文頭で批判しても、文末で承認する
780



人間誰しも欠点はあるものです。また欠点は長所の裏返し、長所は欠点の裏返しでもあります。ある人のすべてを承認するなんてできるわけがないのです。もし、できたとしたら、お世辞・おべっかの類でかなり無理をしているということになります。だから、他人の欠点を指摘する発言は不可避です。

しかし、他人の欠点を指摘するにしても、やり方はあるのです。たとえば、

・彼は仕事熱心だ。
・彼は無愛想だ。

この2つの事実があったとき、2通りの表現がとれます。

@彼は仕事熱心だが、無愛想だ
A彼は無愛想だが、仕事熱心だ

いずれも文末の下線部が強調されます。同じことを言っているのですが、@の言い方はこの人を否定する言い方で、Aの言い方はこの人を肯定する言い方なのです。

承認が承認を呼ぶ風土を作るときは必ずAの言い方をすべきです。たとえ文頭で批判しても、文末で承認する。言霊というのはあり、それは意識すべきです。職場の構成員がこの言い方を心がけるとき、その職場には承認のインフラが出来上がっていくのです。

ビジネス・コーチングにあってはコーチング・スキルも大切ですが、日頃のこうした努力が大切なのです。

うだうだと人と関わること
779



コーチングを学ばれているとあるクライアントさんにメンターとしてついたことがあります。この人は驚くほど能力もあり、腹も据わっていて、生き方の信条もはっきりした人でした。コントローラー・タイプです。

コーチングを学ばれているので、実習相手として、私のクライアントさんで同じくコーチングを学んでいて実習相手を探している方を2名ほど紹介して差し上げたことがありました。

その後、実習どうですが?とお尋ねしたところ、

「忙しいので実習の時間が惜しい」

つまり、実習が仕事の邪魔だ、という意味のことを言われるのです。これには、そうですか、というしかありませんでした。

そうかと思うと、コーチングで起業している自分がイメージできない、とかコーチングは少々かったるい、とかいう旨の発言があり、それに対しては私は返す言葉がありませんでした。

さてそうこうするうちに、その人が、忙しいからコーチングを暫く休みたい、と言い出したのです。ひと月近く休まれて、さて再開という段になって、

「今日は、○○さんの何をうかがっていきましょうか」

と聞いたところ、

「今日は特にありません」

とのこと。当方はこの答えは十分覚悟していたので、

「では、これにてコーチング契約は終了しませんか」

と持ちかけました。仕方ありません。この人個人にコーチングは必要なく、この人もコーチングを信じていないことは動かしがたい事実で、私がどうこうできる問題ではないからです。

結局、この方はセルフ・コーチングは容易で、自己完結してしまうようです。私自身もそうした傾向はあり、わからないこともありません。では私と何が違うかというと、コーチングという会話で他人と、ああでもない、こうでもない、と関わることにクールでありすぎるのでしょう。

やっぱり、コーチングの根底はうだうだと人と関わることが好きだ、というポイントに尽きるのです。うだうだと人と関わることが好きではない、合わないという人は、素っ気ない・愛想がないという形で現れます。それはそれで個性です。しかし、いかにやり手で、コミュニケーターとしての実力があっても、そうした個性はコーチとしても、クライアントとしても、コーチングには向いていないのだ、と今回痛感した次第です。

ただこの人の資質は素晴らしいものがあり、できたらクライアントでいて欲しかった、というのが正直な気持ちです。

NLPに対する私見
778



NLP(Neuro-Lingustic Programming)という体系があります。その考え方自体は各人が日々の生活で無意識にやっていることを体系づけたものです。たとえば、「私は日替わり」「同じでいいよ」という会話は一種のミラーリングです。

NLPは昨今人気が高いようですが、私はどちらかと言えばあまり興味がないほうです。と言って、NLPの考え方自体にはもちろん善悪はありません。

NLPのテクニックは複雑なものを含めて多岐に渡りますが、詰まるところ、自他の脳の扱い方のテクニックです。英検1級とかTOEIC900点とかの人が一流のコミュニケーターか、というと全然そうではないように、NLPのプラックテイショナーのタイトルを持つ人が一流のコミュニケーターとあまり思ったことはありません。剣術を習っただけの人は手練れ(てだれ)の刺客には所詮敵わない、ということです。

さて、カウンセラーもコーチももちろんコミュニケーターの一種です。コミュニケーターとしての格の違いは、その人がどれほど宇宙霊と背後でつながっているか、やっぱりこの点に尽きると考えます。もしこのポイントを看過するのなら、脳の扱い方のテクニックに凝っても、たかが知れていると思います。その意味でNLPが必須のものとはどうも思えません。

ホンモノのコミュニケーターを測定する指標はこれという決め手がないものですが、実際にちょっとでも面談すれば、相手がどの程度の実力の持ち主か、たちどころにわかります。また自分より格上か格下かも一意的に決まります。

結局、宇宙霊といかにつながるかがすべてであり、そのつながった度合いが格というのを決定するのです。NLPの知識やテクニックはあればあったほうがよい、という程度のことと私は理解しています。もちろんないよりあったほうがいいですが、そんなに画期的なものだとは思えません。なんでこんなに流行ってるのかな、というのが正直な気持ちです。

