米国人と加点主義
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ある対象を評価する方法に、減点主義と加点主義とがあります。減点主義は理想を基点にマイナス要素を減算していく方法です。これに対し、加点主義はゼロ点を基点にプラス要素を加算していく方法です。

どちらが正しいということは一概には言えません。ケース・バイ・ケースです。特に「妥協のない仕事」という場合、減点主義こそ相応しいでしょう。それでないと完璧を目指せないからです。

しかし、対象が人間である場合、減点主義は人間関係を幸せにしません。加点主義こそ人間関係を幸せにするのです。これは私自身がいろいろな人と交わりつつ、数多くの失敗を経験をしてきた結果、どうやら間違いなさそうだ、という確信を持つにいたったことです。

私は学生時代に英語が好きで、ESSに所属していました。恩師だった外人教授宅に頻繁に出入りしていました。また一年ですが、米国に交換留学したことがあり、その際短期間ですが、米人家庭にホームステイさせてもらったことがあります。また留学先では授業にでて、米国人の学生と接し、週末には呼ばれて教会に行ったりしました。

そうした経験から私が感じたのは、米国人全般に、他人は自分とは民族的な背景からして異なるもの、という健全な割り切りがある、ということでした。米国は他民族国家です。ですから見知らぬ他人同士が気軽に挨拶します。また他人の良いところを気軽に口にする傾向があります。

これに対して単一民族国家の私たち日本人は他人は自分と同じ日本人だという思い込みがあり、そうした前提で日本特有の閉鎖的なムラ社会を形成しています。身内とよそものを峻別します。日本人はある意味人間理解に関して完璧主義なところがあるのです。そうした完璧主義がある種の減点主義を生んでいるように思います。

その結果、米国人は人間関係にどちらかと加点主義で臨み、日本人はどちらかというと減点主義で臨む傾向がある、ということを感じます。ただし、これはあくまで他人に対してのことです。

米国人であっても、家族や親族そして友人・同僚に対しては減点主義で臨むことも多いに違いありません。米国人だから、加点主義というわけでは全くないだろうと考えられます。せいぜい、米国人のほうが加点主義にやや理解がある、という程度のことだと思います。

とは言え、コーチングが米国で生まれたのは、もとより加点主義の土壌のあるこの国らしいと私は思います。

加点主義こそ家族円満の秘訣
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コミュニケーションはある意味すべて、異文化(cross-cultural)コーミュニケーションと考えるべきです。というのは、人それぞれ生い立ちも違い、考え方が異なるので、一人一人が異なった文化を内面に持っている、と考えることができるからです。ですから、いついかなる場合も加点主義で臨むのが正解であるわけです。コーチングも例外ではありません。

ところが家族・親族という身内が対象になると、同文化という思い込みに立って、減点主義に走りがちです。その結果、他人との人間関係がむしろ良好で、家族や親族との人間関係が良くない、という逆転現象をしばしば見聞することがあります。いわゆる近親憎悪です。

家族や親族といった身内こそ、いざという時の味方です。同文化という甘えは捨て、異文化という割り切りに達した時、加点主義が取れるわけです。加点主義が取れるようになれば、家族と言えども礼儀正しくなります。今では加点主義こそ家族円満の秘訣とある、と信じるようになりました。

私は米国での生活体験もあって、人間関係での加点主義の良さはうすうす気がついてはいたのです。しかし、自分が身内との人間関係で加点主義を実践するようにはなかなかなりませんでした。

後年、自分が身内との人間関係で軋轢に悩まされ、強いストレスを抱えるにいたったときに、実は解決の処方箋は加点主義にあったと気が付いたのです。気がついてしまえば全く簡単なことでした。しかし、私は気がつくのに本当に長い年月が必要だったのです。

何で検索しても
798



何名かのクライアントさんからこう言われました:

「コーチング関連では、何で検索しても、結局杉本さんのサイトに行き当たる」

ネット・コーチングを標榜するわが身としては、まことに光栄なことです。そうなることを目指して毎日コーチング関連のブログ記事を書き続けてきたからです。

ショート・ショートのエッセイの積み重ねで、気が付いたら結構厖大な文章が手元に残る結果となりました。しかし、これだけ文章が書けるのはひとえに日々コーチング・セッションを実践して、そのなかから文章になりそうなネタの供給を受けているからです。セッションしなかったらほとんど書けないでしょう。

