問題意識
450



人間必要に駆られて勉強したことは身に付きますが、そうでなければ身につきません。よく万巻の本を読んでいるから博識だ、というようなことを言われます。しかし、ポイントは「読むこと」にあるのではなく、読んだ後に「問題意識を持つこと」なのです。それでないと読んだことが身に付くわけがないのです。万巻の書を読破した人で出来る人は例外なく、

問題意識→読書→問題意識→読書・・・

のサイクルを繰り返した人です。問題意識がどれだけ持てるが勝負なのです。単に本を読んでもダメだと思います。

ちなみに私個人の読書量は水準以下です。ただ問題意識の強さは自分で言うのも何ですが、自信があります。

よく毎日ブログ記事が書けますね、と言われることがよくあります。これには、

「毎日セッションやってるお陰です」

とお答えしています。セッションを引き金に持つに至った問題意識を、一歩発展させて整理しているだけのことです。つまりセッションというアウトプットをインプットに転化させているのです。その結果、貧弱な読書量でもブログ記事が毎日書けるというわけです。

結局、勉強・学習は問題意識の強さで決まるのであって、読書量ではないのだと思っています。
今の時代、出版によって得られる情報は洪水の如しですから、むしろいかに情報を選別すべきかが問題であって、それが問題意識なのです。

だからどうなの?
449



英語でライティングの授業を取ると、講評で必ず一度は言われるのが、

"So what?"(だからどうなの?)

です。日本人はあまりこの「だからどうなの?」という問いかけに慣れていません。

たとえばコーチングで、

「英語がうまくなりたいのです」

と言われたとします。

「英語がうまくなるにはどうすればいいと思いますか」

このコーチングはおそらく×でしょう。これは「英語がうまい」という状態を目指しているからです。わたしなら、

「英語がうまくなってどうしたいんですか」

と訊きます。具体的には「海外駐在したい」「外国人の友人を作りたい」といったアクションが出てくるはずですから、このアクションに対してコーチングするのが正解なのです。

目指すことが、「ある状態を手に入れて、それを見せびらかしたい」ということであれば、コーチングはうまくいきません。

たとえば「お金持ちになりたい」というのがそれです。お金持ちになった結果何をしたいのか、もしくは何をしてお金持ちになりたいのか、という"So what?"を問わなければならないのです。

"So what?"で出てきた内容が、アクションであればだいたいコーチングはうまくいきます。このあたりは年季を積めばわかってくるでしょう。

人が変わるのには承認が必要
448



パーソナル・コーチングとは何か?

もちろん、人によってさまざまな定義があると思われますが、私なりにまとめると、

@気持ちを整理する
Aしかる後に行動計画を策定する


この順序でクライアントを支援することです。場合によっては@が必要ないことも、Aが必要ないこともあります。

気持ちを整理するには、誰しも自分をおおむね肯定できなければなりません。このためには自分自身を95パーセント承認することが必要です。95パーセントの承認ができていない状態というのはその人が多少凹んでいる(落ち込んでいる)状態です。

ですから、もしクライアントが自分自身に95パーセントの承認ができていなければ、コーチはその不足している分を補ってさしあげるわけです。

その状態で行動計画の策定を支援するわけです。自分自身に95パーセントの承認を確保できた場合、そこで立案される計画は最も現実的で最も実現性が高いと言えます。言い換えると、自分自身に95パーセントの承認を確保できた場合、その人は最も効果的に変われると言えます。

「人が変わるのには承認が必要」、意外な事実です。人間は承認(肯定)によってかえって変わりうるのです。否定・批判によって変わったとすれば、本人が否定・批判を95パーセントの自己承認という形に咀嚼した結果なのです。もちろん咀嚼する過程で本人は葛藤を経験し、精神的エネルギーを使っているものと思います。

ということは相手を変えるためには、95パーセントの承認と5パーセントの問題提起がベストということになります。たとえて言えばキャッチ・ボールで胸元に投げる感じです。相手は問題提起をスムーズに受け止め、精神的な葛藤によるロスを最小限できるからです。

95パーセントの承認と5パーセントの問題提起
447



@人間は承認を食って生きている。
A承認は自分が自分に対して行なう承認と他人が自分に対してしてくれる承認がある。
B自分が自分を承認できない限り、他人から承認してもらえる自分にはなれない。


