![]() コーチングで承認とは「ほめること」、と説明する人が多いです。 たしかにほめることは承認ですが、ほめなくても承認は成立します。 @お気持ちはわかります A手が大きいんですね Bあ、鹿児島の方なんですか @は話者が相手の気持ちを肯定しています。ABは話者が相手の客観的事実にスポットを当て、それを受け入れています。どれも立派な承認だと考えます。ほめない承認はうんと感情移入して語るのがコツです。 世間には、とくにほめるほどのこともないことも多いのです。また、ほめられた事実を深読みして素直に喜ばない人もいます。取って付けたようなほめ方ならしないほうが無難です。しかし、上記のほめない承認であればいかなる状況で使っても決して「臭くない」わけです。 また気安くほめるというのは曲者です。たとえば女性に、 ・そのヘアスタイル似合ってますね ・センスのいい服ですね くらいならいいですが、 ・色っぽいですね ・脚、きれいですね なんて言うとかなりセクハラ的に危険です。 承認はほめない承認こそ注目すべきであると考えています。
![]() 体験でコーチングを申し込んで来た人のメールです。 杉本様 ありがとうございます。 お電話の前にひとつだけ確認させてください。 機密保持はされると考えてよろしいでしょうか? 失礼な質問かもしれませんが、念のため。 よろしくお願いいたします。 ○○○○ その通り、失礼です^^ 私のサイトではきちんと秘密厳守を謳ってます。ご覧になったわけでしょう。 「おたくの会社大丈夫なんでしょうね?」 と訊くのに似てますよ。不安なら最初から申し込まなければいいのですから。相手の感情を害するだけの、賢明とはいえない質問です。 私は百歩譲って、 心配ご無用です。 と返して置きましたが。 それと毎度拍子抜けするのが、こんなことをわざわざ言う人に限って、ごくありふれたどうということのない内容の相談だということです。
![]() 日本人は農耕民族です。特別な例外を除いて全員が他人の目を気にしてムラ社会で生きるというDNAを持っているといっていいでしょう。 現代のムラ社会とは職場であり、会社です。ムラ社会はムラ社会の住人にとっては唯一無二の価値体系なのです。ムラ社会の住人は閉鎖的で、ウチ・ソトの概念が強く、そして同じムラ社会の他人の目を大変気にします。とくにこの傾向は大企業の生え抜きの人に強いです。 そうした人がムラ社会から不当な待遇、あるいは不当だと当人が思い込んだ待遇を受けると欧米人の場合とは比べものにならないストレスを受けます。 異動で、マネージャーから降格されました。特に大きなミスもなく、これほどの降格の理由が見当たりません。説明もなく悶々としています。今は未経験の業務を悶々とした中で行っていますが、非常に追い込まれた状態から抜け出せずにいます。 私のホームページから連絡を取ってきたこの人は私と同い年で、住所も電話番号も空白にしてありました。 文面から読み取れるのは、 @ムラ社会の住人である A他人の目を気にするあまり、自縄自縛して身動きがとれなくなっている B他人の目を気にするあまり、氏素性の流出を過度に恐れている 勘ですが、大企業の人ではないかと思います。文面自体はありふれたよくある話です。このブログで扱ったからといって守秘義務に触れることもないでしょう。 住所も電話も記載されてなかったので、こちらもこれでは相談に応じる気持ちになりませんでした。それで下記文面を返しておきました。 連絡ありがとうございます。 文面から拝察するに、降格されたのは単に会社側の都合でしょう。 降格された事実に囚われていても、そこに新たな展開はあるように 思えませんがいかがですか。 会社が唯一の価値観であるから追い込まれるのでは ないか、と感じました。 60になればいずれ定年を迎えて会社を去らなければ なりませんので、定年後の生活を考える機会が与えられた と考えられてはどうでしょうか。 住所も電話も記載されてませんので、とりあえず一旦 お返しします。 左遷という事実はムラ社会の価値観を捨てれば乗り越えるのは簡単です。別に失職したわけでもないからです。 こうしたピンチは誰もがいずれ通る道です。考えようによっては定年を迎えて通るよりも今通れてラッキーだったとも言えます。こうしたことでもなければ、閉鎖的なムラ社会の価値観は破れないでしょう。 自分の体験を振り返っても、こうしたピンチが実は、自分の価値観を外部に開く絶好のチャンスだと思います。もっとも、私も渦中にある時は余裕は全くありませんでしたが。
![]() 過日連絡を取ってきた30過ぎの女性です。 「今の仕事をスキルアップしたい、という思いがある。また新しいビジネスを起業したい、という思いもある。そして結婚もしたい」 ということでした。ひとしきりヒアリングした後で、こうぶつけてみました。 「おっしゃった3つのなかで○○さんがどうあっても実現したい、これだけは背に腹はかえられない、というのは何ですか?」 「どうあってもやりたいことですか、ええっと・・・・・・」 といったまま、返事が返ってきません。 「そこで返事が返ってこないということは、心が整理できてないんでしょうね。おそらく現時点ではそのどれをやってもうまくいかないと思いますよ」 「・・・・・・」 「つまりどれをやっても、こんなことをやっていていいのだろうか、と自分でブレーキをかけてしまうからですよ」 「・・・・・・」 「とにかく、自分の人生でどんな犠牲を払ってでもこれを成し遂げたい、という願望がある人は大抵夢を実現してますよ。あなたの場合そうした願望がないのが問題なんじゃないですか?」 「・・・・・・」 「どうしたらそうした強烈な願望を持ち得ると思いますか?」 