コーチングに傾聴の技術というのがあります。 アイコンタクト、うなずく、相槌を打つ、オウム返しをする、とかがあります。いずれも必ずしも相手の考えに同意するわけではないけれど、相手のあり方、姿勢、気持ちは肯定してあげましょう、ということです。これを「承認」と言っています。 通常は聴く技術として「承認」があれば十分ですが、これだけでは足らないケースもあります。 私がコーチング初心者のころ、ある女性は45分延々自身の境遇について語り続けました。私は45分目にようやく介入したわけですが、要はこの人、会話は双方向という「空気がよめない」わけですね。未熟だった私は、これに最後までお付き合いしたわけです。 ものすごく口数の多い人、というのはいます。俗にいう「しゃべくりオバサン」です。悪いですが、こういう人は線が一本切れています。基本的にコーチングに向かない、と私は思います。が、ここまで行かなくても話の長い人、というのはいます。 いろいろ経験してきて、コーチングが対話という双方向の形式を取る以上、片方が連続してしゃべるのは長くても5分までが限度だと私は思っています。 話の長い人に対しては、内容が一区切りついた時点で、聴き手は話を要約して立て直すべきです。要約して立て直すことで、話し手のほうにもずいぶん論理的な展開が期待できます。 話の長い人をうまくさばく、というのも必ずプロのコーチとして身につけるべきスキルでしょう。 「承認」だけしていればよい、というわけではないのですよ。
クライアントさんとはコーチングを始めるに当たって聴き取りをしてバランス・ホイールをつくるのですが、その質問項目のひとつに「対人関係」というのがあります。 適当な友人関係を持ちたくない、という人はおおよそいないのですけれど、「群れられない人」というのはいます。実は私もそうです。 不思議なもので、類は類を呼ぶ、つまり私のクライアントさんの多くはこの「群れられない人」です。そのことを問題視しているわけではないのですが、「自分はこんな性格だから」という諦めみたいのを持ってる人は多いです。 つまり友達を持ちたいのだが、友達ができにくい、というわけですね。 じゃあ、どうすればよいのでしょうか。 私のオススメは、趣味を足がかりに付き合いを広げることです。趣味が同じであれば、「〜しようよ」という連絡は頻繁に取り合うであろうからです。性格が合えば割と簡単に親友になりうるでしょう。 私の場合、日頃連絡を取り合っている親友は趣味が同じ人です。 趣味が同じでなければ知人のレベルにとどまります。 このように考えてゆくと、「趣味を持つ」ということはとりもなおさず、「親友を持つ」ということに繋がります。趣味がない人はプライベートで親友を持てないのでしょう。 趣味のない人は仕事の「戦友」しか持てない、ということになります。 逆に言えば、「親友を持つ」ということは「趣味を持つ」ということ。この事実、あたりまえのようでいて、気が付けば結構意外でもあります。みなさんはいかがお感じになられますか?
コーチを目指しているAさんですが、相互コーチング.jpなるサイトで、実習相手をマッチングしてもらい実習したそうです。 で、実習後のフィードバック・タイムで、提案は良くない旨指摘されたとのこと。 聴いていた私は「ハハーン」です。 多くの初心者は、 ・オープン・クエスチョンは潜在意識まで到達するいい質問である ・クライアントから引き出すのだから、誘導してはいけない この2つの刷り込みがあります。その結果行き先のわからない、波間に漂うような質問を延々かけてくる傾向があります。その結果はコーチングどころか、普通の会話以下の「尋問」みたいなセッションになります。 Aさんは、提案したことの自己批判を始めたので、「おいおい」です。 提案はどんどんしてください。 ただし、「・・・と私は思うのですが、あなたはどう思いますか」で終わること。 この答えは3通りあります。 ・「賛成」・・・これでこちらの提案が相手の意見に変身します。 ・「反対」・・・「では、どう考えますか」と訊く。 ・「部分的に賛成」・・・「どの部分が反対なのですか」と訊く。 いずれも、提案することで、コーチングは明確な方向を持った正常な会話になります。 波間に漂う質問はコーチングとはいいません。 Aさん、その調子で頑張ってください。
