コーチングの行き着く先
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まぐまぐプレミアムで引用されていた道幸武久氏の文章です:

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『勤勉な人より怠け者に仕事をまかせなさい』

自分が会社の経営者だと思って、次の質問に答えてください。「勤勉で有能な人」と「怠惰で有能な人」。あなたが大きな仕事をまかせるとしたら、どちらの人を選びますか?

私がこの質問をすると、約9割の人が「勤勉で有能な人」と答えます。でも、私は違います。私は「怠惰で有能な人」を選びます。

(中略)

「怠惰で有能な人」は、「勤勉で有能な人」よりも「ゆとり」があるのです。誤解がないようにいっておきますが、ここでいう怠惰というのは、行動量が少ないという意味です。ただゴロゴロしているヤツがいいということではありませんから、くれぐれもご注意を。

短時間で高い生産性を上げてきた人というのが「怠惰で有能な人」です。つまり、結果を出すまでに要した時間が短ければ短いほど、ポテンシャル(潜在的能力)が高いといえます。

彼らが短時間で高い生産性を上げられるのは、システムをつくる能力と人の力を使う能力があるからです。

私は今、自分の経営する会社に一週間に一度しか顔を出しません。自分が有能かどうかは私にはわかりませんが、とても怠惰な経営者であることは間違いありません。

それでも会社がきちんと回っているのは、自分がそこにいなくても大丈夫なシステムをつくり、それを人の力を使って動かしているからです。

しかし、勤勉な経営者は、自分自身をシステムの一部に組み込んでしまいます。しかも自分が誰よりも頑張ってしまうので、自分が顔を出さなければ会社が回らないという状態になってしまい、忙しいばかりで収入が伸びなくなるのです。

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マネジメント手法から見れば、

・自分自身をシステムの一部に組み込んでしまうのが、指示・命令型

・自分がそこにいなくても大丈夫なシステムをつくるのが、コーチング型


と言えます。

「自分がそこにいなくても大丈夫なシステム」をつくるには、指示・命令をベースにしたマネジメントでは無理です。コーチングをベースにしたマネジメントでなければなりません。

とはいえ、指示・命令100パーセントはありえませんし、コーチング100パーセントもありえませんので、上記はデジタルなものではなく、「相対的に」のただし書きがつきます。

コーチングの行き着く先は、権限委譲です。コーチングは自律・自発型の人材を育てるのが目的ですから、究極は「自分がそこにいなくても大丈夫なシステム」をつくる方向にならざるを得ないわけです。

程度の差はありますが、コーチングの行きつく先は経営者がヒマな組織と言えるでしょう。

経営者がヒマになった時に、「怠惰」で終わるか、空いた時間で別のビジネスを創造できるかは、経営者の能力次第ということになります。

恵まれた交友関係
109



有名人、芸能人とはほど遠いのですが・・・

コーチングをやっててクライアントさんが20名超えると、当然交友関係に恵まれます。いままであらゆる、とはいきませんが、コーチングした方は実に多彩です。中間管理職のビジネス・パーソンが多いのですが、たとえば医者なら耳鼻科医、歯科医、獣医、士業では弁護士、公認会計士、中小企業診断士、社労士、経営者では食品、IT,印刷、美容院、英語学校などなどです。

クライアントになっていただいたのは、私と何がしか反りが合ったためですから、「話していて楽しい」という方が大半です。

この中では医師のFさんが私とおなじクラシック音楽が趣味ですので、日頃から特に親しくお付き合いさせていただいています。

これ以外の行きずりの体験コーチングは300名近いでしょう。実に多くの世界を垣間見てきたことになります。

最近はコーチ業を目指しておられる方も数多くコーチングしているのですが、クライアントさん同士を実習相手と紹介してマッチングし、自分の人脈から新たな人脈を再生産しています。

交友関係の関連としては、私のホームページ(ブログを含めて4サイト)を訪れる延べ人数は1日500〜600と言ったところです。

昔は毎日会社に出て行くだけで、知り合いといってもごく少数だったことを考えると、夢のような状況です。交友関係に関しては相当の特権階級と言えるでしょう。

自慢話に聞こえるかもしれませんが、この恵まれた交友関係を心から喜んでいます。

仮説力
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「どうしたらよいかわかないのです」

という質問を体験コーチングで浴びせられることは多いです。これに対して、

「どうしたらよいと思いますか」

という質問を返すわけにはいきません。さりとてこの人の答えをこちらで考えてあげるわけにもいきません。本人がわからないものが他人にわかるわけがない。

この場合私は、自分が感じるその人の「思い込み」を仮説として相手に伝える、ことにしています。もしかすると私の憶測は間違っているかもしれません。しかし、相手は少なくとも「合っているか」「間違っているか」「部分的に合っている(間違っている)」は明言できるでしょう。

