![]() 進退きわまって私に連絡を取って来られる人のなかに、他人がどう思うかという「他人の思惑」を気にし過ぎる結果、自縄自縛してしまっている人がたまにいます。こういった人の場合、「秘密厳守」を依頼文にとりわけ強調する傾向があります。 たとえばある人は人事が発表されて、堅いと思われていた自分の昇格が見送られたのです。失意もあるでしょうが、他人の思惑がたいそう気になるため、他人がどう思うかという気兼ねで圧倒されてしまい、いよいよ落ち込むわけです。こんな人に限って「秘密厳守」と書いて来るわけです。 見ず知らずの他人の私が、どうしたら実害ある形で秘密を漏洩できるのか不思議です。遠く離れたその会社へ乗り込んで行って、知りえたことを吹聴するとでも言うのでしょうか。 ・根本的に他人は自分のことを自分が思うほど気にしていない。 ・他人は自分が劣等感を抱かずにすむことなら、気にならない。 この2点から見れば、その人の昇格が見送られたことは他人にとってどうということはないはずなのです。他人の思惑は全く捨象するのがよいのです。 結局、「秘密厳守」を言う時点で「他人の思惑を大変気にして悩みを増幅している」というのが見て取れます。こう言ったら失礼かも知れないが、「秘密厳守」を言う人の悩みは大概ありふれていて、「よくあるケース」なのです。
![]() 「サザエさんブルー」とは、日曜の夜にテレビから流れてくるサザエさんのテーマ曲を聴くと、明日(=週明け月曜)からの仕事のことを思い出して、気分が鬱になったり、胃が痛くなったりする症候群のことをいう・・・ 世間的にはこれが「サザエさんブルー」ですが、私にとっては意味合いが違います。 私は昔からサザエさんの日常性が受け容れられないのです。だいたいあの磯野家の大人は何が目的で人生を生きているのか。あんなことの繰り返しで歳を取っていったらさぞかし空しかろう、人生無目的でありすぎるではないか、と思ってしまうのです。 たとえば趣味ひとつをとっても、登場人物は初心者ですらない。すべてその他大勢で片付きます。他人と少しでも違うといった要素が皆無なのです。つまり生活に自己実現の要素がゼロである、ということ。これが私個人をたいへん暗澹たる気持ちにさせるのです。 ですから、子どもがテレビをつけていて、食事中にサザエさんを観ると憂鬱になる。これが私にとっての「サザエさんブルー」です。 ところがうちの家内などはサザエさんが大好きなのです。「私はサザエさんが大好き」と公言し、子どもと一緒にサザエさんを観てケラケラ笑っています。私には全く理解不能。 結局、夫婦と言えど、人間の感性にはこれほどの開きがあるのです。この一事を取っても、他人の価値観を尊重し、自分の価値観を押し付けることのないようにしなければならない、と痛感するわけです。 ここで「サザエさんなんてくだらない」と他人の価値観を否定してはいかんのです。「ボクはサザエさんが苦手なんや」と言うにとどめています。アイ・メッセージですね。
![]() 以前、出版企画書を送ったところ、ある中小出版社から奇特にも自社でコーチング本のマーケット調査をした結果を教えていただけたことがありました。ざっとこんな内容でした。 ・大型店を中心にビジネス書コーナーで堅調な売れ。部下の指導スキルをアップするため、上司が買うパターンが多いようだ(昇進時期の領収書買い多し)。 ・「すぐできる」「すぐマスターできる」系好調。 ・ディスカバー・トゥエンティーワンの本好調。伊藤守氏の本など、著者買い傾向が強いようだ。 ◎昇進に伴い部下の指導を意識せざるを得なくなった人たちが、付け焼刃的に「コーチング」の本を買っている風景がほとんどのようだ(書店の規模を問わず、判で押したように同じようなコメントが書店員から返ってきた)。「だましてでも『すぐできる』とうたったほうがいい」との極端な声も飛び出した。 うなずける調査結果です。商業的には「コーチングは会話術」なのです。しかもインスタントに「速く身につく」と謳うのがポイントです。だいぶ浸透してきたとは言え、今でもコーチングは目新しい分野のようです。したがって「コーチングは会話術」路線で当面まだまだ通用するのでしょう。 しかし、20〜30年後も「速く身につく会話術」で通用するのでしょうか?早晩いずれ飽きられる時が来るのでないか、と考える次第です。「コーチングは会話術ではない」のアンチテーゼがもっと出てくれば面白いのにな〜、と思っています。 個人的にはどうあってもこの会話術の「軽薄さ」に乗れませんし、乗る気もありません。先日、某所で3時間ほどコーチングの講習をさせていただきましたが、会話術は重視していませんので、会話術実習には全く時間を取りませんでした。 私自身は日ごろ「コーチングは外的コントロールの排除」で始まって、「コーチングは人間力」で締めくくる内容で話をしています。「コーチングは会話術ではない」のアンチテーゼ推進派というわけです^^
