自分がコーチングでホームページをやっているため、他のコーチのホームページはよく拝見するのですが、ことパーソナル・コーチングで見ていくと、あまりにも 「なりたい自分になる」 という自己実現のサイトが多く、辟易してしまいます。これまでの経験からして、なりたい自分がわかっている、という人は人口の1割いるかな、という感じだからです。もちろん、私もついこの間まで「なりたい自分」がわかりませんでした。 人生よくできたもので、「なりたい自分」がわからずにいると、ある日差し迫ったニーズという形で試練がやってきます。これと必死に向き合うことによって、「なりたい自分」がだんだんわかってくるのです。 ということは、いきなり自己実現のためにコーチングを受け始める人なんて、ほんの一握りではないかと、私は思うのですけれど、どうでしょうか。 私はコーチングに親しむきっかけというのは、あくまでも「差し迫ったニーズ」だと思います。 コーチはまず差し迫ったクライアントさんのニーズに付き合って、乗り切るのを支援して差し上げる必要があると思います。ほとんどのクライアントさんは、差し迫ったニーズに向き合う過程で自己実現に目覚めてゆくように思います。 つまり、コーチング親しむきっかけは、「差し迫ったニーズ」であるわけですから、クライアントさんが「駆け込み易い」ホームページでなければイカンのではないか、と考えるしだいです。 「なりたい自分になる」と自己実現を喧伝するページは、駆け込むどころか、「いい気なもんだ」と反発すら感じてしまいますが・・・ 私が「なりたい自分になる」ホームページに辟易しているのはこれが理由です。むしろカウンセリングのホームページに見るべきものがあるように思います。カウンセリングのホームページは基本的に「駆け込める」つくりになってます^^
パーソナル・コーチングでは通常「いかによりよく生きるべきか」というライフ・レベルのコーチングがメインですが、これがゼロで、実務レベルの内容ばっかりというクライアントさんもいます。特徴は先ほど気付いたのですが: ・全員多忙である ・全員プロモーターである ということです。つまり多忙なプロモーターは身辺整理に秘書的?にコーチングを使う傾向があるようです。 私はコーチングの内容はえり好みしませんし、こういった実務コーチングも楽しめます。特色としては、実務コーチングはどうしてもノートを取る量が多くなります。 こういった進捗管理作業をしていると、昔自分がSEをやっていて、開発プロジェクトにメンバーとして参加し、進捗管理されていた経験、小なりといえど開発プロジェクトを担当して、進捗管理をしていた経験、がフルに生きているのだなぁ、と実感する次第です。 現在、プロマネ(プロジェクト・マネージャー)をされている方はコーチングにはたいへん適性があると思います。コーチングは仕事の一部ですものね。
会社で大々的な組織変更があったが、その内容が何とも理不尽で、上司からも納得できる説明をもらえない。自分を含めて部署全体の不満が解消せず、ストレスがたまっている、と言う相談を管理職のクライアントから受けたことがあります。 コーチング的には、あなたはどうしたいですか、そのためには具体的に何ができますか、という外的行動につなげる訳ですが、組織変更という問題は、一管理職や社員の立場でどうこうできるものではありません。ということになると、通常は受け入れてやっていくしかないでしょう。 受け入れてやっていくにあたって、二つの要因が一つになって自分の境遇になっているというふうに考えるととすっきりすることが多いです。その一つは自分がつくりだしたこと、もう一つは他から与えられたことです。 自分で作りだすことは変えることもできるが、他から与えられることのなかには、避けられないこともあるわけです。避けられないことが理不尽であったら、今は自分には理解できないけれど、きっとこの状況、この環境から、何か学べということに違いない、と「咀嚼」する必要があるのだと思います。 このクライアントさんは外的に行動する前に、内的に心を整理すべきではないでしょうか。「内的に心を整理する」とは受け入れて、咀嚼する、ということです。内的に心を整理せずに、不満を抱いたまま外的行動に出れば、いよいよストレスが昂じることでしょう。 この場合、コーチングではクライアントさんの外的行動を導かず、内的に心を整理することに専念したほうがよいと思います。コーチングが必ずしも外的行動を導かねばならないとは思いません。 そして、もし外的行動を導くとすれば、この方は管理職ですから、この人なりの「咀嚼」を部下の前に提示するのがよいと思います。組織のやり方に中間管理職が浮き足立ってしまっては、部署が空中分解すること必定だからです。 たとえ組織のやりかたに納得できていなくても、上司が落ち着いた態度や首尾一貫した姿勢、という形で、自分なりの「咀嚼」を提示すれば、部下はついてくることでしょう。そのうちにきっと状況も好転していくに違いありません。
