![]() 「体験コーチング」ということで申し込んで来られても、実際は悩み相談に近くて、辟易することはやはりあります。 この間メールを頂戴したのが、主婦の方でしたが、 「主人が自分の猛反対にもかかわらず、飲食業を始めてしまった。案の定うまくいかず、いやいや協力してきた自分も疲れきっている。私はどうすればいいでしょうか」 というのですが、他人がとやかく言うことではないでしょう。そこで、 「どうするかはあなたが決めてください。コーチングはどうしたいかが決まったらやってもいいです」 と返しておきました。しばらくすると返事があって、 「飲食業がうまくいく方向でコーチングしてください」 というのですが、典型的な「ねばならない」症候群です。これではコーチングは無理でしょう。猛反対していた、もともと飲食業に感情移入できない人が無理にやって、うまくいくはずがない。 いろいろ聞いてさしあげたのですが、結局、 「心配してもなるようにしかならんのですから、ご主人さんにはできるだけ協力した上で、心穏やかに成り行きに任せるしかないですね」 と申し上げておきました。この方がコーチングのクライアントには、まぁならんでしょうね。 どこぞのコーチング講座・コーチング実習とえらく違うでしょう? ど真中に直球が来ることはまずなく、変化球、バウンド、ゴロ、そして暴投までいろいろ・・・これが世間一般の方を相手にするということなのです。
![]() 私は「コーチング」で検索エンジン1位のサイトを運営しておりますが、ここで無料の「体験コーチング」というサービスを行っています。私もクライアントは取ってリーゾナブルな料金は頂戴しないと、コーチング活動を続けていけません。ですから「体験コーチング」はもともとあくまでも営業活動であったわけですが・・・ 本当にいろいろな方を「体験コーチング」してきました。カウントしたことはありませんが、300名くらい行くのではないかと思います。もちろん大半が成約しないのですが、以前はそのことに対してやはり失望感はありました。 今朝は体験コーチングの依頼者が電話をかけてきませんでした。すっぽかしです。こういうこともたびたびあります。従来だとやはりフラストレーションが募ったものです。 が、現在は考え方が少しずつ変わりつつあります。失望感やフラストレーションはないわけではありませんが、たとえ成約せずとも、体験コーチングに申し込んで来る方の人格に真剣に向き合う機会が私には与えられているのです。こういった機会は誰にでも与えられるものではありません。 思い上っているのかもしれませんが、取り組み方次第では「菩薩行」の真似事程度のことはできるものと思います。 私は宗教家ではなく、実務家ですが、宗教の素養はあります。とくに何教というのではありません。昔、プロテスタントの信者だったこともあります。「生長の家」とか「世界平和を祈る会」とかは並みの信者以上に通暁していると思います。仏教・神道にも通じているほうです。 今日思ったことは、体験コーチングというのは、相手と自分が向き合っているのですが、同時に相手の守護霊と自分の守護霊が向き合っている極めて神聖な場である、ということです。 今朝はすっぽかしが出ましたが、昨晩体験コーチングした方から感謝のメールを頂戴しました。きっと相手の守護霊さんも感謝してくださったのでしょう。
![]() 日本人は世界でも特に「一生懸命に美しく」が美徳の国です。そういった気質は精緻な工業製品に顕著に反映されており、台湾ではこれを「日本精神」と呼んでいます。ただ、この「日本精神」には得てして大きな陥穽があります。それは「理由なしの一生懸命」に走ってしまうことです。これは自分をすり減らすだけです。 以下私が好きな本の一節です: ----------------------------------------------------------------- 多くの人たちは、常にふらふらになってむやみに働かなければ生存する資格がないかのごとく思って、過剰労働して常に疲労していなければ罪を犯しているかのように感ずる社会通念に束縛されているのである。肉体を酷使しさえすれば必ず成功すると考えるのは大きな間違いである。私は活動的であってはならぬと言っているのではなくて、われわれは生計を稼ぐのに額に汗しなければならぬという考え方を棄てねばならぬと言いたいのである。