「・・・・・・」 「それが差し当たっての一番の課題だと思いますがどうですか」 「はい」 多くの場合、願望をいかに実現すべきかが問題ではなくて、いかにどうあっても実現したいという強い願望を持つかが問題なのです。強い願望があれば、コーチングなんか受けなくても実現します。コーチングは実現のスピードを上げる効果はあっても、強い願望を創造する力はありません。最後に下記引用しておきます。 あなたが一度この世に実現しようと堅く決意したものは、その決意を中和するか修正しない限り、必ず実現してあなたの体験するところとなるのである。それゆえあなたがある確固とした希望を実現しようという決意に到達し、その実現のありさまを命の底深く実感するとき、宇宙に遍満する心の大海原を動かす力が発生し始め、あなたの人生の目的の実現に同調する人たちがあなたと自然交渉を持つようになるのである。こうしてあなたをして正しい方向に着々と動かす機会があなたの前に現れ始めるのである。 我々はたいてい多くの願望を持つものであるが、その中で我々が意識的にせよ、無意識的にせよ、断固として実現しようと自ら決意するようになった強力な願望だけが実現することになるのである。 『心の力の秘密』 ユージン・ロイ・デービス 1964年 伊藤正・谷口雅春共訳
![]() スポ根的なスパルタ式やり方は、昔は一般企業でも幅を利かせていました。たとえば、かっては財閥系の某グループ全体が新入社員の鼻はまずへし折る、というのが伝統だったそうです。 スパルタ式は恐怖感で意欲を引き出すやり方です。しかし、恐怖感というストレスを乗り越えるために驚くばかりの精神力を浪費してしまい、衆知を集めると言ったことは全く不向きです。EQの観点からみれば、全く生産性の低いやりかたと言わざるをえません。ですが、昔はこれで通用したのです。物不足のインフレの時代は「つくれば売れた」時代でした。だから少々生産性が低くても成り立ったのです。 しかし、物余りのデフレ時代にスパルタ式のような生産性の低いやり方は通用しません。経済はボーダーレス化してメガ・コンペティションの時代です。インターネット時代は全世界で一番安い価格で平準化されるのです。しかも消費者が気まぐれで、何が売れるのかのマーケティングがたいへん難しい。過去の成功体験は全く参考になりません。世の中も格段に複雑となってきています。こうした状況下、上意下達でスパルタ式のような硬直したやり方をやっていれば、早晩市場から淘汰されるのは明らかです。 メガ・コンペティションのデフレ時代では、社員の自発的な意欲や創意工夫を高めていく工夫をしなければ企業は生き残っていけないのです。つまり、社員に自発的に動いてもらい、その能力を最大限活用することを求められる時代であるわけです。 メガ・コンペティションのデフレ時代は企業間競争で見れば厳しい時代で、たしかに社員に負荷はかかります。しかし、その反面、職場のEQは高く、社員の能力も総じて高い、という長所があります。 もちろん昨今でも職場でいろいろな摩擦は絶えません。しかし、『おしん』の時代より遥かに民度が上がっている、というのも否定できない事実なのです。 そうしたなかにあって、「社員の自発的な意欲や創意工夫を高めていく工夫」がコーチングという手法であるわけです。 |
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450 問題意識 449 だからどうなの? 448 人が変わるのには承認が必要 447 95パーセントの承認と5パーセントの問題提起 446 人間は承認を食って生きている * 445 話好きで世話好きな感じ 444 GROWモデル 443 コーチングの要約 442 ありのままの自分で「居直る」「開き直る」 441 オタクの趣味の延長 * 440 いのちの電話に非ず 439 人の心の機微を理解したサービス精神 438 ハイCP 437 いくら考えてもわからないこと 436 好きでやっている、ということ * 435 二流でもいいから自分の芸風を確立する 434 無線の師匠 433 信用と誠 432 コーチングの小冊子 431 調子が良すぎないこと * 430 まだ整理できていない 429 驚くばかりの多様性 428 こじれきった上下関係 427 普通の電話はもう古い 426 コミュニケーションを改善したい * 425 意見の対立 424 アカウンタビリティ 423 新サイト 422 グランド・ピアノ 421 新ブログ * 420 口内炎 419 成り行きまかせ 418 アマチュア無線 417 サクラサク 416 早めに真剣に定年後を * 415 ほめない承認 414 その通り、失礼です^^ 413 ムラ社会の価値観 412 どうあってもやりたいこと 411 遥かに民度が上がっている * 410 コーチングは経済的豊かさの産物 409 プレ・コーチング 408 予想外に健闘 407 3周年 406 日本人のDNA * 405 ビジネス・コーチングの極意 404 テレビカメラというメタ視点 403 承認が第1ステップ 402 社外の座標軸を 401 言葉の錬金術 *** コーチングを受けてみませんか *** コーチングとは(私見) *** 社会人のためのカウンセリング *** カウンセリングとコーチング *** ビジネス・コーチング入門 *** ライフワーク・コーチングの奨め *** オーケストラ再生のオーディオ *** オーケストラ録音を聴く |
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