![]() クライアントのTさんは学習塾をやっておられます。塾は小学生対象で、ご自身も小学生の息子さんがいます。この子も自分の経営している塾に来ているのだそうです。 ところが塾ではどうも親子の甘えが出てしまう。自分の息子が親に甘えると、自分も息子を邪険に扱ってしまう。それが傍目にはいたたまれなく映るとのことで、生徒の母親から、「あんなに言わなくても」と言われたりするとのことです。 他人の子どもでは何の苦労もないのに、自分の子どもと「親子モード」に入ってしまうと、抜けられない。どうしたものだろうかと、ご本人には結構頭の痛い悩みのようです。 小学生の息子に「親子モード」と「他人モード」の切り替えを要求するのは無理でしょう。息子が「親子モード」で来ると、どうしても「親子モード」に引きずりこまれる、のが真相のようです。 「『親子モード』に入りかけたら、塾のスタッフに仲裁に入ってもらうのはどうですか」 この提案にはTさんも同意したのですが、なんかプロレスのレフリーみたいですね。ここで思いついたのは「トイレ中座」でした。 「親子モード」に入りかけたら、トイレに行くようなそぶりで、スタッフに目配せして中座するのです。その間スタッフに息子を「他人モード」に戻してもらうという作戦です。息子も親がいなくなれば、「他人モード」に戻るしかないわけです。 あまり知られていませんが、「トイレ中座」はコミュニケーションの流れを変えるのに使えるテクニックです。たとえば話が長引きそうな場合に、話の打ち切りは切り出しにくいものです。そのときは「ちょっとお手洗い」で中座します。しばらくしてすっきりした様子で戻ってきて、 「では、そろそろ」 というと、難なく打ち切ることができるわけです。 Tさんは早速試してみよう、なんかうまくいきそうだ、とおっしゃってましたが、私もうまくいくかどうか少々楽しみなのです。
![]() 50前後になると夫婦の関係で悩む女性は多いようです。 とにかく夫に傷つけられそうでこわい、離婚するつもりだ、というクライアントさんがいらっしゃいました。こうなってしまえば夫婦でいることは実害があります。 これほど深刻でなくて私が出会ったパターンは、 ・夫が同居人でしかない ・夫が単身赴任して久しい ・夫と別居が続いている(仕事場で顔は合わせる) というものでした。そこで、 「では、どういう状態になったらあなたは満足なのですか」 と訊いてみると、どの人も考え込んだあげく、今以上に夫との距離が縮まってもかえってしんどい、といった発言をするのです。実害がなければ夫婦関係を解消することもないのでは、というのが私の考え方です。 両方がそれぞれやりたいことをやって、同居人でいるのなら上々。結局、夫婦は別れないで、適当に両方が楽しんでいたらいいのです。その上で、夫婦の会話量が多くて友だち状態であれば、それ以上望むことはないのでしょう。 とくに女性は結婚前の恋愛時代が理想と考えがちのようです。しかし、いろいろなケースを知ってくると、夫婦は基本的に合わないもの、やりにくいものというのがわかってきます。 評論家だった故江藤淳氏は奥さんと双生児ではないか、と言われるほど仲が良かったそうです。しかし、奥さんが病没した後、この人は生きていく気力が湧かず、後追い自殺しています。あまり仲がいいのも考えものなのです。 ちなみに我が家も「両方がそれぞれやりたいことをやって同居人」です。家内は言いたいこともあるみたいですが、私にはほかのありようはムリというものです。 |
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350 立志のカウンセリング 349 対抗意識 348 子どもが小さいうちに子離れしよう 347 論理展開 346 身内の甘え * 345 幅の広さ 344 全面降伏 343 もう少し発想を変えませんか 342 自分に忠実であること 341 精神年齢 * 340 ありのままの自分を受け入れてもらうしかない 339 冬の花 338 一芸を極める 337 詐欺師のトーク 336 挫折も無駄ではない * 335 秘密厳守 334 サザエさんブルー 333 アンチテーゼ推進派 332 トイレ中座 331 同居人で上々 * 330 目的地が手段とか状態ではダメ 329 人間力は笑わせる力 328 命名 327 占い師 326 本1冊の分量 * 325 感化力 324 タイプ分け 323 フィードバック 322 コーチングの間隔 321 パソコン顛末記 * 320 情報発信 319 ホステス・トーク 318 身内に対する甘え 317 マザー・テレサの言葉 316 カウンセリング力とは * 315 悩みの解決 314 失敗談を話す 313 幅の広いものの見方 312 そうかい 311 摂食障害 * 310 答えはクライアントの選択するもの 309 酪農コーチング 308 2日間研修 307 問題点の抽出 306 また風邪 * 305 成り行きまかせ 304 文体 303 コーチングの本の出版 302 フィードバックには毒消しを 301 パレートの法則(80対20の法則)を理解してもらう *** コーチングを受けてみませんか *** コーチングとは(私見) *** 社会人のためのカウンセリング *** カウンセリングとコーチング *** ビジネス・コーチング入門 *** ライフワーク・コーチングの奨め *** オーケストラ再生のオーディオ *** オーケストラ録音を聴く |
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