです。そうすると、コーチング特有の話術のウェイトなど、どう考えてもこの程度です。

注目すべきは、コーチング特有の話術は付け焼きがきく、ということです。人間力はもちろん付け焼きがききません。本来コーチングは人間力の勝負なのですけれど、それを言ってしまうと、人間力が不足してたら、どうしようもないじゃないかということになります。

したがって、コーチングは「会話術」だよ、というように話が擦り替わってきたわけです。とりあえず学べるものは学ぼう、ということですね。また会話術の教育をビジネスにする場合、

「会話術のウェイトは1割です。あとは人間力の勝負です」

などと言うはずはありません。しかし、ちょっと考えればこれが常識というものでしょう。

人間力のある人、足りない人とも「会話術」は学べます。ところが同じように会話術を身につけても、人間力のある人、足りない人とではコーチング能力に全然開きがあるわけです。

人間力の差は会話術の実習をしている限り、そう白日のもとにさらされるというほどでもありません。しかし、難問を抱えた部下やクライアントの相手をするとモロに出ます。

たとえば、話を聞くだけをとっても、歴然たる差が出ます。あなたは頭の悪いわからずやに多くを語りたいですか?頭が良くて信義に厚い人ならどうですか?人の話は人間力という器で聞くものです。だから話し方教室はあっても、聞き方教室はないのです。

コーチングがうまくいかない、というのはビジネス・コーチング、パーソナル・コーチングを問わず聞かれますが、大半はコーチングする側の人間力が不足している、と言っていいと思います。もちろんある程度の「相性」というのはあります。

書店に並んでいるコーチング書籍は、会話術の本が主流です。しかし、会話術はコーチングの質を決めるファクターとしてはごく低いのです。考えたらおかしなことですね。商業主義の結果でしょう。商業主義の特徴は、「お手軽なハウツー」だからです。

だれでもコーチングは商業主義に乗せられて入ります。私もそうでした。しかし、商業主義の実態はできるだけ早期に見破るのが望ましいのは言うまでもありません。

起業ネタ
227



クライアントのNさんは店頭実演販売専門の人材派遣業の担当者です。もちろんいろいろご苦労もあることでしょうが、注目すべきは、Nさんならではの体験談や業界裏話がたいへん豊富なことです。

「Nさん、それは本が書けますよ、評論家かコンサルタントを目指しませんか」

と申しあげたのですが、ご本人もいたって乗り気な様子でした。

もし、あなたが特殊な業界、ニッチなマーケットでお勤めなら、それを極めることで評論家もしくはコンサルタントになれるのです。店頭実演販売なら、売上が伸びず困っている会社も多いことでしょう。ニッチながらソリューションを打ち出せる、潜在的なマーケットは極めて大きい感じですね。

なら、自分は?と考えてみましたが、う〜ん、自分が今いる業界では、とても評論家・コンサルタントの芽はないと感じます。ですから、コーチングで起業したわけですが。

起業ネタは、

@今の仕事
A趣味
B新規に学習が必要なこと

の順だと思います。私は@Aでは無理でBでしたが、@Aが起業ネタになる可能性があるなら、放置するのはあまりにももったいないですね。

一張一弛
226



関西では10月入っても真夏日が続いています。衣替えなんてとてもとても、という感じで、長袖なんぞ着れたものではありません。

そんななか、風邪をひいてしまい、不調です。原因は思い当たらずですが、強いて言えば窓開けて寝てたことでしょうか・・・

風邪は精神的にも肉体的にも後退するのですが、後退しつつ、一息つけるので、というか、つかざるを得ないので、まあいいか、と思うことにしています。

結局人生は一張一弛なのです。

とはいえ、ああしんど・・・

風邪ひいたら、コーチングは役にたちません^^
250 拒絶か黙殺か
249 守破離
248 坊主
247 誹謗中傷
246 ベストを尽くすということ

*
245 自覚と開き直り
244 用件と情緒
243 素性を明かす
242 キヨ
241 感情のコントロール

*
240 横並びの習性
239 いい人と付き合い、悪い人を遠ざける
238 電話口の声
237 どうしたら迷わなくなるか
236 口先だけ

*
235 気管支炎
234 ヤフーの「カウンセリング」
233 よきこと来たる
232 群れられない人
231 愚痴

*
230 「答え」の所在
229 コーチング・モード
228 商業主義
227 起業ネタ
226 一張一弛
*
225 独身者の週末
224 停滞期
223 志を持つ
222 生かされて生きているシステム
221 質問するな、承認せよ

*
220 リコメンデーション
219 子育て
218 逆説のパラダイム
217 宗教的素養
216 前世

*
215 ライフワークをオンする
214 苦労
213 イネビタブル・コーズ
212 損得
211 鷹揚に担がれる

*
210 屈託
209 打たれ強さ
208 リフレッシュ
207 長所を認める
206 停滞の時期

*
205 アナライザー
204 天球
203 20点を取ろう
202 もっと悪かったかもしれない
201 ホームページは必需品


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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
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501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
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