ブログには日記ではなく、論説を書く。これが手元に文章を残す秘訣です。

雑談して終わり
797



あるクライアントさんですが、私とのコーチング・セッションがきっかけで、出版を決意されました。私も出版経験者ですので、ある意味火をつけて煽らせていただいたのです。

先日、久々のセッションでお会いし、話をうかがったところ、提出された企画で、ほぼ出版が決まりそう、と言っておられました。私よりも一歩先んじておられるわけです。

もうこうなったら従来型のコーチングはあまり意味を成さないと思います。十分にエールをお送りした上で、雑談して終わりましたが、そういう時もあっていいのではと思います。

「あとは寝る時間を削って原稿書くだけだ」

と言ってる人に対して、ちんけなコーチングもないだろうと思うのです。

コーチングを信じる
796



十分に社会経験を積んだ、とあるクライアントさんがプロのコーチを目指しておられます。

「コーチングのプロになるには自分に今何が欠けているのか」

と訊かれたことがありました。もちろん、この方はプロになるポテンシャルは十分お持ちであるわけです。しかし、現状では何かが足りない。それは何かというと、

コーチングを信じていない

ということです。

別にどこかの「教育商品としてのコーチング」を信じなさい、というわけではありません。「教育商品としてのコーチング」は私も首を傾げざるを得ない点が多々見受けれれます。そうではなくて、自分が提供する「コーチングというラベルを貼ったサービス」が信じられるかどうか、ということです。

言い換えると、クライアントとコーチが定期的に対話を重ねていく、という行為にコーチ本人が心から意義を見出せるかどうか、ということなのです。

コーチングというサービスを提供するに当たっては、コーチの人柄・能力といった点は大切です。しかし、クライアントさんがお金を出してそのサービスを買おうと思うか思わないかは、コーチ本人が自分のサービスを信じていることが必要なのです。それが気迫や説得力となって現れるというわけです。

だから、プロとしてやっていこうというのであれば、コーチングというサービスに対して一家言あって、「一席ぶてる」裏付けが必要です。ここが曖昧で口先だけだと、とても買っていただけないと思います。

そのためには多くの実習をこなして、自分の提供するサービスに対して確信を持つこと、そして、自分の提供するサービスをウェブサイトとして自分の言葉でまとめてみる、といった作業が不可欠だと考えます。コーチングを信じられるようになるためには、他人の言葉の借り物ではダメなわけです。
800 米国人と加点主義
799 加点主義こそ家族円満の秘訣
798 何で検索しても
797 雑談して終わり
796 コーチングを信じる
*
795 やるべきでないことはやらない
794 ポジティブ・シンキング
793 上司に対するリーダーシップ
792 上京しました
791 おっしゃってることに共感できないですね

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790 聞き方
789 空気の読めない人
788 減点主義と加点主義
787 下手な考え休むに似たり
786 志なくしてコーチングなし

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785 口先だけの承認では絶対部下を欺けない
784 ゼロ・ベース評価は上司・目上にも有効
783 身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ
782 コミュニケーションは言葉だけにあらず
781 承認はゼロベース評価

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780 文頭で批判しても、文末で承認する
779 うだうだと人と関わること
778 NLPに対する私見
777 無為にして化す上司
776 究極の自己承認の言葉

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775 視界狭窄
774 結局コミュニケーションの問題
773 強い心
772 目指すのは9勝1敗
771 格好をつけない

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770 えらいことになってしまった
769 ガチャガチャ感
768 手柄を相手に譲る
767 内なる自分の承認がもらえるならそれでいいじゃないか
766 感謝は承認である

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765 漫才の傾聴
764 連続のドタキャン
763 女性は30〜40代が旬
762 ブログはコーチの条件
761 承認によって元気をもらう場

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760 行動力、ある人ない人
759 日経経営セミナーは無事終了
758 屋号
757 歩なし将棋は負け将棋
756 我流もまたよし

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755 面の考え方
754 セミナー・インデックス
753 SEO起業塾
752 所変われば品変わる
751 鬱を通告するセッション


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