一日長時間働いてやっとどうにか生活できるという人たちが何千といるのである。 一方またこういう人たちもいる。すなわち異なる次元で働く人たちであり、これらの人たちは心の持ち方が違うのであり、彼らは自分の費やした時間と労力に対して莫大なる報酬を実現しているのである。 創造的事業とただ平凡な重労働との間には大きな相違があるのである。あなたは自分自身の受け入れ条件を再調整することを学び、この世の事物をいっそう自由に支配できる内在の力を自覚し始めねばならぬのである。あなたは自分の心の視野を拡大して、受け入れる能力を増すことを学ぶがよいのである。 『心の力の秘密』 ユージン・ロイ・デービス 1964年 伊藤正・谷口雅春共訳 ----------------------------------------------------------------- 単に目先の仕事に忙殺されていて、「自分は人生で何をやりたいのか」に明確な自覚がなければ、コマネズミと大差ないということになってしまいます。 ポイントは「一生懸命やる」ことではなく「何をやるか」です。 「何をやるか」という判断基準はもちろんライフ・ミッションから生まれます。創造的事業はライフ・ミッション(使命)をはっきり自覚している、ほんの少数の人だけが成しえる、と私は考えます。結局ライフ・ミッションが明確なほど、この世界から多くのものを受け取れるということだと思っていますが、いかがでしょうか。 こう考えていくと、パーソナル・コーチングで、ライフ・ミッションのハナシをおざなりにして、目的達成の進捗管理をしているとしたら、全く論外ということになります。これだとコーチングを受ける意味がありません。 進捗管理は軽くして、クライアントさんにライフ・ミッションを繰り返し語ってもらうことが何よりも大切、ということになります。ライフ・ミッションを毎回確認したほうが、却って進捗するのではないでしょうか。
![]() コーチングで扱うテーマはいろいろですが、私は、 @実務レベル Aキャリア・レベル Bライフ・レベル の3段階に分けて考えています。 さて世の中には@ABですべて整合性がとれている凄い人がいるのです。たとえば指揮者の小澤征爾氏が、演奏会のリハーサルをしている、といった例がこれに相当するでしょう。この場合は人間相当神々しくなります。 そうかと思うと@ABすべてが整合性がとれていないケースもあります。つまり生き方も、職業も、そして今直面している事物も、すべて不本意である、という最悪のパターンですね。この場合は本人が全く楽しくありませんし、その人の持ち味がほとんど出ていない状態で、オーラも相当下がっているに違いありません。 さて、クライアントさんの依頼通り実務レベルでコーチングをしても、はかばかしい成果が出そうに感じられないということがよくあります。それはより上位のキャリア・レベル、ライフ・レベルに問題があるからです。 たとえば税理士試験の勉強が全く進まない、という人がいたとします。この場合、この人は本当に税理士になりたいのか(キャリア・レベル)、さもなければ税理士になって何がしたいのか(ライフ・レベル)、といったより根源的な問題に立ち返る必要があります。 ライフ・レベル、すなわちライフ・ミッション(使命)をはっきり自覚している人はほんの少数派です。大抵の人はライフ・レベルはさておき、とりあえず実務レベル、キャリア・レベルの間を行き来しています。 こういった方々をコーチングすると、しばしばライフ・レベルに立ち返る結果、いわゆる「自分さがし」が始まるわけですね。 ライフ・レベルの問題を解決してしまえば、本人の「安心立命」が成就する結果、下位のレベルの問題の解決は困難ではあっても、基本的に時間の問題です。 このように考えていくと、ライフ・ミッションを明らかにする、すなわち「自分さがし」をするのが、コーチングの最重要課題と言えるのではないでしょうか。 ただ実務レベルで現在せっぱ詰まっている人にライフ・レベルと言っても無理があります。たとえばプロジェクトの期日が月末に迫っている、といったケースです。この場合は、実務レベルをある程度落ち着けてから、より上位のレベルを扱う必要があります。
