配合比率
275



コーチング初心者の女性ですが、

「コーチになりたくて、手始めにコーチをつけたいのだが、自分にどんなコーチが合うかコーチングして欲しい」

とのこと。このテーマ設定は2つの意味でうまくありません。

1つは理想を深めても、深まらないという点です。たとえば、自分にどんなお婿さんが良いかという話で、仮に三高(高収入、高学歴、高身長)が良い、ということになったとします。しかし、果たしてそんな相手と出会えるのか、出会ったとしても、結婚相手として相応しいか、という問題になります。結局、「自分に合う相手」という漠然とした方向性しか出ないのです。

もう1つはコーチになりたいというテーマに関しては、クライアントの持っている情報が全然少なくて、現役コーチである私の持っている情報が圧倒的に多いということ。こんな場合は私が、クライアントに質問して話を引き出すより、クライアントから質問してもらって、クライアントの知りたい情報をお伝えしたほうが、断然効果的です。

以上の理由で、こんな場合はコーチングと言っても、コンサルティング主体にならざるを得ません。無理にコーチングできないことはないですが、あまり有意義な対話(セッション)にならないでしょう。

コーチングと言っても、カウンセリング主体にならざるを得ないケースもものすごく多いです。先だっては自分の今の仕事に満足できず、人に関わる仕事をしたい、といって来られた女性がいました。なにぶん「人に関わる仕事」というのが不明瞭で、カウンセリング主体にならざるを得ませんでした。

コーチングらしいコーチングができるケースはむしろ極めて少ないのが、コーチング現場の実情なのです

その意味では、コーチングというのは「つなぎ」です。ハンバーグを作るのに肉(カウンセリング)とタマネギ(コンサルティング)を混ぜますが、つなぎにハンバーグの素(コーチング)を使うような感じでしょうか。実際はこの3者の比率がTPOによって異なり、いろいろなハンバーグ(セッション)ができあがるのだと思っています。配合比率は正解がなく、クライアントの状況次第ということですね。

だから、コーチング講座を修了しただけでは、使い物にならないのです。ハンバーグの素だけではハンバーグにならないため、肉やタマネギは自前で調達する必要があるのです。そして、肉やタマネギを自前で調達できる人がコーチとして成功するのです。これは知る人ぞ知る事実です。

盲目的な従順は人間失格
274



再び小泉発言です。

首相、会談延期で対中批判 「靖国外交カードでない」

 小泉純一郎首相は5日昼、中国が東アジアサミット前の日中韓首脳会談の延期を表明したことについて「靖国(神社参拝問題)は外交のカードにはならない。いくら中韓両国が外交カードにしようとしても無理だ。批判する方がおかしいと思っている」と述べ、中国側を批判した。

 首相は「私はいつでもいいが、中国が延期する(なら)、それでも結構だ。中国の事情を尊重する」と指摘。中韓両国との関係については「靖国以外にも日中、日韓で重視していくべき問題はたくさんある。一つの問題で意見が違うと言って、ほかの問題も悪くしようという考えは(私には)ない」と述べた。

 首相の靖国参拝が会談延期につながったとの見方には「そうではないと思っている。これ(靖国参拝)は心の問題だ」と反論した。

 首相官邸で記者団の質問に答えた。(共同)

(12/05 15:37)

・私はいつでもいいが、中国が延期する(なら)、それでも結構だ。中国の事情を尊重する

・一つの問題で意見が違うと言って、ほかの問題も悪くしようという考えは(私には)ない

「言論・思想の自由」は相手を害するのでもない限り、変なイデオロギーの上を行くのです。うまいアサーティブネスです。特に「江戸の仇を長崎でとる」といった変なリンケージを断ち切るにはこういう言い方が良いのです。

長い間日本の首相はダメな人ばかりで、こういった弁の立つ人はいませんでした。中韓は嫉妬に凝り固まっているので、正義・正論らしきものを振り回すし、譲歩するだけ要求を出してくる。こういう相手は、日常生活のなかでも散見されます。

こんな相手に「争いを避け穏やかにいこう」「争わないように」「穏やかになるように」「平和にいくように」で、当たり障りのない言動を取るのが正しいのでしょうか。そうは思えません。それは単に愚かで卑怯なだけです。

人間が生きていく以上、従順に従うだけではダメです。堂々と自分の正しいと思う意見を主張しなければならない場合もあるのです。盲目的な従順は人間失格です。

難しい相手には、気迫が肝心です。言い方も工夫し、必要以上の摩擦を招かない言い方が必要なのです。私の見るところ、小泉さんの言い方は時宜にかない、評価できます。

コーチングのクライアントさんたちも、日々こうした難しい相手とやっていくことを余儀なくされているのが実情です。小泉発言はコーチングする側から言っても、たいへん参考になりますね。

