幅の広さ
345



クライアントのKさんは中学の教員をしておられます。担任のクラスに成績優秀だが、何かと反発する生徒がひとりいて、手を焼いているとのことです。

たとえば授業中に挙手して、

「塾ではこう習いました」

といった発言があるそうです。これが一理ある。こう言われたらあなたはどう対処しますか?

生徒を批判したり、自説に固執したりするのは下の下です。悪いがそれではあなたのレベルは生徒並みということを暴露するに過ぎません。

正解は「幅の広さを見せてやる」、これです。具体的には、

「なるほど。そういう考え方もできるね。しかし、先生は○○という理由で自分の考え方のほうがいいと思うが、君はどう考えるの?」

と逆に質問するわけです。それでも相手が引き下がらなければ、

「なるほど、君の意見は尊重しよう。しかし今日は時間の関係でこちらで授業をすすめる」

これで他の生徒はどちらがの意見が正しいかに関係なく、

「これは先生の勝ち、勝負あった」

と見てくれます。なぜか。それは先生の考え方に「幅の広さ」があるからです。幅の広い考え方ができる、つまり多くの視点があるということが精神年齢が高いことをあらわすからです。

逆に生徒を批判したり、自説に固執したりすれば、「幅の広さ」が認められず、精神年齢が低いことを暴露してしまい、長上としての尊敬を保ち得ません。

つまり精神年齢が高いほど多面的なものの見方ができる、低いほどものの見方が一面的であるということですね。「幅の広い考え方」ができる、つまり精神年齢が高いことが人間力であり、目下の人はその人間力についてくるわけです。

いろいろな価値観や考え方がありますから、そのどれが正しい、のみではダメです。学校のみならず、職場でも家庭でも「幅の広い考え方」ができてこそ、人がついてくるのです。

全面降伏
344



民主党のメール事件ですが、永田議員と前原代表が事実無根と全面謝罪です。いい大人が一分の申し開きの余地無く全面降伏は哀れです。

似たようなのが東横インの社長。身障者団体が抗議に訪れ、ただ申し訳なかったを繰り返すばかり。これも全面降伏ですね。

さてふつうならこの全面降伏に冷ややかでいられるのですけれど、今回はちょっと身につまされる点があります。実は去年の年末私もこの「全面降伏」を経験しているのです。

某コーチングのメーリング・リストで私信を「全館放送」してしまったのです。私はメーリング・リストを始めて今年で8年、普通なら絶対にやらないミスですがやってしまったのです。それがメーリング・リスト参加者の特定の人物を揶揄するニュアンスだったからたまりません。平謝りもいいところ、超「カッコわる〜」だったのです。

しかし私のバツの悪さは上記の人たちと比べたら軽微なもんです。上記の方々の失敗は連日マスコミで叩かれ、政治家生命・ビジネスマン生命に甚大なダメージを与えるものでしょうから。しかし自分の体験から敷衍すれば、これらの方々のお気持ちがいかなるものであるか、想像に難くないわけです。

こういった理解ができるという意味では、自分が犯した失敗も意義あるんだな、と思ったりしています。上記の方々も過去の失敗は過去の失敗として乗り越えて行ってもらいたいものです。今の恥はいずれ風化します。また他人はそれほどには思っていないものです。今は針のむしろでもいずれは癒えることでしょう。恥はかき捨てと割り切るのがいいと思います。

「汝らのなかで罪なきものが石を投げるがよい」はイエスの言葉ではありませんか。

もう少し発想を変えませんか
343



コーチングの学習を始めた人がお金をもらってコーチングできるようになる、いわゆる「有料クライアントをとる」のは難しいものです。私もその昔(といっても3年ほど前)、どうしたものか確信が持てずにいました。

さてそんな時期にCTPを受講していると、「コーチングのパンフレットを作って、配布する」というクライアント獲得案を大真面目で語る人が何人もいました。私のサイトから連絡を取って来た人のなかにも同じことを言う人が何人もいました。

せっかくですが、パンフレットなんて紙くずもいいところ。渡されても迷惑です。

「パンフレットだって!きょうび新興宗教でもそんなやりかたはしないだろう」

これが私の本音です。

ところが驚くなかれ、今まで数人のコーチング学習者から「紙のパンフレット」を受け取ったことがあります。それどころか紙のパンフレットを作るというテーマで大真面目にコーチングをしたりされたりしている向きがあるようです。

「じゃ、パンフレットを作るにはどうすればいいと思いますか」

とコーチングしているのでしょうね。CTPを受講された方ならわかっていただけるでしょうけど、これがCTP受講者の最大公約数のノリなのです。批判するつもりはありませんが、何か違うんじゃないか思わざるを得ません。

「もう少し発想を変えませんか」

このひと言が言えんのかな〜と私は思います。見当はずれな方向でいかにコーチングしようとも、思った結果は出ないでしょう。「パンフレット」はコーチングのとらえ方を練り直すきっかけにはなるでしょうけれど、クライアント獲得にはまず役に立たないと思います。

