管理職の誤解
545



私も管理職になって十年以上経過しました。当初は実務経験がある管理職でしたが、そのうち実務経験のないことを管理するようになり、今では管理対象の大部分が実務経験のない業務です。

昔は実務経験のないことを管理することに、何とも言えない自信のなさと後ろめたさを感じたものです。これは2つの思い込みがあったからだと思います。

@上司たるもの実務経験があって、詳細がわからないと、部下に指示を出せないし、部下もついて来ない。

A上司たるもの率先垂範して、汗水たらして働くべきだ。誰よりも早く出社して、誰よりも遅く退社すべきだ。


今なら@もAも誤りである、と自信をもって言えます。@Aを兼ね備えた人は単なるプレイング・マネージャーに過ぎず、せいぜい小さな部署の長を務めるので手一杯でしょう。

まず@ですが、実務経験が豊富で部下に細かい指示が出せる上司が仮にいたとしましょう。なるほど部下が未熟なうちはこれでいい。しかし、この上司がいつまでも指示・命令を続けるならば、人材が育っていくのには邪魔になるだけです。部下が育ってくると、上司は身を引いて権限委譲できなければならないからです。

世間では仕事のできる上司の下で部下が育たない事例が掃いて捨てるほどあるのです。部下が育っているなら、上司に実務経験はなくて問題ありません。カビの生えたような昔の実務経験はかえって害になります。

最も大切なのは、外的コントロールを排除した雰囲気のいい職場づくりができることです。自由闊達に発言できるようにして、衆知を集めることが組織の生き残っていく条件だからです。なるべくふだんから雑談レベルで意思疎通を心がけるのがよいのです。下手に管理しようとして、会議漬けにするのは時間のロスが多く、効率も低いだけです。

部下にしても、有能?な上司の下で萎縮していたのでは伸びません。部下は自分が上司より実務ができて、上司から頼りにされている状態でこそ、自信とともに最高の意欲を出すものです。

「自分がいてこそ、この部署は回っていくんだ」

部下にこの自負を待たせることができたら、上司は手柄を全部この部下に譲って称えればいいのです。部下は慕ってついてきます。だから、上司は実務経験はなくてもいいのです。それよりも上司の人格で部下を束ねることができて、部下が上司を立ててくれるという秩序が維持できるかどうかが最大のポイントです。

次にAです。誰よりも早く出社して、誰よりも遅く退社する上司が仮にいたとしましょう。日本電産社長の永守氏のような例はあります。しかし私は永守氏は特別な人だと思っています。少なくとも私自身の参考にはなりません。

心底仕事に対する情熱で自然と誰よりも早く出社して、誰よりも遅く退社するのだとしたら、その情熱は評価に値すると思います。しかし、義務感で誰よりも早く出社して、誰よりも遅く退社するのだとしたら、とても続くものではありません。義務感でそうしようとすること自体が、その上司は農民的気質を払拭できていないということです。

日本人は古来みんなで田植え・稲刈りといった農作業をする、といったムラ社会で暮らしてきました。だから汗水たらして働くのは美徳というDNAがあります。これが農民的気質の正体です。そのDNAが単に外面的に現れているなら、ムラ社会に埋没しているだけに過ぎません。広い見地からの戦略的な仕事は能力的に無理と言っていいと思います。上層部に抜擢するにはふさわしくない人材であると言えます。

上司は汗水たらさないことを恥じるべきではなく、視野が狭くて戦略的な手が打てないことを恥じるべきなのです。ボート漕ぎにたとえれば、上司は漕ぎ手ではなく舵取り(コックス)ですから、舵取りが満足にできることを何よりも優先させるべきなのです。ということは押えるべき点を押えたら適当に切り上げて帰るのが正解です。部下もそうした上司のほうがやりやすいはずです。

私は今でこそ@Aの思い込みはありませんが、管理職になりたてのころは@Aがあるべき姿だと思いこんでいました。そして管理職なら多かれ少なかれ、誰しもこの思い込みは経験するものと思います。そして、この思い込みがもとで心の病になったりする人も少なくありません。何を隠そう、この私もこの思い込みで一時期おかしくなりかけたことがあるのです。

この思い込みが払拭できないうちは、しばしば部下と衝突することになります。また、上司としてのプレゼンスがなんとなく自信なげで、部下が立ててくれるというところまではいきません。その結果、部下とあまりうまくやっていけない、という状況に陥りがちです。管理職にとってはこの思い込みこそ、諸悪の根源だと私は思います。