で、次に「修正版」仮説を伝えます。これでもダメな時は「再修正版」が必要なこともありますが、たいてい「修正版」くらいで「その通りです」という返事はいただけます。

「では、その思い込みをどう変えたらいいと思いますか」

こうやると、何らかの答えが引き出せるでしょう。

つまり、コーチ側の仮説が、クライアントの答えに化けていくわけです。

一般には、コーチングはオープン・クエスチョンが大切、とされます。しかし、クライアントが途方に暮れているような場合、オープン・クエスチョンは向きません。

この場合、コーチの仮説にクライアントがYES、NOを言うだけのコーチングもあり、と私は考えます。コーチの仮説にクライアントがYESと言った場合は、クライアントがその仮説を正解として選び取ったわけです。クライアントが選び取った仮説は、コーチの「押し付け」や「誘導」ではなく、立派にクライアントの答えです。

これがすなわち「答えを引き出す」ことであると思います。コーチの実力は仮説力でしょう。

引きつけて撃つ
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コーチングとカウンセリングの違いは一言で言うと終了間際に、なにか行動を起こす約束をするか、どうかということです。行動につながらなかったらカウンセリングです。

・・・とは言うものの、気付きがあればよしとするケースもないではないです。この場合も「継続して考えましょう」という「考える」という行動を導くことになります。

さて、コーチングの初心者ほど、この「行動を導く」という強迫観念で焦ってしまい、ものすごく早い時点で、行動を導く質問を出す人がいます。この場合これといった答えは返って来ません。

猛獣狩りと同じで、撃つ前に十分問題を引きつける必要があるのです。

現状分析に8〜9割の時間を割くことを私ならオススメします。

たとえば、どうも最近何をするのも億劫だ、とクライアントさんが言ったとします。この場合、下記質問をぶつけていけば、現状分析はいくらでもできます。

「あなたの言う億劫とはどういう心の状態ですか」
「あなたが億劫な時と億劫でない時と何が違うのですか」
「あなたはどういったことに対して億劫になるのですか」
「あなたはどういった理由で億劫になるのですか」
「あなたは億劫にならないために、たとえばどんなことができますか」

で決めは、

「ではあなたは結局どうしますか」
「それをいつやりますか」

決めは最後に、引きつけて撃つのです。

体験コーチングの実際
106



体験コーチングの手順は、私のサイトにもあるように、

ホームページから申込み
      ↓
私の空き時間と電話番号を
お知らせします(メール)
      ↓
選択いただいた実施時間を
連絡いただきます(メール)
      ↓
私から再度確認のメール
をさしあげます
      ↓
あなたから電話してください
(電話代はご負担願います)
リラックスして自由にお話ください


というシーケンスです。ホームページからの申し込みはCGIで、

あなたが解決したいと思われること
(あなたの現状がわかるように記入お願いします)


という欄があります。30分〜1時間は打つのにかかっただろうな、という内容を送ってくる人もいます。大抵は相手の思いの強さが伝わってきますが、中には冗長なだけの文章もあります。この依頼文でほぼ相手の人となりがわかります。

「体験コーチング」ということで申し込んで来られても、どうしても返事をする気になれない依頼はあります。この間メールを頂戴したのですが、

何をやってもうまく行かない
自分が嫌い
人とうまく付き合えない

とのみ書かれていました。これでは自助努力は一切感じられないし、最低限のマナーをわきまえているとも思えません。不親切なようですが、わざわざ断わりを入れるのも角がたつので、こういったメールには反応せず黙殺します。相手をしてもおそらく時間の無駄だろうと思います。

さて、その後、時間の選択肢を通知し、返事をもらうのですが、この返事でもおおよそ相手の程度はわかります。メールのやり取りでどうも腑に落ちないと思った人はやはり話してみてもぱっとしません。

体験コーチングはやる前に大方どんな展開になりそうか、ほぼ見当はつくのです。
150 ケチでなければ
149 神経質過ぎるほどのフィードバック
148 イメージング
147 親は変えられない
146 悪者家族

*
145 話の長い人
144 趣味と親友
143 波間に漂う質問
142 自己の欲求に忠実に生きるとは
141 あくまでも平静に

*
140 ET
139 悪いこともいいことも続く
138 人生の勝利者
137 宗教心
136 クライアントの質

*
135 世の中で一番楽しく立派なことは
134 コーチングは低成長時代の産物
133 盛り立て・盛り上げ
132 断定口調
131 承認

*
130 どうということはなし
129 夫婦の間
128 取次ぎ人
127 老人力
126 宗教的素養

*
125 NLP音痴
124 アサーティブネス(続き)
123 アサーティブネス
122 仕事をしない
121 実習

*
120 なめられないために
119 度量
118 天気・気温を語ろう
117 依存症
116 フィードバック

*
115 差し迫ったニーズ
114 プロマネ
113 咀嚼力
112 ゴールを疑ってみる
111 コーチはトレーナーに非ず

*
110 コーチングの行き着く先
109 恵まれた交友関係
108 仮説力
107 引きつけて撃つ
106 体験コーチングの実際
*
105 体験コーチングというけれど
104 体験コーチング
103 一生懸命を疑おう
102 レベル間の往来
101 ライフ・レベル


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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
251〜300 301〜350 351〜400 401〜450 451〜500
501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
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