おかしいぞコーチング学習者
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クライアントのKさんはコーチングを学び始めたところです。

相互コーチング.jpというサイトで実習相手を見つけて6人とコーチングしたのですが、6人が6人とも、

「私聞く人、あなた答える人」

という奇形的コーチングをするのだそうです。話の展開は意図的な「なぞなぞ」のようで、発展しない。結構フラストレーションが溜まるし、

「これがコーチングなら、コーチングなんか魅力ないな」

と思わざるを得ないそうです。とくに、

「どうしたらいいですか」

とクライアント側からコーチ側に問いかけたとき、

「○○さんはどうしたらいいと思いますか」

と付加価値をつけずに、そのまま返して来るそうです。それを聞いているんじゃないですか、という気持ちにならざるを得ません。それならまだいいほうで、

「コーチングでは提案してはいけない」

という人がいるかと思えば、

「では私の意見を言わせてもらいますが、構いませんか」

と大仰に前置きをする人もいて、コーチ側が自分の意見を言うことに病的なアレルギーを持っているのは共通していたそうです。

そのくせ、15分ほど話した後、

「何か気づきはありましたか」

などと言う。あるわけないでしょ、と思わずにはいられない。

いずれもコーチングを学び出したばかりの初心者によく見られる現象です。とにかく、

「答えはあなたの中にある」

という教条に呪縛されておかしくなっているのです。

答えはあなたの中にある=答えはクライアントが独力で考えなければならない

というのは全くの誤解で、コーチ側の意見にクライアント側が単に同意したとしても、それはクライアントの「選択」ですから、答えはクライアントのなかにあったといえるわけです。

「どうしたらいいですか」とクライアントが訊いてきたら、私の場合、

「私は□□と考えますが、○○さんはどう思いますか」

と率直に回答を返します。それでクライアントは必ず反応するはずですから、その反応に対してまた質問すればいいわけです。

コーチとクライアントで共に築き上げていくのが正しいコーチングです。また正しいコーチングは会話としても自然で抵抗がないはずです。

こうした当たり前の常識が、かえってコーチングの学習者に欠けているのは、考えると皮肉なハナシですね。

事業を従業員に解説する
664



どうも人が育たない、つねに人が辞めて行って、10年間ほとんど同じところに留まっていて進歩がない、と言われる小さな会社の社長さんのコーチングを引き受けることになりました。

ヒアリングしてみたのですが、社員やパートさんはとにかく反発しているのがわかります。なぜ反発するのか、それは社長の指示に納得できないからです。どうして社長の指示に納得できないのか。

この人は社員が働きやすいように、会社の複雑な問題の話をせず、簡単な指示だけ出してきたそうです。そうして難しい仕事は全部自分でこなしてきたそうです。この人は社員への心配りのつもりでそうして来たと言われるのです。

「それでは部下をトロ臭く感じるでしょうね」

と言うとその通りとのことで、だから自分がやってしまうのだそうです。

しかし、ちょっと考えれば、この状態では社員は単に使われているだけで、仕事の意義も理解できていないのは明白です。社長が部下をトロ臭く感じていることは空気として伝わっているはずで、この状態で社長が部下に指示を出しても、部下は決して社長を上長として立ててくれないでしょう。それどころか、指示の意図することもわからないので、不平たらたらだと思われます。

経営者は面倒でも自分の事業を従業員に解説しなければダメなのです

よく引き合いに出される外国の例ですが、

「おまえはなぜレンガを積んでいるのか」

と問われて、作業者Aは

「親方に言われたから」

と答え、作業者Bは、

「あそこの一家が住む家を建てているところです」

と答えたそうです。もちろん作業者Aと作業者Bの目の輝きが違うのは言うまでもありません。作業者Bは自分の仕事の意義が知らされているから、目が輝いているわけです。

「自分の事業を従業員に解説しなければならない」と私から言われて、この人は結構驚いた様子でした。問題は明らかにこのあたりにありそうです。

「人が育たない」で悩んでいる経営者のコーチングは今となっては自信を持って引き受けられます。コーチングを始めたころは手探りでしたが、その意味では成長したということなのでしょう。

睡眠不足
663



バーゲンセールの福袋というアイテムがあります。

安いから先を争って買う姿がテレビでよく放送されていますが、何が入ってるかわからんものを買ってほんとうに得なのか疑問です。安いから買うというのが一見合理的な経済行為のように見えても、実際は損というのが実情でしょう。しかし福袋はある意味わくわくするし、買わなければ損なような気がする。

似たようなのが睡眠不足です。

忙しいから寝る時間を削って夜更かしする。その結果、翌日全く気分が優れない。たった1〜2時間の睡眠不足が、4〜5時間はおろか終日のロスに繋がった経験はありませんか。

忙しいから、夜更かしをするといった一見合理的な行為が、実は全然合理的ではない。ちょうど福袋がかえって高くつくように。

もちろん誰しも若いころは多少の睡眠不足は勢いで乗り越えてしまうものですが、歳を取ってくるとそうもいかないわけです。

不要なものはとにかく買わないというのが合理的な経済行為ですが、時間が来たらとにかく寝るというのが結局は正しい、のではありませんか。

・・・以上の内容を、ついつい夜更かしして悪循環に陥っていると話されたクライアントさんにお伝えしたところ、

「ほんとうにその通りだ、しかしこの問題は奥が深い」

と言われました。この方は若いころずっと深夜静かになった時に調子が出る夜型だったのだそうです。しかし結婚して子供ができると絶対朝早く起きざるを得ない。しかし、長年の習慣でついつい夜更かししてしまうのだそうです。

いかに仕事が片付いていなくても、時間が来たらとにかく寝る。そして気分爽快で気力充実している状態でつじつまを合わせる、この方針を確認したのは言うまでもありません。私を含めてこのポイントは頭で理解できても意外に体でわかっていないものですが、如何?