@Aの誤解を明快に拒絶できる人ほど、できる上司である、と言って間違いないでしょう。悩める管理職はだいたいこの2つの誤解から抜け出せていないものです。じゃあ、私はできる上司なのか?少なくとも、@Aの誤解でおかしくなっていたころよりは、断然いい、と言っておきましょう。

なぜこんなことをわざわざ書くかというと、この理解なしに管理職のコーチングはできないからです。この2つの誤解を解くのが管理職のコーチングというものではないか、と私は密かに考える次第です。

優劣でなく個性で勝負しよう
544



私の趣味はオーディオです。典型的なオヤジの趣味です。

さてこの趣味のアプローチは大別して2つあって、

@つねに最新の機器に更新していく新しいもの好き路線
A特定の機器に愛着を持って10年20年と使い込む使いこなし路線

@の路線だと常にある種の劣等感に悩ませられるものですが、Aの路線はある種のやすらぎがあるものです。それは手持ちの機器を肯定し、手持ちの機器をに愛着を持ち、その能力を目一杯引き出すという路線だからでしょう。

最新の機器でなくても、その使いこなしのセンスに個性と味わいを見出すことができます。要は最新の機器との比較をやめ、優劣でものを考えるのを止めるということです。

人間も同様です。自分より優れた人は必ずいます。そういった人と比較してばかりでは、気が休まりません。その場合は、こう考えてはどうでしょう。

「自分の与えられた境遇と自分の与えられた才能で、自分の可能性を目一杯引き出すことだ」

自分を肯定し、自分に愛着を持ち、その能力を目一杯引き出す、というのは同様にやすらぎを感じることができます。この路線は他人との比較がなく、自己の個性で勝負するやり方であるわけです。

私たち個人の存在意義は「個性」であるわけです。優劣を論じればどこかのコンクールで優勝できない限り、絵を描く・楽器を演奏するといったことも楽しめなくなります。もちろん下手の横好きは気が進みませんが、自分の手の届く範囲で上を目指せばよいのです。それよりほかにどんなありようもないでしょう。

境遇・才能ともに恵まれながら、驚くほど劣等感にさいなまれているクライアントさんはいるものです。その場合は、こうした考え方をご紹介してみます。すぐに納得は行かないかもしれませんが、いずれ「優劣」よりは「個性」に目覚めていただけたら、と思うのです。

スパム・メール
543



私のウェブサイトからの体験コーチングの受け付けはCGI画面を使っています。

最近海外からこんなスパムがかけられるようになりました。受信した文面はこんな感じです。

1yourname : Alijah
2address : Darrel
3tel : Collin
4sex : Bruno
5age : Marshall
6residence : Joey
7comment : 0d9eb1a2091dde933c8e03374c113262 traghettoitaliagrecia http://15.dellaforza.com/cinemaastrafeltre/ annamariafranzoninovita ilmattinodelladomenica http://8.dellaforza.com/affittiappartamentopiemonte/ autogermaniausata mp3canzonenapoletana http://12.disublime.com/prestitomontiglio/ autonoleggiocasella salvatoreangelucciblog http://19.dellaforza.com/aquistotomtomnavigator5/ fahrenheitradio3 incontrieros http:/!
/13.edafiglie.com/larivoluzionerussalecause/ videoregistratoresamsung hotel3stelleischia http://9.disublime.com/screensavermodella/ agriturismocorsica massaggiatriciinliguria http://19.dibruttezze.com/agriturismoborgopanigale/ ragazzogiaveramontello albergocapracotta http://4.dellaforza.com/sfondicaraibi/ prodottoantiruga f80758434e1aa8b7f4f43484bba3f507


+----------------------------------------+
送信元ページ : http://www.cwo.zaq.ne.jp/coach/process/index.htm
送信元IPアドレス : 200.93.10.70
送信元ブラウザ : Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; en-US; rv:1.8.0.4) Gecko/20060508 Firefox/1.5.0.4
+----------------------------------------+

始めはそれほどでなくても、度重なるとうんざりしてきます。明確にどこかのサイトにアクセスさせたい、というのではなくて、単なるいたずら・嫌がらせだからです。

そうでなくても、私のところへは1時間(1日ではありません!)にスパム・メールが6〜7通来ます。現在はスパム・フィルターで除去してますが、スパム・フィルターがなかったら大変です。