無為にして化す上司
777



「上司たるもの嫌なこと、言いにくいことを部下に言わなくてはならない」

上司のなかにはこれを信念にしている人が多い。たとえば主任に昇格した人がいて、この人が始業時刻に遅刻したとします。

「主任になったからと言って安心してもらっては困るんだよ」

この手の人はガミガミとこんなふうに言います。

私は部下を徳でマネジメントしていくタイプの上司に仕えたことがあります。その人は、本人が十分恥じ入っている様子なら何も言いません。上司が黙っていて文句を言わないほうが、かえって「申し訳ない」という思いが強くなるものです。

部下の素地が良ければ、嫌味を言ったり、苦言を呈したりせずとも、うまくマネジメントしていけます。その場合、上司はその場にいるだけでよいわけです。部下を徳でマネジメントしていくタイプの上司は一見いてもいなくても同じように思えます。しかし振り返ると、部下は気持ちよくのびのびと働けて、いやな思い出が全くない。私はこうした上司こそ理想の上司のように思えます。

ガミガミいう上司と、無為にして化すタイプの上司とどちらが部下の能力をより多く引き出すか?これはもちろん後者です。後者は部下に変なストレスを与えず、人格で部下を感化できるからです。ビジネス・コーチングは個々の場面のコーチング・スキルも重要ですが、トータルでのマネジメント・スタイルがものをいうのです。

究極の自己承認の言葉
776



自分自身を承認(肯定)できなければ、他人の承認なんかできない。できても口先だけだ、というのは私の持論です。

じゃあ、自分自身を承認するとはどういうことなの?というのを考えてみました。誰しも失敗はあるし、そのことに対して後ろめたい思いのあることもあるでしょう。またついさっきまで、根本的な考え方に誤りがあった、心得違いをしていた、ということで、忸怩たる思いが強く、とても自己承認なんてできたもんじゃない、という人がいるかもしれない。こんな場合どう考えればいいのか。

実はこれ、松岡農水大臣が自殺した事件をいろいろ考えているうちに出てきた疑問です。真相はもちろんわかりようがないが、松岡氏にはなにか本人がやましいとか後ろめたいと感じることがあったのかもしれません。それで、そのことについては自分を承認できなかったのかもしれません。

もし、自分がそうだったらどうするか。まず過去は変えられないから捨象する(考えに入れない)ことでしょうね。そして今この一瞬宇宙生命とつながっているかどうかを考える。もしつながっているなら、必ず「何事も恐れない」という強い心(積極心)があるはずだから、その強い心(積極心)を今この一瞬持っていることに対して自己承認するべきだ、と考えます。

中村天風先生の誦句です:

「人の心霊が宇宙の神霊と一致するとき、人の生命の力は驚嘆に値する強さをもつにいたる。しかもこの尊厳なる宇宙の神霊と一致するには、第一に必要なことは心の安定を失ってはならないことである。そして心の安定を失うことの中で、一番戒むべきのものは恐怖観念である。この恐怖なるものこそは、価値なき消極的の考え方で描いているシミだらけな醜い一つ絵のようなものだ。否、寸法ちがいで書いた設計である。かるがゆえに、今日から私は断然私の背後に、私を守りたもう宇宙霊の力のあることを信じて、何事も恐れまい。……」

私の背後に、私を守りたもう宇宙霊の力のあることを信じて、何事も恐れまい。

この考え方こそ、いついかなる時にでも、いかに自分の過去が誤ったものであろうとも、あらゆる暗黒を照破できるのではないでしょうか。究極の自己承認の言葉だと思います。
800 米国人と加点主義
799 加点主義こそ家族円満の秘訣
798 何で検索しても
797 雑談して終わり
796 コーチングを信じる

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795 やるべきでないことはやらない
794 ポジティブ・シンキング
793 上司に対するリーダーシップ
792 上京しました
791 おっしゃってることに共感できないですね

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790 聞き方
789 空気の読めない人
788 減点主義と加点主義
787 下手な考え休むに似たり
786 志なくしてコーチングなし

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785 口先だけの承認では絶対部下を欺けない
784 ゼロ・ベース評価は上司・目上にも有効
783 身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ
782 コミュニケーションは言葉だけにあらず
781 承認はゼロベース評価

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780 文頭で批判しても、文末で承認する
779 うだうだと人と関わること
778 NLPに対する私見
777 無為にして化す上司
776 究極の自己承認の言葉
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775 視界狭窄
774 結局コミュニケーションの問題
773 強い心
772 目指すのは9勝1敗
771 格好をつけない

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770 えらいことになってしまった
769 ガチャガチャ感
768 手柄を相手に譲る
767 内なる自分の承認がもらえるならそれでいいじゃないか
766 感謝は承認である

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765 漫才の傾聴
764 連続のドタキャン
763 女性は30〜40代が旬
762 ブログはコーチの条件
761 承認によって元気をもらう場

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760 行動力、ある人ない人
759 日経経営セミナーは無事終了
758 屋号
757 歩なし将棋は負け将棋
756 我流もまたよし

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755 面の考え方
754 セミナー・インデックス
753 SEO起業塾
752 所変われば品変わる
751 鬱を通告するセッション


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