Я[大塩の乱 資料館]Я
2016.11.13

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「大塩の乱関係論文集」目次


「格言七則」

『浄魂』徳島県師範学校学徒振励隊編・刊 1942 所収

◇禁転載◇

第五 勧学篇 八、格言七則管理人註
  

一、書固より道に入るの具なり、然り要を知らずして泛観博覧するときは、   則ち徳壊れて悪殖ゆ、吁、亦己を敗り世を乱る、慎まざるべけんや。 二 生を求めて以て仁を害することなかれ、夫れ生は滅あり、仁は太虚の徳   にして、万古不滅の者なり、万古不滅の者を守るはもの惑なり、故に志   士仁人は、彼れを捨て此を取る、誠に理あり常人の知る所にあらざるな   り。 三、勇士は気を養うて理を明かにせず、儒者は理を明かにして気を養はず、   常人は則ち、亦気を養はず、亦理を明かにせず、栄辱禍福、たゞ是れ趨   避するのみ、理気合一、天地と徳を同じくし、陰陽功を同じくする者は、   それたゞ聖賢なるか。 四、血気の気は、血盛なれば則亦盛なり、血衰れば、則亦衰ふ故に恃むに足   らず、浩然の気は則ち血の盛衰に因て以て盛を為さず、而して常に身心   に充塞す、死に至るまで衰へず、曾子簀を易へ、子路纓を結ぶの類の如   き是れなり、集義の功を積んで心に慊する者にあらざるよりは之を得る   こと能はず。 五、聖賢名誉の万世に伝つて朽ちざる者、此れ名誉の万世に伝つて朽ちざる   にあらざるなり。其初より終に至るまで実践する所、仁義礼智の徳、天   の春夏秋冬と只一箇なり、故に其人死すと雖も、其霊は春夏秋冬の気に   駕し、天地の間に布充満す、而して人るゝ能はず、是を以て万世に   伝へて朽ちざるなり、仮喜偽行して焉んぞ、此に至らんや。   実に不義を知つて然る後、その富貴浮雲の如きを知るなり、否らずんば   則ち安んぞ之を知るを得んや、而して是の知、便ち良知にして聞見の知   にあらざるなり、然り学者聞見の知を推広し、其の浮雲の如く聖人と一   般ならんと欲す、譬へば眇にして千里の外を見、蹇にして高山の頂に登   らんとするが如し、其れ難いかな。 六、常人天地を視て無窮となし、吾れを視て暫となす、故に欲に血気壮時に   逞うするを以て務となすのみ、而して聖賢は則ち天地を視て無窮となす   のみならず、吾れを視て亦以て天地となす、故に身の死するを恨みずし   て心の死するを恨む、心死せざれば則ち天地と無窮を争ふ。 七、良知を致すの学、但々人を欺かざるのみならず、先づ自ら欺くことなき   なり、而して其功夫屋漏より来たる、戎慎と恐懼と須萸も遺るべからざ   るなり、一旦豁然として天理を心に見る、即ち人欲氷釈凍解す、是に於   て常に洒脱の妙此れに超ゆるものなきを知るべし。


『洗心洞箚記』(本文)
その8



『洗心洞箚記』(本文)
その13









『洗心洞箚記』 (本文)
その17









『洗心洞箚記』(本文)
その17











『洗心洞箚記』(本文)
その51











仮喜偽行偽行

『洗心洞箚記』(本文)
その55












『洗心洞箚記』(本文)
その133









『洗心洞箚記』(本文)
その184
 


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