完全除去は無理でしょうが、スパムを防止する技術が発達してくれることを心から待ち望んでいます。

ないないづくし
542



実力もなければ、自信もない。これだけは成し遂げたという自負もない。それで何をしたらいいかわからない。そして極め付きは、やる気が起きない・・・

こういうないないづくしの文面でコーチングを私のウェブサイトから申し込んで来る人がたまにいます。文面を読んでも、ここから入っていけばという手がかり・足がかりが全くない。自分で自分の境遇をむちゃくちゃにしながら、他人に何とか相談に乗ってくれといわれても、赤の他人である私にはまるで手が出せないでしょう。

信念、つまり自己承認は何かを達成しながら徐々に積み上げて行くものです。もしこれまでに何事も達成できなかった、というのであれば、それがその人の選択だったのだから、他人がとやかくできるわけがありません。

コーチングを始めたころはこんな人も相手をしてました。この手の人は文面通りの暗い人格で、文面通りの暗い口調で話します。これは例外ありません。結局、自己承認が著しく欠落している人は他人が打つ手はないということを痛感しています。

気の毒には思います。しかし、こういう場合は相手をせず、メールで本をご紹介して、自分で考えてもらうようにしています。おそらく私の紹介する本など読まないと思いますが、もし読んだ場合、なにかのきっかけが起きる可能性はゼロではありません。その可能性だけはお渡ししよう、ということです。

礼節=承認
541



視線を合わせて、名前を呼んで挨拶しよう、というのはビジネス・マナーとされます。

つまり、単に「おはよう」ではなくて、「田中さん、おはよう」と言うわけです。これを相手の顔を見ながら言います。これも一種の承認と言えます。つまり、田中さんという人格を肯定する行為であるわけです。

もし、視線を合わせず、名前も呼ばず、だったら人格を肯定している行為とは言い難い。私の上司に、

「はい、ちょっと」(ちょっと来てくれの意)

と内線してくる方がいました。慣れてしまえば何とも思わなくなりますが、始めのうちは、

「自分は『ちょっと』ではな〜い」

と心の中で叫んだものです。やはりぞんざいな言葉遣いと言わざるを得ないでしょう。

さらには「和顔愛語」というのも広義の承認の一種です。「和顔愛語」とはにこやか笑顔で声をかけることですが、これも相手の人格を肯定している証拠であるわけです。

承認をほめること、と説明する向きは多いですが、ほめることは承認のほんの一部です。相手の人格を肯定する全ての行為、すなわち他人に対する礼節のすべては承認と呼んで差し支えないと言えます。たとえば、きちんとした服装で手土産さげて挨拶に行くのも、承認と言えないことはありません。つまり、

礼節=承認

であるわけです。
550 日経経営セミナー
549 『黄金律』
548 目標を仕切りなおす
547 想いが出て来ないならアンコーチャブル
546 時間にルーズな人

*
545 管理職の誤解
544 優劣でなく個性で勝負しよう
543 スパム・メール
542 ないないづくし
541 礼節=承認
*
540 コーチングってどうすることですか
539 農民気質と狩猟民気質
538 恐ろしげな声付き
537 コーチングでなくて何がイカンのか
536 オジサンの社会経験

*
535 片付けられないのは
534 クロージング
533 親切は自己承認が引き寄せる
532 感性の違いを乗り越えるためには
531 うぬぼれ、傲慢大いに結構

*
530 断定形で発言するのはやめよう
529 対話として自然であるかどうか
528 ページランク5
527 結局申し込まない人は申し込まない
526 提案したらダメなのか

*
525 自己承認と成功哲学
524 自己承認ができていない人は
523 ちょっとした感動
522 自分の生き方を肯定すること
521 メモ魔vsメモ極少派

*
520 コーチング力は国語力
519 昔の経営者
518 早朝勉強会
517 質問の技術は定義から
516 新快速の威力

*
515 指示・命令・外的コントロールの時代の終焉
514 一体何が悪いのか
513 学校マネジメント
512 恋愛のトラブル
511 日経社告

*
510 雑誌で紹介
509 NLP入門セミナー
508 靖国神社に行ってきました
507 プラスの自己
506 開き直りは自己承認

*
505 幼い相手のコーチング
504 外的コントロールの生んだ悲劇
503 農民と狩猟民
502 コーチングの社会通念
501 満足のズレ


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501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
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