昨日はこういった相談を受けました: 自身は「人を使わず使われず」の自営業がしっくりくるのだが、周囲の期待は正反対だというのです。あげくの果てに、「○○さん、そりゃないよ、それは逃げだよ」と言われるのだそうです。 一般的に「社会的通念に忠実な生き方」と「自己の欲求に忠実な生き方」があります。 両者が同じなら何も言うことはないのですが、違ったらどうすべきなのでしょう。 例外なく「自己の欲求に忠実な生き方」をしないと、悔いを残すし、第一楽しくないでしょう。 この話題で私が使う喩え話は、ホモ・セクシュアル、つまりオカマさんです。 オカマさんにとって、「社会的通念に忠実な生き方」とは男として生きることです。両親・兄弟はこの生き方を切望することでしょう。 しかし、ご本人は自分を女だと思っているから、ああいう生き方になるわけで・・・ つまり、「自己の欲求に忠実な生き方」をするためには、女として生きるしかないわけです。いろいろ葛藤はあったと思いますが、その道を敢えて選んでいるのは立派です。 だから・・・ ここから先はご本人の選択ですが、あとは「自営業」が本当に自分の欲求かどうか、の問題です。もしそうならこの方向しか選択肢はないでしょう。 この方はかなり煮詰まってましたので、このテーマでのコーチングは必要なし、とお見受けしました。
私はその昔、システム・エンジニアやってた時代に、クレーム処理に明け暮れていた一時期があります。 よくクレームで声を荒げる人がいます。気持ちはわからんではありませんが、あまり頭がいいとは言い難いと思います。私個人の経験としては、この手のお客にはモチベーションが下がって必要最低限の対応しかしていません。 これとは逆に、トラブルが続いても、紳士的だった某社の次長さんは今でも記憶に残ります。私が失敗して、大騒ぎを起したことがあります。そのころ出張で1ヶ月ほど現場に詰めていたのですが、その次長さんはこうおっしゃったのです。 「杉本さん、海を見に行きませんか」 その次長さんは、一若手担当者だった私を連れて、日本海を見に車を駆ったわけです。その間恨みがましいことは一切言われませんでした。その方は海岸で煙草を一服したあと、 「どうです、少しは落ち着きましたか」 と私に声をかけ、また現場につれて帰ってくれました。今でも忘れられない思い出です。 思うにこの人、ビジネス・コーチングさせたら達人のはずです。 事態がこじれてくるほど、声が落ち着いてくる、これがホンモノです。私はこの方に報いるためにも、最善の対応をしなくては、と強く思った次第です。 以来私も、何があっても声を荒げないようになりました。 すぐ声を荒げる人は修行が足らんのだと思ってます。 |
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150 ケチでなければ 149 神経質過ぎるほどのフィードバック 148 イメージング 147 親は変えられない 146 悪者家族 * 145 話の長い人 144 趣味と親友 143 波間に漂う質問 142 自己の欲求に忠実に生きるとは 141 あくまでも平静に * 140 ET 139 悪いこともいいことも続く 138 人生の勝利者 137 宗教心 136 クライアントの質 * 135 世の中で一番楽しく立派なことは 134 コーチングは低成長時代の産物 133 盛り立て・盛り上げ 132 断定口調 131 承認 * 130 どうということはなし 129 夫婦の間 128 取次ぎ人 127 老人力 126 宗教的素養 * 125 NLP音痴 124 アサーティブネス(続き) 123 アサーティブネス 122 仕事をしない 121 実習 * 120 なめられないために 119 度量 118 天気・気温を語ろう 117 依存症 116 フィードバック * 115 差し迫ったニーズ 114 プロマネ 113 咀嚼力 112 ゴールを疑ってみる 111 コーチはトレーナーに非ず * 110 コーチングの行き着く先 109 恵まれた交友関係 108 仮説力 107 引きつけて撃つ 106 体験コーチングの実際 * 105 体験コーチングというけれど 104 体験コーチング 103 一生懸命を疑おう 102 レベル間の往来 101 ライフ・レベル *** コーチングを受けてみませんか *** コーチングとは(私見) *** 社会人のためのカウンセリング *** カウンセリングとコーチング *** ビジネス・コーチング入門 *** ライフワーク・コーチングの奨め *** オーケストラ再生のオーディオ *** オーケストラ録音を聴く |
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