ケチでなければ
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インターネットで起業系のサイトを見ると、数々の成功体験が報告されています。そしてそのノウハウと称して小冊子を販売しています。

また書店の平積みでは驚くほどの「起業マニュアル」が並んでおり、成功体験がちりばめられています。

もちろん初期には買って勉強するのはいいと思いますし、おおいに参考にすればよいでしょう。でも必ず卒業しなくてはなりません。ああいったものをいくら読んでも起業できるわけではないです。ますます混乱していくだけでしょう。

あえて言います。そんな本を買ってるうちは起業できないです。買うのをやめて初めて起業できます。起業のセンスは、他人の成功体験に金を払うという行為を離れたところにあるからです。

そのためには他人の成功体験を額面どおり受け止めず、割り引いて受け止める、という姿勢が大切です。起業した人というのはある意味みんな山師で、成功体験は商売ネタだからです。どうせ大したことないんだろう、と思えない人は起業とは無縁でしょう。

とにかく人から教えられることを卒業することが起業の条件です。メルマガを取って発想のヒントをもらうのはいいですが、その説くところにいつまでも金を払っていてはいけません。

オーディオ評論家の故長岡鉄男氏は「ケチでなければいい音は聴けない」と言っていましたが、それをモジって「ケチでなければ起業なんてできるもんか」は私の実感です。

私もインターネットでコーチングを始めるに当たっては、いくつか授業料を払いました。最近はメルマガでその手の記事を見ても、あ〜、やってるな、という感じです。

神経質過ぎるほどのフィードバック
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コーチについてもらっているというコーチングの学習者が、コーチ21のとあるセミナー(当時はCSTと言っていました)で、下記のような発言をしたことがあります。

「私のコーチはセッション後に、『○○さん、こんな進め方でよかったですか、何かお気づきの点はありませんか』と毎回フィードバックを求めて来られまして、良心的な方と感心しています」

エ〜、そんなのが良心的なんですか?

自分のクライアントの空気が読めない、無能なコーチだと私は思うのですけれど。

そんなのは言葉の端々から当然感じ取って、セッション中に軌道修正できなくてはいけませんよ。

コーチングの学習者相手だから、そんなのもアリなんでしょうけれど、私は感心しません。世間一般ではまるで通用しないでしょう。

とにかくCSTではフィードバックの大切さを叩き込まれました。そのこと自体は悪くないと思います。

しかし、神経質過ぎるほどのフィードバック、これも中国語で言うところの「学壊」(学んでかえって悪くなること)だと私は思っています。

イメージング
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コーチを目指しているAさんですが、相互コーチング.jpなるサイトで、実習相手をマッチングしてもらい実習しておられます。

コーチ21のCTPを始めたばかりのAさんですが、実習相手はそれぞれカラーがあり、この人はコーチ21、この人はCTIジャパン、と大体見当がつくそうです。

コーチ21系の特徴は「イメージング」の質問なんだそうです。

「3年後のあなたを想像してみてください。どんなイメージが見えてきますか」

と来るそうです。Aさんは違和感を感じると言ってましたが、私も全く同感です。

この「イメージング」の質問は使うTPOが相当限定されると思います。3年目の私ですら、

「1回使ったかどうか」

という代物なのです。はっきり言いましょう。この質問は、「クサくて、下手くそ」だと私は思います。コーチングの実習だから、こんな質問でも通用しているのです。少なくとも私はこの手の質問をしてくる人にコーチングしてもらいたいとはまるで思いません。

中国語ではこんなのを「学壊」(シュエファイ)と言います。

「壊」は悪いの意で、学んだ結果かえっておかしくなる、という意味です。

Aさん、悪いことをマネすることはありません。

自分のコーチングを確立することを第一に、その調子で頑張ってください。

親は変えられない
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ある自営業の二代目さんです。

父親(一代目)といさかいというか、相克が絶えないとのことで、自己嫌悪に陥るし、当然仕事のモチベーションもなくなるしで、相談の電話をかけて来られました。

親子の相克は実は私も長年の経験があるのです。結局、どちらか片方、もしくは両方が、相手のありようを変えようとするから、起こるのです。

では、どうすればいいのか。

もしムスコさんがオヤジさんを変えようと迫っているのなら、これは絶対無理と言うべきでしょう。50年60年以上生きてきた人が、「あなたの性格、ここを直したほうがいいよ」と忠告されたところで、おいそれと直せるわけがないのです。年を取れば取るほど、頭も性格も固くなるのだから、オヤジさんが変わることなどありえません。こんな法外な要求は直ちにやめるべし、です。