何かを取ったら何を捨てなくてはならない
662



体験コーチングを申し込んできた管理職の女性です。

職場でストレスが溜まりすぎて危険な状態だと本人は言います。いろいろあって自分の職場での存在感がかなり低下してきたのだそうです。

「では○○さんはどうなればいいのですか、どうしたいのですか」

と問うてみたところ、今の会社を辞めたい、そして別の会社に変わりたいのだそうです。しかし別の勤め口はなかなか見つからないそうです。確かに追い詰められてはいます。

「辞める会社なら自分の存在感がいくら低下しても構わないじゃないか、と話を聞いていて感じるのですけれど」

上司たるもの社業に貢献しなければ、という罪悪感があるんだそうです。私はこう申し上げました。

「何かを取ったら何を捨てなくてはならない、のですよ。会社を辞めるというのと社業に貢献するというのは全く正反対のベクトルで、両立は無理ですよ。辞めるなら辞めるんだという割り切りが要るんじゃないか、と思うのですがどうでしょうか」

というと今度は、転職先でまた辞めなければならない事態にならないか不安なんだそうです。

「それは今いくら考えても答えは出ないですよ。次の会社に変わってから考えたらどうか、と思うのですがどうでしょうか」

以上で体験セッションは終了。岡目八目で見れば明快に切れるわけですが、渦中の本人にしたら悩むとこんなふうにはまってしまうようです。

ほつれた糸を解く鍵は、

「何かを取ったら何を捨てなくてはならない」

というポイントに尽きると考えます。

この人は私と契約することを保留しましたが、コーチングという継続したサポートがいるのか、ワンポイント・アドバイスでいいのかは本人次第でしょう。体験セッションとしてはこうしかやりようがないと思います。

コーチング1回15分
661



クライアントのYさんは自営で保険の代理店をやっておられます。

この人とは週一で週末土曜日にコーチングをしていますが、これが目標達成だけのコーチングです。Yさんは私にその週の成果と次週の目標を語るわけです。話すことで、ペースをつかんでいかれるのです。

ですから、毎回コーチングの時間が短い。30分足らずで終わってしまいます。私のコーチング・スタイルはカウンセリングのウエイトがかなり高いライフ・コーチングで、1時間フルに使うほうです。それから言うとYさんとは異様に短い。しかし、Yさんはカウンセリングを求められないので自然とそうなってしまうのです。

今週のYさんは、結果も出せて絶好調。

「私があんまり言うこともありませんね。今日はこの辺にしましょうか」

で短く終わったのですが、なんと15分。しかし、今回は継続する契約も同時にいただいたのです。

15分のコーチングは決して楽ではありません。開始時間に向けてこちらのテンションを上げていかなければ務まりません。その意味では1時間のコーチングよりよほど集中力が必要です。コーチングに求めるものは人それぞれ。15分のコーチングもありだ、ということです。
700 人前で話すコツ
699 あまり目標達成のみにこだわるのも善し悪しだ
698 ビジネス・コーチングはカスタマイズ
697 自分の精神の防御が第一
696 女性の誘い方

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695 サラリーマンは流されて生きるしかない?
694 頭から否定しない
693 危うく難を逃れた
692 コーチングに合わない人
691 マッサージ1回分

*
690 もう謝るな!
689 コーチング研修
688 問題意識が感じられないとき
687 とっとと答を渡す
686 高知市に出張

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685 コーチング臭いコーチング
684 体調いかんにかかわらず
683 デジタル・デバイド
682 ファンレター
681 病との付き合い方

*
680 保健師向けコーチング・セミナー
679 片道6時間、日帰り出張の限界
678 オッサン笑い
677 カルマを背負ってお気の毒、と考えよう
676 「青臭さ」が必要

*
675 コントローラー
674 大言壮語
673 実情は仕切り直し、出直し
672 Wikipediaのコーチングの解説
671 一緒に考えましょう

*
670 軽く、明るく、前向きに
669 それをコーチングで引き出してもらえると思ってました
668 執事という考え方
667 おせっかい
666 そんなに忙しくないコーチ業

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665 おかしいぞコーチング学習者
664 事業を従業員に解説する
663 睡眠不足
662 何かを取ったら何を捨てなくてはならない
661 コーチング1回15分
*
660 質問の呼び水
659 人当たりの丸さ
658 「気持ちはわかる」「無理もない」
657 自分のブランドを築く
656 自己承認を磨く

*
655 過去を封印する
654 自分の人生何だったのか、という視点
653 コーチングに価値を見出さない世代
652 皿を食ったらウサギになる
651 指導口調


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