ウナギになろう
273



嫉妬という感情は人間に必ずついてまわる感情です。とくに日本のムラ社会ではこの嫉妬という感情が陰湿です。どう陰湿かというと、自分が秩序のために抑圧されてきたので、他者も抑圧されるべきだ、という考え方が根底にあるのです。「出る杭は打たれる」文化ですね。その結果、「屈託ない楽しそうな人」に対して「態度がでかい」などと嫉妬するのです。

米国にだってもちろん嫉妬はあります。しかし、かの社会では、秩序のために抑圧されるなどというのは、単に意気地なしなだけで、到底美徳などと言えるものではないわけです。アメリカン・ドリームでは勝者は肯定し、建前としては明るく勝者を称えます。「出る杭は評価される」わけです。これは見習わなくてはならない。

とは言え、嫉妬は基本的には万国共通です。嫉妬の表われ方としては、

「嫉妬は正義・正論の衣をまとう」

もちろん例外もありますが、大半がそうだと言っていい。マスコミの報道、政治家の発言、はては町内会の個人攻撃にいたるまで。そして、考え方を変えることや自己批判を迫ってくる。みなさん、覚えあるでしょ・・・

これの処し方は?クライアントさんと話していて出てきたのですが、

「ウナギになる」

コレです。具体的には、

「あ、それはあなたのご意見ですね(私は考え方が異なります)」

といなしてしまう。柔らかく言うのがコツです。考え方を改めさせようと迫って来たら、こちらは「言論・思想の自由」というより格上の原則をさりげなく出すわけです。

「まぁ、そんな言い方をせんと。いろんな考え方があるわけですし」

場合によっては、

「はいはい、すんません。以後気をつけます」

と軽く口先でいなす。とにかく正面きって向き合わず、ウナギのようにヌルヌルすり抜けて後は何事もなかったように屈託なくやる。正義・正論の衣をまとった嫉妬は相手にしないのに限ります。

コーチングでアサーティブネスという用語があります。自分にストレスをためず、思ったように言う。しかし、相手を傷つけないようにうまく言う。これがムラ社会でいやな事を最小限に抑える王道だと思います。

よく、誰がああ言った、こう言ったとストレスをためている人がいますが、ムラ社会で生きていくのは、ストレスをためた方がマケです。

嫉妬
272



靖国問題で小泉首相の発言がこのところ痛快です。曰く、

「靖国は外交カードにならない」 中韓の反発に首相

 小泉純一郎首相は30日午後、自民党本部で講演し、靖国神社参拝に中国と韓国が反発していることに触れ「靖国問題は外交カードにはならない。今の時期、多少ぎくしゃくした問題があっても、長い目でみれば理解されるだろう」と述べ、これまでの姿勢を変える考えがないことを強調した。

 靖国参拝については「まさに精神の自由だ。日本人が批判するのも分からない。中国、韓国が批判するのも分からない」と重ねて反論。日本の外交方針に関して「日米同盟をしっかり築き、そして世界の各国と仲良くしていく方針を当分変えてはいけない」と述べ、対米関係を優先する意向を示した。

 首相はこの後、中国外務省高官が東アジアサミットでの日中首脳会談に応じない考えを示したことに対し「わたしは日中友好論者だ。友好は大事だと思っている」と記者団に強調。中国側が靖国参拝を会談拒否の理由に挙げていることに関しては「中国はそう思っているようだが、わたしはそう思っていない」と述べた。

 この日の講演は、立党50年を記念して行っている歴代総裁、官房長官の連続講演の一環。(共同)

(11/30 18:28)


いいぞ、その調子!妥協せずやってもらいたいです^^。

妥協するなというのは、靖国問題の本質は結局、国家間の「嫉妬」だからです。日本は中国・韓国なんかに嫉妬したりしない。だから中国・韓国に難癖をつけたりしません。日本人の本音は両国とも所詮田舎だ、でしょう。中国にいたっては田舎どころではない。蛮国です。失礼なようだが、事実だから仕方がない。

中韓からしたら、日本は嫉妬の対象以外のなにものでもない。本音は日本人などアホで大したことない、と思っている。その日本が経済大国で妬ましい。だが、そうは言えない。それが「侮日」という無礼な言動となって現れるのです。だから何やかやと難癖をつけてくるわけです。

嫉妬の観点から見れば、他に見えてくることは多いです。たとえば最近日米関係が良好だが、これはアメリカがITで好況、日本が大不況という状況が長く続いたからです。状況が逆のころは日米経済摩擦というのがありましたが、これは米国の日本に対する嫉妬が原因であったわけです。最近はすっかり鳴りをひそめました。でも今後また日本が独り勝ちでもすれば、再燃するはずです。

コーチング・セッションでもこの嫉妬という問題の強烈さに驚くことがあります。「嫉妬」は両方とも女へんですから、女性が強烈です。

・医者と結婚したのが許せない

・美人なのが許せない

ほんとうにこれだけの理由で周囲からいじめまくられるクライアントさんが現実にいらっしゃるのです。でも女性誌の広告でこういうのよく見ませんか?「むかつく女」というわけです^^