もしオヤジさんがムスコさんを変えようと迫ってくるなら、口答えはしないことです。オヤジさんは前述したように変えようがないのです。ハイハイと言って置きましょう。ムスコさんは納得できるなら自分のありようを少々改めるのは可能だと思います。

しかしムスコさんが自分のありようを根本的に変えるなんぞ、これまた不可能です。そんなことをもしオヤジさんが求めてくるのであれば、それは無茶というものです。ハイハイといなしておいて、一人になったら、自分のあり方はこっそり自分で肯定するとしましょう。

つまりこの方は、親を変えようなどとは夢思わず、口答えをしないことを徹底されたらよいわけです。これで大きな衝突は避けられるでしょう。

この方は、以前の私がそうだったように、「親は変えられない」というポイントの自覚が少しばかり足らないのだと思います。この点は気がついてしまうと、簡単なことです。親は変えられないのなら、どうするか、これはあきらめて割り切るしかないと思います。

変えられないのなら思い切って、親のあり方を肯定し、自分のあり方も肯定する。そのうえで、意見の違いは調整する、と言う「割り切り」が円満な関係の秘訣なのです。

この割り切りができると、親への言葉使いが「丁寧」になるはずです。親への言葉使いが「丁寧」かどうかが、この割り切りのバロメーターと言えるでしょう。

悪者家族
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昔、「悪者家族」というハナシがありました。

すなわち家族の間で「悪いのはオマエだ」ということを言っているうちは、家庭不和は絶えなかったが、「自分が悪かった」と家族ひとりひとりが言うようになったら、家庭不和が解消した、というものです。

コーチング的に言うと、この寓話はかなり時代を感じます。

「自分が悪うございました」と自己批判せい、と言われても実際悪くないのであれば、それは欺瞞ですわね。上下関係がきつかった昔ならこれで良かったのかもしれませんが・・・

ことの本質は「悪いのはオマエだ」ということによって、相手のあり方・姿勢・気持ちを肯定できていなかった、ということです。単に意見の違いを調整すべきところが、相手のあり方・姿勢・気持ちを否定してしまっていたことが、最大の問題点なのです。

これはどのように改善できるでしょうか。たとえば、

「せっかくやってもらったんだけど、これじゃダメだな」

「気持ちはわかるんだけど、そのやり方は良くないな」

だと、だいぶ良くなるでしょう?

つまり、相手を承認した後で、意見の調整に進むわけです。

意見の調整なら比較的簡単ですが、「相手のあり方・姿勢・気持ち」というのはまず絶対変えられないものなのですね。変えようとすると100パーセント人間関係は悪化する。この意味で「他人は変えられない」、これはコーチングをやってる人の間では自明です。

これでいくと「自分が悪うございました」と自己批判する、というのはちょっと、というか大いにピントがずれているといわざるを得ないでしょう。

確かに自己批判している限り、「相手のあり方・姿勢・気持ち」を否定するということはないです。しかし、ポイントは欺瞞の自己批判をすることではなく、いかに「相手のあり方・姿勢・気持ち」を肯定(承認)するか、ということなのです。

結論からいうと現代版「悪者家族」は相手を承認して意見を調整する、「承認家族」だということになりそうです。
150 ケチでなければ
149 神経質過ぎるほどのフィードバック
148 イメージング
147 親は変えられない
146 悪者家族
*
145 話の長い人
144 趣味と親友
143 波間に漂う質問
142 自己の欲求に忠実に生きるとは
141 あくまでも平静に

*
140 ET
139 悪いこともいいことも続く
138 人生の勝利者
137 宗教心
136 クライアントの質

*
135 世の中で一番楽しく立派なことは
134 コーチングは低成長時代の産物
133 盛り立て・盛り上げ
132 断定口調
131 承認

*
130 どうということはなし
129 夫婦の間
128 取次ぎ人
127 老人力
126 宗教的素養

*
125 NLP音痴
124 アサーティブネス(続き)
123 アサーティブネス
122 仕事をしない
121 実習

*
120 なめられないために
119 度量
118 天気・気温を語ろう
117 依存症
116 フィードバック

*
115 差し迫ったニーズ
114 プロマネ
113 咀嚼力
112 ゴールを疑ってみる
111 コーチはトレーナーに非ず

*
110 コーチングの行き着く先
109 恵まれた交友関係
108 仮説力
107 引きつけて撃つ
106 体験コーチングの実際

*
105 体験コーチングというけれど
104 体験コーチング
103 一生懸命を疑おう
102 レベル間の往来
101 ライフ・レベル


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