![]() コーチングで扱うテーマはいろいろですが、私は、 @実務レベル Aキャリア・レベル Bライフ・レベル の3段階に分けて考えています。 @の実務レベルは、たとえば「このプロジェクトをどう乗り切ろうか」といったテーマです。通常、外的に緊急度の高い仕事として与えられます。困難であっても、取り得る選択肢は限られており、判断は容易です。 Aのキャリア・レベルは、転職や独立、配置転換や昇進といったテーマで、働いて報酬を得ることを前提にしていますが、多くの場合、今の職場にとどまることを前提としていないので、@の実務レベルを超越しています。これは相手があって自分の思うようにならないことの方が多いので、判断は難しくなります。 Bのライフ・レベルは、ライフワークがテーマで、必ずしも働いて報酬を得ることを前提にしておらず、Aのキャリア・レベルを超越しています。このテーマはすべて自分の思う通りにできますが、選択肢は無限にあり、判断する以前に、どうしていいかわからないということが多いです。自分自身のミッション(使命)を理解しなければなりません。 @はビジネス・コーチング、ABはパーソナル・コーチングになります。人によってはAのキャリア・レベルがないこともあります。独立してやっている人でキャリア=ライフワークである人はみなそうです。 さて、クライアントさんによっては40代も半ばなのに、@の実務レベルとAのキャリア・レベルのみがテーマの人がいます。これは大企業の人や公務員に多いのが特徴です。 私はBのライフ・レベルの発想を欠いている場合、いつも「危うさ」を強く感じるのです。とくにサラリーマンの場合、キャリアというのは定年が来れば、必ず終了します。飛行機は必ず降りなければなりません。飛行機を降りた後どうするかを考えておかなければ、降りた地点から体ひとつで歩くしか選択肢がないことになります。 なんのためのパーソナル・コーチングか?これは「よりよく生きるため」です。クライアントさんが望まなければBは触れずにおくしかありませんが、Bはコーチングにこそ相応しいテーマだと思うわけです。 定年を見据えたら、必ずライフ・レベルのコーチングになります。ライフ・レベルのテーマに至っていないクライアントさんに対しては、ゆくゆく目覚めていただけることを陰ながら念じている次第です。 |
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150 ケチでなければ 149 神経質過ぎるほどのフィードバック 148 イメージング 147 親は変えられない 146 悪者家族 * 145 話の長い人 144 趣味と親友 143 波間に漂う質問 142 自己の欲求に忠実に生きるとは 141 あくまでも平静に * 140 ET 139 悪いこともいいことも続く 138 人生の勝利者 137 宗教心 136 クライアントの質 * 135 世の中で一番楽しく立派なことは 134 コーチングは低成長時代の産物 133 盛り立て・盛り上げ 132 断定口調 131 承認 * 130 どうということはなし 129 夫婦の間 128 取次ぎ人 127 老人力 126 宗教的素養 * 125 NLP音痴 124 アサーティブネス(続き) 123 アサーティブネス 122 仕事をしない 121 実習 * 120 なめられないために 119 度量 118 天気・気温を語ろう 117 依存症 116 フィードバック * 115 差し迫ったニーズ 114 プロマネ 113 咀嚼力 112 ゴールを疑ってみる 111 コーチはトレーナーに非ず * 110 コーチングの行き着く先 109 恵まれた交友関係 108 仮説力 107 引きつけて撃つ 106 体験コーチングの実際 * 105 体験コーチングというけれど 104 体験コーチング 103 一生懸命を疑おう 102 レベル間の往来 101 ライフ・レベル *** コーチングを受けてみませんか *** コーチングとは(私見) *** 社会人のためのカウンセリング *** カウンセリングとコーチング *** ビジネス・コーチング入門 *** ライフワーク・コーチングの奨め *** オーケストラ再生のオーディオ *** オーケストラ録音を聴く |
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