嫉妬は人類の属性です。たとえば、成り上がったような人物はよくマスコミから叩かれてますね。結局本来同列・同等だと思えるような対象に対して嫉妬するわけです。もとから違い過ぎると嫉妬の対象になり得ないのです。たとえば天皇家に対しては日本国民の誰もが嫉妬しません。

物事を理解するのに、嫉妬に対する洞察というのは必須だと思います。


蛇足:
こんな記事は読むたびにげっそりです^^

「発言によほど注意を」 加藤氏が安倍氏らに自重求める

 自民党の加藤紘一元幹事長は2日、TBS番組の収録で、安倍晋三官房長官、麻生太郎外相に対し、中国や韓国を刺激するような発言を避けるよう自重を求めた。

 中韓両国は小泉純一郎首相が退陣すれば対立の多かった日韓、日中関係が変わると期待していた、と指摘。その上で「外相、官房長官の人選をみて長期戦との感じを持っている。この2人の今後の発言はよほど注意しないといけない」と述べた。(共同)

(12/02 20:32)

わかったようなことを言ってるが、この加藤という男、結局小泉サンに嫉妬しているんです。今となっては自らが立ち枯れの木みたいな存在ですから、中韓と立場を同じくする、というわけです。こう読み解くとすっきりするでしょう。

論理と柔軟性
271



コーチングでの2つの柱は論理と直観力です。

日本には欧米流の論理は不在ですが、いい点もあるのです。

欧米の論理は原則を決めたらあくまで死守するという、日本人から見たら白痴的なところがあります。キリスト教のファンダメンタリストだとか、昔の禁酒法だとかがそうでしょう。

私は留学した折、大学当局から予算をもらって、向こうの人と行事の運営にたずさわったことがあります。もちろんミーティングを開いて詳細を決定するのですが、実際にやる段になれば、当然実情にそぐわない点が出てくる。こちらは機転をきかして、原則にとらわれず善処しようとするのですが、そのたびにその人は、

It is already decided.

と反対するのです。論理にこだわるアホはどうしようもないな、というのが私の正直な気持ちでした。

欧米人はディアロゴス、つまり論理の対決は得意なのですが、それはあくまで同じパラダイムの上で、という但し書きがつきます。その人は、決定には忠実でなければならない、というパラダイムから動くことができないわけです。パラダイムを変える、というパラダイム・シフト力(直観力)は思考が融通無碍の日本人の方が上と見ています。

ただ、日本人の多くが、

「物事は理屈通りいかないものだ」

という考え方にくみするのですが、これは注意が必要です。

「理屈どおり行かない」というのは、その理屈が間違っているということであり、硬直した理屈は排除する、という柔軟な態度が必要だということです。これはその通り。

ただ、硬直した理屈を排除したら、単に理屈の否定だけに終わってはダメです。必ず新しい理屈を構築しなければなりません。理屈の否定で終わってしまうと、科学的(論理的)なアプローチができなくなるからです。コーチングは結局、科学的(論理的)なアプローチだからです

いずれにせよ、コーチングをやるためには論理に強くなる必要があると思います。もちろん思考が柔軟であることが前提ですが。
300 カウンセリングは愚痴か
299 助言手法にこだわるな
298 閉塞感の中で一歩踏み出す
297 自分の人生は自分で評価
296 「答えはあなたの中にある」というコーチング哲学の功罪

*
295 カウンセリングを切り捨てたコーチング
294 目上は変えられない、自分が変わるしかない
293 つかまない
292 ニーズのない人
291 経営者・管理職は外的コントロール世代

*
290 臨床は財産だ
289 『巨人の星』は外的コントロール
288 コーチングはすぐれて論理的な対話
287 ヒマに耐えられる器
286 選択肢はどんどん捨てる

*
285 インターネットの普及とパーソナル・コーチング
284 プロのコミュニケーターのプレゼンスを学ぼう
283 私のコーチング事始
282 教育商品の限界
281 広義のコーチングとはカウンセリングを組み込んだもの

*
280 方向性をコンサルティングする
279 地獄から抜け出す
278 ネット・カウンセラー
277 自在性
276 沈黙

*
275 配合比率
274 盲目的な従順は人間失格
273 ウナギになろう
272 嫉妬
271 論理と柔軟性
*
270 『千と千尋の神隠し』
269 論理
268 良心に忠実であるということ
267 対話のパラドックス
266 ネット・カウンセラーの市場

*
265 コーチング・セミナーの意義
264 元「外的コントロール」の信奉者
263 外的コントロールなき家庭
262 骨付きの肉
261 外的コントロール

*
260 衆知を集める
259 争う
258 アンコーチャブルな人の相手(最終)
257 アンコーチャブルな人の相手(続き)
256 アンコーチャブルな人の相手

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255 自分が探しあたらなければ
254 メール
253 ワクワク感の陥穽
252 今の仕事の否定形
251 気管支炎その後


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