どうもジョギングが続かないので、これをコーチングして欲しい・・・こういった狭いテーマを言われることはままあります。 もちろん、ジョギングを続けるには、と押して行ってもコーチングはできます。しかし行き着く先はたかが知れている、というしかありません。精神論に終始して、袋小路に入ってしまうことでしょう。 袋小路に入った場合は本質に言及します。 つまり、「ジョギングをしてどうなりたいですか」とやります。 たいてい、「体調を整えたいです」と来ますから、 「では、体調を整えるにはほかにどんなことができますか」と振ります。 こうすると、体調を整える内容がすべてコーチングで扱えるため、断然コーチングがやりやすく、意義深いものになります。 ポイントはことの本質に言及し、クライアントがゴールに向かうことによって何を得たいのかを明らかにすることです。ことによったら、ジョギングするよりいい方法が見つかって、ジョギングはしなくていい、ということになる可能性があります。 クライアントのゴールに関しては忠実に追いかけるだけではなく、ホントにそれでいいの?と疑ってみることも必要です。
スポーツではコーチはトレーナーでもあります。 たとえばトス・バッティングにコーチが付き合ったりしている風景を目にすることはあります。一方、コミュニケーションのコーチはトレーナーではありません。 今日体験コーチングを申し込んで来た女性は、経営支援をやるとかで、○○屋のオヤジとの話し方をコーチングしてくれ、とのたまうのです。 こちらはGROWモデルに沿って、理想と現実の差を明らかにして、 「では、あなたはどうすればいいと思いますか」 と言ったところ、「カチンと来た」そうです。 「それを聞いているんじゃないんですか」と言うのです。 ここで、「それがよくわからないんです」とでも言ってくれたら、こっちも一緒に考えたと思います。 ともあれ、こちらがふつうにしゃべっているのに、カチンと来られた日には会話の継続は無理です。「あなたとは接点を見出せない」と言ってセッションは打ち切りました。 コーチが「指導すべきだ」とか「教えるべきだ」と誤解する人は根本的にコーチングの作法を理解していない、ということが今日の体験でよくわかりました。相手が誤解しているであろうことは最初にメールをもらった時点で大方想像がついていて、最初から気乗りしないセッションでした。 この人はどうやら話し方の改善のために、私にトレーナーとして付き合って欲しかったようです。私はいかなるオヤジさんとも話しはできますが、この感覚は泳ぎと一緒で体で覚えるしかありません。コーチングで○○屋のオヤジ対策のトレーナーを私に要求するなど、誤解もいいところです。 コミュニケーションのコーチはトレーナーではないのです。そのことに腹を立てられても何ともなりません。コーチングをティーチングと混同している人は、基本的にアンコーチャブルです。 |
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150 ケチでなければ 149 神経質過ぎるほどのフィードバック 148 イメージング 147 親は変えられない 146 悪者家族 * 145 話の長い人 144 趣味と親友 143 波間に漂う質問 142 自己の欲求に忠実に生きるとは 141 あくまでも平静に * 140 ET 139 悪いこともいいことも続く 138 人生の勝利者 137 宗教心 136 クライアントの質 * 135 世の中で一番楽しく立派なことは 134 コーチングは低成長時代の産物 133 盛り立て・盛り上げ 132 断定口調 131 承認 * 130 どうということはなし 129 夫婦の間 128 取次ぎ人 127 老人力 126 宗教的素養 * 125 NLP音痴 124 アサーティブネス(続き) 123 アサーティブネス 122 仕事をしない 121 実習 * 120 なめられないために 119 度量 118 天気・気温を語ろう 117 依存症 116 フィードバック * 115 差し迫ったニーズ 114 プロマネ 113 咀嚼力 112 ゴールを疑ってみる 111 コーチはトレーナーに非ず * 110 コーチングの行き着く先 109 恵まれた交友関係 108 仮説力 107 引きつけて撃つ 106 体験コーチングの実際 * 105 体験コーチングというけれど 104 体験コーチング 103 一生懸命を疑おう 102 レベル間の往来 101 ライフ・レベル *** コーチングを受けてみませんか *** コーチングとは(私見) *** 社会人のためのカウンセリング *** カウンセリングとコーチング *** ビジネス・コーチング入門 *** ライフワーク・コーチングの奨め *** オーケストラ再生のオーディオ *** オーケストラ録音を聴く |
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