「もう少し発想を変えませんか」

いかに真摯にコーチングしようとも、必要な時にこれが言えないコーチは存在意義なし、なのです。

自分に忠実であること
342



クライアントのAさんは先ごろ失職して現在求職中です。今は景気も上々で就職事情も全く様変わりしているそうです。

そんななかにあっても面接でOKを出すところと出さないところがある。なぜだめだったかよくわからない場合、どうすればいいんでしょうか、という話になりました。

何でダメだったのか、わかればそのポイントを工夫できますが、わからない場合、自分を否定してみても始まらないでしょう。もちろん明るく自分の一番良い面を面接で出すべきですが、もしそれでダメだった場合、

・自分に忠実(正直)に表現したのなら、悔いは残らない

・自分を偽って表現したのなら、悔いが残る

ということではないでしょうか。この件についてひとつ思い当たる文章があります。

彼自身独特の者になることによってのみ、人は価値があり、あるべき唯一の満足なものとなることができるのである。 「環境によって支配されるのはあまり良い生活態度ではない」 とある人は言ったが、では何が良い生活態度であろうか。自分自身そのものになり切ることである。これが最初にして最後の、そして常にかくあるべき生活態度であるのである。

何よりもまずこの事だ
自分自身に忠実であれ
されば、夜の次に昼が来るように
必ず伴うて出てくることは
あなたが何人に対してもニセモノでないことである

(中略)

もし何らかの方向にもせよ、私たちが他の者の意見に迎合して生活しようとするならば、私たちは却って決してそれらの人を喜ばすことはできないのである。私たちがもしそのような迎合妥協の生活を試みれば試みるほど、他者は私たちに対して不合理な態度をとり、いよいよますます苛辣な批判を加えることになるのである。

『無限者との協調』 ラルフ・ウォルドー・トライン 1896年 谷口雅春訳

私は上記の文章に30前に出会ったのですけれど、まことにその通りだと思います。自分自身に忠実であってこそ、はじめて自分を生かすことができ、その結果力を身にまとうことができるわけです。

私だって自分のコーチング(人格)を買っていただけないときがありますが、自分に忠実であることが第一、それで改善すべき点がわかれば改善しますが、わからなければ仕方がないのです。悔いを残さないのをもってよし、とするしかありません。

最後にそんなお話もしました。ご健闘を陰ながら念じるしだいです。

精神年齢
341



コーチングのみならずカウンセリング、コンサルティングといった助言行為に要求されるのは例外なく「幅の広い考え方」です。

行き詰まった、というのはその考え方では解決しない、ということです。

たとえば、上司が嫌いで嫌いでどうしようもない、といった場合、嫌いだから嫌いだ、では出口がありません。「嫌いだけれど、○○だ」と考え方を広げていかなければダメなわけです。

たとえば、失恋したから死んでしまいたい、気持ちはわかりますが^^、そこまで彼女一人にとらわれるのはいかがなものか。人口の半分は女性なのですよ。

つまり、悩んでる人は例外なく考え方が狭(せば)まってしまっているのです。これを広げるのが助言行為というわけです。助言行為をするには当然多くの視点が持てなくてはなりません。たとえば、

「八方塞がりでも上は開いている」

といった発想がいるわけです。私は「多くの視点=精神年齢」だと思っています。つまり精神年齢が高いほど多面的なものの見方ができる、低いほどものの見方が一面的であるということですね。

助言者の精神年齢が助言される人より高い場合を「メンター」というのでしょう。一般的には助言者の精神年齢は助言される人と同等、またはそれ以上であるのが望ましいです。しかし助言者の精神年齢が助言される人より若干低くてもつとまらない、というわけではありません。

「負うた子に教えられる」

はありえるからです。しかし一般的には低くても8割くらいはないとダメでしょう。

人それぞれで、実年齢の割には精神年齢が高い人、実年齢の割には精神年齢が低い人がいますが、もちろん助言者の適性があるのは前者です。後者は助言を受けるのは問題ないですが、助言者の適性はないと言っていいと思います。

「人には無限の可能性がある」ですって?

でも私のように跳び箱もロクに跳べないような人には体操選手は無理だと思いますよ。精神年齢が低いのも個性で、それなりの持ち味もあるものです。お互い得意な分野で活躍するのがいいわけです。
350 立志のカウンセリング
349 対抗意識
348 子どもが小さいうちに子離れしよう
347 論理展開
346 身内の甘え

*
345 幅の広さ
344 全面降伏
343 もう少し発想を変えませんか
342 自分に忠実であること
341 精神年齢
*
340 ありのままの自分を受け入れてもらうしかない
339 冬の花
338 一芸を極める
337 詐欺師のトーク
336 挫折も無駄ではない

*
335 秘密厳守
334 サザエさんブルー
333 アンチテーゼ推進派
332 トイレ中座
331 同居人で上々

*
330 目的地が手段とか状態ではダメ
329 人間力は笑わせる力
328 命名
327 占い師
326 本1冊の分量

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325 感化力
324 タイプ分け
323 フィードバック
322 コーチングの間隔
321 パソコン顛末記

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320 情報発信
319 ホステス・トーク
318 身内に対する甘え
317 マザー・テレサの言葉
316 カウンセリング力とは

*
315 悩みの解決
314 失敗談を話す
313 幅の広いものの見方
312 そうかい
311 摂食障害

*
310 答えはクライアントの選択するもの
309 酪農コーチング
308 2日間研修
307 問題点の抽出
306 また風邪

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305 成り行きまかせ
304 文体
303 コーチングの本の出版
302 フィードバックには毒消しを
301 パレートの法則(80対20の法則)を理解してもらう


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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
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