以上は私のかねてからの主張です。ただし、自分を承認するにせよ、他人を承認するにせよ、100パーセントの承認ではなく、95パーセントの承認と5パーセントの問題提起が理想ではないか、と思っています。100パーセントの承認ではそこに改善の糸口が見出せないからです。

「私は私の生き方を通すのだ」

大賛成です。それがあるべき姿ですし、そうしかしようがないでしょう。だからいつの場合にも95パーセントの承認を確保する。しかしあと5パーセントは、

「基本的にはそれでいいが、ここをこう変えたらもっと良くなる」

「もう少しうまいやり方はないかな」

が望ましいと思います。

世間ではよく100パーセントの批判というのがあります。悪いは悪いで言い切らないとポイントがぼやけてしまう。しかし、正面切って批判されても、批判された方は、通常95パーセントの自己承認と5パーセントの問題提起に料理し直しているのが実情です。

95パーセントの承認と5パーセントの問題提起は万人に理想的なバランスなのです。承認は自分に95パーセント確保する。しかし、あえて100パーセントとはしない。100パーセントは知恵の行き止まりだからです。

人間は承認を食って生きている
446



パーソナル・コーチングの実態は、

@クライアントの現状を承認する

Aクライアントの課題を明確にする

極論すればこの2つです。@とAとどちらが大切か。もちろんどちらも大切ですが、断然承認のほうが大切です。というのは意欲は承認によって出てくるからです。

人間誰でも自分自身に対する承認は間断なく繰り返しています。自分で自分を承認できるうちは必ず意欲というものがあるものです。意欲がなくなった時というのは、自分で自分を承認できなくなった時です。

本人が意気軒昂であろうと、落ち込んでいようと、他者からの承認が害になることはまずありえません。他者からの承認は、本人が慢心しない限り、もらえればもらえるほどいいのです。

特に失敗して落ち込んでいる時こそ、「今回は(あなたのありようは問題なかったのだから)しかたなかったですね」という承認が必要です。もちろん自分で自分を承認できればそれでもいいですが、パーソナル・コーチングではコーチがそれを言うところに意義があるのです。

人間は精神的には承認を食って生きている生き物なのです。それが他の動物と違うところです。パーソナル・コーチングは承認を積極的に補給する作業なのです。

ただ人間力のないコーチが口先だけでやる承認は耳を塞ぎたくなることでしょう。承認の効果はコーチの人間力が必須です。この点からもコーチングは人間力でこなすものと言えます。会話術ではないのです。
450 問題意識
449 だからどうなの?
448 人が変わるのには承認が必要
447 95パーセントの承認と5パーセントの問題提起
446 人間は承認を食って生きている
*
445 話好きで世話好きな感じ
444 GROWモデル
443 コーチングの要約
442 ありのままの自分で「居直る」「開き直る」
441 オタクの趣味の延長

*
440 いのちの電話に非ず
439 人の心の機微を理解したサービス精神
438 ハイCP
437 いくら考えてもわからないこと
436 好きでやっている、ということ

*
435 二流でもいいから自分の芸風を確立する
434 無線の師匠
433 信用と誠
432 コーチングの小冊子
431 調子が良すぎないこと

*
430 まだ整理できていない
429 驚くばかりの多様性
428 こじれきった上下関係
427 普通の電話はもう古い
426 コミュニケーションを改善したい

*
425 意見の対立
424 アカウンタビリティ
423 新サイト
422 グランド・ピアノ
421 新ブログ

*
420 口内炎
419 成り行きまかせ
418 アマチュア無線
417 サクラサク
416 早めに真剣に定年後を

*
415 ほめない承認
414 その通り、失礼です^^
413 ムラ社会の価値観
412 どうあってもやりたいこと
411 遥かに民度が上がっている

*
410 コーチングは経済的豊かさの産物
409 プレ・コーチング
408 予想外に健闘
407 3周年
406 日本人のDNA

*
405 ビジネス・コーチングの極意
404 テレビカメラというメタ視点
403 承認が第1ステップ
402 社外の座標軸を
401 言葉の錬金術


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