話の長い人
145



コーチングに傾聴の技術というのがあります。

アイコンタクト、うなずく、相槌を打つ、オウム返しをする、とかがあります。いずれも必ずしも相手の考えに同意するわけではないけれど、相手のあり方、姿勢、気持ちは肯定してあげましょう、ということです。これを「承認」と言っています。

通常は聴く技術として「承認」があれば十分ですが、これだけでは足らないケースもあります。

私がコーチング初心者のころ、ある女性は45分延々自身の境遇について語り続けました。私は45分目にようやく介入したわけですが、要はこの人、会話は双方向という「空気がよめない」わけですね。未熟だった私は、これに最後までお付き合いしたわけです。

ものすごく口数の多い人、というのはいます。俗にいう「しゃべくりオバサン」です。悪いですが、こういう人は線が一本切れています。基本的にコーチングに向かない、と私は思います。が、ここまで行かなくても話の長い人、というのはいます。

いろいろ経験してきて、コーチングが対話という双方向の形式を取る以上、片方が連続してしゃべるのは長くても5分までが限度だと私は思っています。

話の長い人に対しては、内容が一区切りついた時点で、聴き手は話を要約して立て直すべきです。要約して立て直すことで、話し手のほうにもずいぶん論理的な展開が期待できます。

話の長い人をうまくさばく、というのも必ずプロのコーチとして身につけるべきスキルでしょう。

「承認」だけしていればよい、というわけではないのですよ。

趣味と親友
144



クライアントさんとはコーチングを始めるに当たって聴き取りをしてバランス・ホイールをつくるのですが、その質問項目のひとつに「対人関係」というのがあります。

適当な友人関係を持ちたくない、という人はおおよそいないのですけれど、「群れられない人」というのはいます。実は私もそうです。

不思議なもので、類は類を呼ぶ、つまり私のクライアントさんの多くはこの「群れられない人」です。そのことを問題視しているわけではないのですが、「自分はこんな性格だから」という諦めみたいのを持ってる人は多いです。

つまり友達を持ちたいのだが、友達ができにくい、というわけですね。

じゃあ、どうすればよいのでしょうか。

私のオススメは、趣味を足がかりに付き合いを広げることです。趣味が同じであれば、「〜しようよ」という連絡は頻繁に取り合うであろうからです。性格が合えば割と簡単に親友になりうるでしょう。

私の場合、日頃連絡を取り合っている親友は趣味が同じ人です。

趣味が同じでなければ知人のレベルにとどまります。

このように考えてゆくと、「趣味を持つ」ということはとりもなおさず、「親友を持つ」ということに繋がります。趣味がない人はプライベートで親友を持てないのでしょう。

趣味のない人は仕事の「戦友」しか持てない、ということになります。

逆に言えば、「親友を持つ」ということは「趣味を持つ」ということ。この事実、あたりまえのようでいて、気が付けば結構意外でもあります。みなさんはいかがお感じになられますか?

波間に漂う質問
143



コーチを目指しているAさんですが、相互コーチング.jpなるサイトで、実習相手をマッチングしてもらい実習したそうです。

で、実習後のフィードバック・タイムで、提案は良くない旨指摘されたとのこと。

聴いていた私は「ハハーン」です。

多くの初心者は、

・オープン・クエスチョンは潜在意識まで到達するいい質問である

・クライアントから引き出すのだから、誘導してはいけない


この2つの刷り込みがあります。その結果行き先のわからない、波間に漂うような質問を延々かけてくる傾向があります。その結果はコーチングどころか、普通の会話以下の「尋問」みたいなセッションになります。

Aさんは、提案したことの自己批判を始めたので、「おいおい」です。

提案はどんどんしてください。

ただし、「・・・と私は思うのですが、あなたはどう思いますか」で終わること。

この答えは3通りあります。

・「賛成」・・・これでこちらの提案が相手の意見に変身します。

・「反対」・・・「では、どう考えますか」と訊く。

・「部分的に賛成」・・・「どの部分が反対なのですか」と訊く。

いずれも、提案することで、コーチングは明確な方向を持った正常な会話になります。

波間に漂う質問はコーチングとはいいません。

Aさん、その調子で頑張ってください。

自己の欲求に忠実に生きるとは
142



昨日はこういった相談を受けました:

自身は「人を使わず使われず」の自営業がしっくりくるのだが、周囲の期待は正反対だというのです。あげくの果てに、「○○さん、そりゃないよ、それは逃げだよ」と言われるのだそうです。

一般的に「社会的通念に忠実な生き方」と「自己の欲求に忠実な生き方」があります。

両者が同じなら何も言うことはないのですが、違ったらどうすべきなのでしょう。

例外なく「自己の欲求に忠実な生き方」をしないと、悔いを残すし、第一楽しくないでしょう。

この話題で私が使う喩え話は、ホモ・セクシュアル、つまりオカマさんです。

オカマさんにとって、「社会的通念に忠実な生き方」とは男として生きることです。両親・兄弟はこの生き方を切望することでしょう。

しかし、ご本人は自分を女だと思っているから、ああいう生き方になるわけで・・・

つまり、「自己の欲求に忠実な生き方」をするためには、女として生きるしかないわけです。いろいろ葛藤はあったと思いますが、その道を敢えて選んでいるのは立派です。

だから・・・

ここから先はご本人の選択ですが、あとは「自営業」が本当に自分の欲求かどうか、の問題です。もしそうならこの方向しか選択肢はないでしょう。

この方はかなり煮詰まってましたので、このテーマでのコーチングは必要なし、とお見受けしました。

あくまでも平静に
141



私はその昔、システム・エンジニアやってた時代に、クレーム処理に明け暮れていた一時期があります。

よくクレームで声を荒げる人がいます。気持ちはわからんではありませんが、あまり頭がいいとは言い難いと思います。私個人の経験としては、この手のお客にはモチベーションが下がって必要最低限の対応しかしていません。

これとは逆に、トラブルが続いても、紳士的だった某社の次長さんは今でも記憶に残ります。私が失敗して、大騒ぎを起したことがあります。そのころ出張で1ヶ月ほど現場に詰めていたのですが、その次長さんはこうおっしゃったのです。

「杉本さん、海を見に行きませんか」

その次長さんは、一若手担当者だった私を連れて、日本海を見に車を駆ったわけです。その間恨みがましいことは一切言われませんでした。その方は海岸で煙草を一服したあと、

「どうです、少しは落ち着きましたか」

と私に声をかけ、また現場につれて帰ってくれました。今でも忘れられない思い出です。

思うにこの人、ビジネス・コーチングさせたら達人のはずです。

事態がこじれてくるほど、声が落ち着いてくる、これがホンモノです。私はこの方に報いるためにも、最善の対応をしなくては、と強く思った次第です。

以来私も、何があっても声を荒げないようになりました。

すぐ声を荒げる人は修行が足らんのだと思ってます。
150 ケチでなければ
149 神経質過ぎるほどのフィードバック
148 イメージング
147 親は変えられない
146 悪者家族

*
145 話の長い人
144 趣味と親友
143 波間に漂う質問
142 自己の欲求に忠実に生きるとは
141 あくまでも平静に
*
140 ET
139 悪いこともいいことも続く
138 人生の勝利者
137 宗教心
136 クライアントの質

*
135 世の中で一番楽しく立派なことは
134 コーチングは低成長時代の産物
133 盛り立て・盛り上げ
132 断定口調
131 承認

*
130 どうということはなし
129 夫婦の間
128 取次ぎ人
127 老人力
126 宗教的素養

*
125 NLP音痴
124 アサーティブネス(続き)
123 アサーティブネス
122 仕事をしない
121 実習

*
120 なめられないために
119 度量
118 天気・気温を語ろう
117 依存症
116 フィードバック

*
115 差し迫ったニーズ
114 プロマネ
113 咀嚼力
112 ゴールを疑ってみる
111 コーチはトレーナーに非ず

*
110 コーチングの行き着く先
109 恵まれた交友関係
108 仮説力
107 引きつけて撃つ
106 体験コーチングの実際

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105 体験コーチングというけれど
104 体験コーチング
103 一生懸命を疑おう
102 レベル間の往来
101 ライフ・レベル


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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
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501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
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